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第3章 第3幕 はぐれ梁山泊極端派【絶望と憎しみと学園モノ……と大戦争!?】

第299話 アレはウチが作った!

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「くっせぇ、くっせぇ! ゲロとかウ○コとか混ぜたみてえな匂いがプンプンするぜぇ!」

「失礼ナ! ネオ・トマホークさんの香しイ匂いヲ否定するトは許しマせンヨぅ!!」


 耐えがたい腐臭を発しながら、フレッシュ・ゴーレムはゴリラ野郎の足止めをしている。魔王軍のヤツですらアレは耐えられないモノなのか? そもそもアンデッドはヤツらの専売特許じゃなかったのか? ということはやはり、オプティマのオッサンは魔族以上の変態だったんだな。


「ちょっと! よそ見してないで、少しは手伝え! 鎧が治せないでしょ!」


 馬鹿女は鎧の破片を出来る範囲でかき集めている。何でも、鎧を修復するからだそうだ。そんな事が出来るのか? 作成者のオプティマでさえ出来ないというのに。ただの遊び人風情が何をすると言うんだ?


「無駄なあがきでこんなところまで来やがって。お前は自分の命が惜しくないのか?」

「命は惜しいよ! それでもアンタをほっとけなかったし、アンタが戦ってくれてるんなら、他の人も助かるって思ったから! こんな時に体張らなくてどうすんのよ!」

「だから、その体の張りどころが間違ってるって言うんだよ!」

「間違ってない! それを今から見せてやるから、さっさとかけらを集めろ!」


 正直、馬鹿過ぎて付き合ってられない。でも、いいさ。この後、盛大に失敗したところで、笑いものにしてやるさ。世の中ハッタリや口先ではどうでもならないということを思い知らせてやろう。


「大体これぐらいね。全部集めるべきでしょうけど、ゴリラと汚いヤツとの戦いに巻き込まれるから、ココまでにしとく!」


 おおよそ三分の二ぐらいは集まった。流石に細かいかけらは勘定に入っていないと見える。とはいえ、コア以外はほぼバラバラだ。こんなんじゃ、鍛冶師や甲冑職人でさえお手上げなレベルだ。それを今から即席で治そうと言うんだからな。馬鹿げているにも程がある。


「ちょっとアンタ! 目を閉じて戦いとか、自分にとって大切な物を思い浮かべなさい!」

「は!? こんなところでなんでそんなことしなきゃいけないんだ? ここは戦場なんだぞ! 冗談も大概にしろ!」

「いいから、言うことを聞けーっ!!」


 キレた馬鹿女はオレに蹴りを入れてきた。キレたいのは俺の方だ。戦闘中に馬鹿げたことを要求されているのだ。腹が立たない方がおかしい。


「アンタさあ、ゆーしゃの剣って誰がどうやって作ってるか知ってる?」

「知らん。どこかの鍛冶師の爺さんが作ってるんだろ? しかも、今の勇者が持っているのは刃が付いてない珍品らしいな。如何にも、あのマヌケ勇者にお似合いの剣だ。鍛冶師にも見限られたんじゃないか?」

「アレはウチが作った!」

「……は?」


 今、なんて言った? この女が勇者の剣を作っただと? そんな馬鹿げたことがあり得るのか? 鍛冶に必要なハンマーさえ持ち上げられなさそうな、この女が? そんなこと出来るわけが……、


「ついでに言うと、ジュニアