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第三の殺人(1)
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一台の黄色いスポーツカーが、赤いサイレンを撒き散らしながら猛スピードで町中を駆け抜けていたのは、午後二時の事だ。
夏の青い空が広がる町中の広い通りで、それはカーレースでもするかのように車の間を走り抜けて行く。何事だと視線を送る人間もいれば、慌てて道を開ける車もあった。
その騒ぎの中心にいた真由は、助手席でちっとも色気のない悲鳴を上げているものの、勿論それは外まで伝わっていない。
「ぎゃぁぁああああああ! 宮橋さんッ今すぐスピードを落としてください! 危ないですから、マジで!」
「はははははは! 退くがいい、一般庶民ども! この瞬間が、警察をやっていて一番の醍醐味だな!」
噛みあわない一方通行な会話が車内でされている事も知らず、一般車は避ける間もなく通り過ぎていくスポーツカーを見送った。いちおう車上には赤い警告ランプが回っており、けたたましいサイレンも鳴り響いているので、人々はそれを確認すると「何か事件でもあったのだろうか」と呆けつつ目で追う。
二人は今、先程発覚した第三の殺人現場へと向かっていた。
向かう先は、都内の中心にあるカラオケ店である。署を出た際、「僕の命令には絶対だ」と再び念を押された真由は、「とろとろと運転されるのはごめんだ」という事で、自分の車を置いて彼の車に乗り込んでいた。発進して即、それを後悔した。
宮橋の運転は荒かったが技術は正確で、現在のところ、彼の黄色いスポーツカーには一つの外傷も付いていない。
署を出てからの入り組んだ道で、よく誰もはねなかったものだと真由は思った。いくつかの近道を、彼は「右だ」「今度は左かな」と、反射的に決めたみたいな陽気な様子でハンドルを切っていたからだ。
車は、大きな国道に入って五分ほどで、急ブレーキに近い減速がかかった。宮橋はレーサー顔負けの技術でスポーツカーの後輪を滑らせると、そのまま車頭を直角に向き変え、同時にギアを切り替えて中道へと乗り込んだ。
「うっそ!? ちょ、待ってなんでそんな無駄に運転技術あるのよおおおおお!?」
真由の叫びがむなしく車内に響き渡る中、車は細い裏道を高速で走り抜けた。途中、やや減速して一列に並ぶパトカーを追い越すと、そのまま人が集まっている場所へと一直線に突っ込む。
突然現れた黄色いスポーツカーに気付いた野次馬と、警察関係者たちが、途端にわっと散り散りに避難した。サイドブレーキを引っ張った橋宮の車は、そのまま後輪を滑らせ、一番先頭にあったパトカーの前に見事、駐車された。
「ふむ、八分か。まぁまぁいいタイムじゃないか」
満足する宮橋の隣で、真由は先程からぐるぐると回る視界に、吐き気を覚えていた。それを察知した彼が、眉根を寄せて彼女を見やる。
「吐くなら外で吐け」
「あんたは鬼ですか」
乙女になんて事を言うんだよ、と思わず続ける指摘を無視して、宮橋は外へと出た。口を押さえながら、真由もぐったりとした様子で慣れない車の扉を開ける。
騒ぎを聞きつけた三鬼が、到着早々カラオケ店の細い階段から肩を怒らせてドカドカと降りてきて、真っ先に自分の車の安否を素早く確認して叫んだ。
「またお前かッ、宮橋雅兎!」
「君は相変わらず騒がしいなあ。自分で喚いていて、耳、痛くならない?」
「じゃかあしぃ! 毎度毎度騒ぎを起こしおって!」
「あ、今のちょっと爺臭かったぞ」
更に大きく息を吸い込んだ三鬼の口を、彼を追って降りてきた相棒で後輩の藤堂が、慌てて押さえた。もがく先輩の脇から顔を出し、すかさず「宮橋さん、警部からは話を聞いて、お待ちしておりました」と告げる。
「うむ、君は話が分かる人間らしいな。で、そのままにしてあるだろうね?」
「はい。こちらも先程到着したばかりですが、先に電話で指示を出して、現場の他の捜査員もまだ誰も入れていません」
「よろしい」
宮橋は、偉そうに頷いて歩き出した。ようやく気分が少し落ちついた真由は、その様子に気付いて慌てて彼の後を追う。
長身で歩幅が広いせいか、真由は少し駆け足でついていかないと宮橋に置いていかれそうだった。そんな彼女の横を、ドカドカと駆け上がって三鬼が追い越した。
「おいおいおい、ちょっと待てっ」
「待たない。現場の死体は、例の犯行と同じだったか?」
宮橋は前を向いたまま尋ねる。表情は涼しいが足取りは急いていて、三鬼は真面目な彼のペースに巻き込まれて、素直にこう答えていた。
「ああ、同じだ。バラバラで、でもちょっと前とは違うような……って、おい! 俺がここの指揮を任されているんだからな!」
「僕には関係ないよ」
三鬼の後ろを追いながら、真由の隣に落ち着いた藤堂が、ふっと渇いた笑みを浮かべた。
「三鬼先輩、またやってるなぁ」
「あの二人、いつもあんな感じなんですか?」
「うん。どっちかというと、いつも先輩の方がつっかかっているような感じかな。宮橋さんって確かに不思議な人だけど、色々と事件解決に貢献しているし、俺はちょっと一目置いているんだけどなあ」
宮橋とは数十分前に会ったばかりだった真由は、「はぁ」としか答える事が出来なかった。確かに、彼の態度を見ていると、その横暴にも似た言動にも自信が溢れていて、一見すると頼もしい先輩に見えなくもない。
あの小馬鹿にするような俺様性格でなければ、ではあるけれど。
カラオケ店の幅の狭い階段を上がると、二階部分に店内へ入るための自動扉があった。四人は、カラオケ店のロゴが入った緑のマットを踏んで店内へと進んだ。
入店すると、外の熱気が遮断されて、涼しい空気に全身が包まれた。客はすべて外に出されたのか、広いフロアには不安そうな表情を浮かべた数人の店員と、捜査のための道具等の準備を進めて、待機している警察関係者らがいた。
宮橋は店内に入ると、一度足を止めて辺りを見回した。三鬼が顔を顰めつつ、「こっちだ」とぶっきらぼうに呟いて先を促す。彼はそれに対して文句も言わず、歩き出しながら、まるで初めて来る場所のような目で、ゆっくりと店内の様子を上下左右共に見やる。
壁にカラオケメニューの案内表が張られた廊下には、いくつものガラス扉が続いていた。ドリンクバーを通り過ぎたところで、ふと宮橋が横に伸びる廊下の向こうを見やり、機嫌を損ねた子供のような顔をした。
「どうしました?」
真由と並んで、後ろからついてきた藤堂がそう尋ねる。先頭を歩いていた三鬼が、二メートル先で怪訝そうな顔をして振り返った。
宮橋は難しい顔をして、向こうの廊下先を見つめたまま顎に手をあてていた。じっと見つめるさまは、おぼろげな何かを見極めようとするかのようだった。
「おい、どうした」、そう三鬼がそれとなく尋ねる。
「いや……」、と宮橋は曖昧に言葉を切った。
すると三鬼は、とくに深くは尋ねず「……こっちだ」と言葉を投げて再び歩き出した。宮橋は少しの間黙り込んでいたが、顔を上げて彼のあとに続く。
真由と藤堂は、宮橋が見つめていた廊下へ差しかかると、誰が合図したわけでもなく、二人で揃ってひょいと覗きこんでいた。静まり返った廊下には、こちらと同じようなポスターが並んだ壁に、同じようなガラス扉が続いていた。通路は突きあたりから左へと続いている。
「とくに、何もないですねぇ」
藤堂が、そう感想を口にした。真由は小首を傾げて「そうですねぇ」と答えた。けれど、十分に確認した二人は、視線を先輩組刑事の背中へと戻そうとしたところで、ギクリとして動きを止めていた。
突き当たりにある壁に、不自然に浮き上がる色が一つ現れていたからだ。先程には、何もなかったはずだったが、それは白に近い明るいベージュで統一された壁に、あまりにも異質な色を浮かべ上がらせて映えていた。
「あれ、血じゃ……」
そう藤堂が呟く。真由も、信じられずにその場所を凝視していた。二人には、まるで何もなかったように思えたその白い壁に、一点の小さな赤が突如として浮かび上がったようにも感じて驚いた。
「先に調べさせておいた方がいいんじゃ……」
「うん。いちおう俺の方で、伝えてきます」
先に行ってて、と続けた藤堂に頷き返し、真由はすっかり離れてしまった宮橋のあとを追った。引き返す藤堂の靴音が、だんだんと背中の向こうへ離れて行くのが聞こえていた。
他にも色々と出てきそうだと思ってしまい、真由は本日二度目の身震いをした。
血が一人歩きするなんて、そんな想像をした自分に「怖がりすぎでしょ、私」と小さく叱って頬を軽く両手で叩いた。きっと、血の跡は始めからそこにあって、それに宮橋は気付いて見ていたのだろう。
真由は自分にそう言い聞かせて、ぐっと顔を上げて前を見据えた。
夏の青い空が広がる町中の広い通りで、それはカーレースでもするかのように車の間を走り抜けて行く。何事だと視線を送る人間もいれば、慌てて道を開ける車もあった。
その騒ぎの中心にいた真由は、助手席でちっとも色気のない悲鳴を上げているものの、勿論それは外まで伝わっていない。
「ぎゃぁぁああああああ! 宮橋さんッ今すぐスピードを落としてください! 危ないですから、マジで!」
「はははははは! 退くがいい、一般庶民ども! この瞬間が、警察をやっていて一番の醍醐味だな!」
噛みあわない一方通行な会話が車内でされている事も知らず、一般車は避ける間もなく通り過ぎていくスポーツカーを見送った。いちおう車上には赤い警告ランプが回っており、けたたましいサイレンも鳴り響いているので、人々はそれを確認すると「何か事件でもあったのだろうか」と呆けつつ目で追う。
二人は今、先程発覚した第三の殺人現場へと向かっていた。
向かう先は、都内の中心にあるカラオケ店である。署を出た際、「僕の命令には絶対だ」と再び念を押された真由は、「とろとろと運転されるのはごめんだ」という事で、自分の車を置いて彼の車に乗り込んでいた。発進して即、それを後悔した。
宮橋の運転は荒かったが技術は正確で、現在のところ、彼の黄色いスポーツカーには一つの外傷も付いていない。
署を出てからの入り組んだ道で、よく誰もはねなかったものだと真由は思った。いくつかの近道を、彼は「右だ」「今度は左かな」と、反射的に決めたみたいな陽気な様子でハンドルを切っていたからだ。
車は、大きな国道に入って五分ほどで、急ブレーキに近い減速がかかった。宮橋はレーサー顔負けの技術でスポーツカーの後輪を滑らせると、そのまま車頭を直角に向き変え、同時にギアを切り替えて中道へと乗り込んだ。
「うっそ!? ちょ、待ってなんでそんな無駄に運転技術あるのよおおおおお!?」
真由の叫びがむなしく車内に響き渡る中、車は細い裏道を高速で走り抜けた。途中、やや減速して一列に並ぶパトカーを追い越すと、そのまま人が集まっている場所へと一直線に突っ込む。
突然現れた黄色いスポーツカーに気付いた野次馬と、警察関係者たちが、途端にわっと散り散りに避難した。サイドブレーキを引っ張った橋宮の車は、そのまま後輪を滑らせ、一番先頭にあったパトカーの前に見事、駐車された。
「ふむ、八分か。まぁまぁいいタイムじゃないか」
満足する宮橋の隣で、真由は先程からぐるぐると回る視界に、吐き気を覚えていた。それを察知した彼が、眉根を寄せて彼女を見やる。
「吐くなら外で吐け」
「あんたは鬼ですか」
乙女になんて事を言うんだよ、と思わず続ける指摘を無視して、宮橋は外へと出た。口を押さえながら、真由もぐったりとした様子で慣れない車の扉を開ける。
騒ぎを聞きつけた三鬼が、到着早々カラオケ店の細い階段から肩を怒らせてドカドカと降りてきて、真っ先に自分の車の安否を素早く確認して叫んだ。
「またお前かッ、宮橋雅兎!」
「君は相変わらず騒がしいなあ。自分で喚いていて、耳、痛くならない?」
「じゃかあしぃ! 毎度毎度騒ぎを起こしおって!」
「あ、今のちょっと爺臭かったぞ」
更に大きく息を吸い込んだ三鬼の口を、彼を追って降りてきた相棒で後輩の藤堂が、慌てて押さえた。もがく先輩の脇から顔を出し、すかさず「宮橋さん、警部からは話を聞いて、お待ちしておりました」と告げる。
「うむ、君は話が分かる人間らしいな。で、そのままにしてあるだろうね?」
「はい。こちらも先程到着したばかりですが、先に電話で指示を出して、現場の他の捜査員もまだ誰も入れていません」
「よろしい」
宮橋は、偉そうに頷いて歩き出した。ようやく気分が少し落ちついた真由は、その様子に気付いて慌てて彼の後を追う。
長身で歩幅が広いせいか、真由は少し駆け足でついていかないと宮橋に置いていかれそうだった。そんな彼女の横を、ドカドカと駆け上がって三鬼が追い越した。
「おいおいおい、ちょっと待てっ」
「待たない。現場の死体は、例の犯行と同じだったか?」
宮橋は前を向いたまま尋ねる。表情は涼しいが足取りは急いていて、三鬼は真面目な彼のペースに巻き込まれて、素直にこう答えていた。
「ああ、同じだ。バラバラで、でもちょっと前とは違うような……って、おい! 俺がここの指揮を任されているんだからな!」
「僕には関係ないよ」
三鬼の後ろを追いながら、真由の隣に落ち着いた藤堂が、ふっと渇いた笑みを浮かべた。
「三鬼先輩、またやってるなぁ」
「あの二人、いつもあんな感じなんですか?」
「うん。どっちかというと、いつも先輩の方がつっかかっているような感じかな。宮橋さんって確かに不思議な人だけど、色々と事件解決に貢献しているし、俺はちょっと一目置いているんだけどなあ」
宮橋とは数十分前に会ったばかりだった真由は、「はぁ」としか答える事が出来なかった。確かに、彼の態度を見ていると、その横暴にも似た言動にも自信が溢れていて、一見すると頼もしい先輩に見えなくもない。
あの小馬鹿にするような俺様性格でなければ、ではあるけれど。
カラオケ店の幅の狭い階段を上がると、二階部分に店内へ入るための自動扉があった。四人は、カラオケ店のロゴが入った緑のマットを踏んで店内へと進んだ。
入店すると、外の熱気が遮断されて、涼しい空気に全身が包まれた。客はすべて外に出されたのか、広いフロアには不安そうな表情を浮かべた数人の店員と、捜査のための道具等の準備を進めて、待機している警察関係者らがいた。
宮橋は店内に入ると、一度足を止めて辺りを見回した。三鬼が顔を顰めつつ、「こっちだ」とぶっきらぼうに呟いて先を促す。彼はそれに対して文句も言わず、歩き出しながら、まるで初めて来る場所のような目で、ゆっくりと店内の様子を上下左右共に見やる。
壁にカラオケメニューの案内表が張られた廊下には、いくつものガラス扉が続いていた。ドリンクバーを通り過ぎたところで、ふと宮橋が横に伸びる廊下の向こうを見やり、機嫌を損ねた子供のような顔をした。
「どうしました?」
真由と並んで、後ろからついてきた藤堂がそう尋ねる。先頭を歩いていた三鬼が、二メートル先で怪訝そうな顔をして振り返った。
宮橋は難しい顔をして、向こうの廊下先を見つめたまま顎に手をあてていた。じっと見つめるさまは、おぼろげな何かを見極めようとするかのようだった。
「おい、どうした」、そう三鬼がそれとなく尋ねる。
「いや……」、と宮橋は曖昧に言葉を切った。
すると三鬼は、とくに深くは尋ねず「……こっちだ」と言葉を投げて再び歩き出した。宮橋は少しの間黙り込んでいたが、顔を上げて彼のあとに続く。
真由と藤堂は、宮橋が見つめていた廊下へ差しかかると、誰が合図したわけでもなく、二人で揃ってひょいと覗きこんでいた。静まり返った廊下には、こちらと同じようなポスターが並んだ壁に、同じようなガラス扉が続いていた。通路は突きあたりから左へと続いている。
「とくに、何もないですねぇ」
藤堂が、そう感想を口にした。真由は小首を傾げて「そうですねぇ」と答えた。けれど、十分に確認した二人は、視線を先輩組刑事の背中へと戻そうとしたところで、ギクリとして動きを止めていた。
突き当たりにある壁に、不自然に浮き上がる色が一つ現れていたからだ。先程には、何もなかったはずだったが、それは白に近い明るいベージュで統一された壁に、あまりにも異質な色を浮かべ上がらせて映えていた。
「あれ、血じゃ……」
そう藤堂が呟く。真由も、信じられずにその場所を凝視していた。二人には、まるで何もなかったように思えたその白い壁に、一点の小さな赤が突如として浮かび上がったようにも感じて驚いた。
「先に調べさせておいた方がいいんじゃ……」
「うん。いちおう俺の方で、伝えてきます」
先に行ってて、と続けた藤堂に頷き返し、真由はすっかり離れてしまった宮橋のあとを追った。引き返す藤堂の靴音が、だんだんと背中の向こうへ離れて行くのが聞こえていた。
他にも色々と出てきそうだと思ってしまい、真由は本日二度目の身震いをした。
血が一人歩きするなんて、そんな想像をした自分に「怖がりすぎでしょ、私」と小さく叱って頬を軽く両手で叩いた。きっと、血の跡は始めからそこにあって、それに宮橋は気付いて見ていたのだろう。
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※「小説家になろう」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。
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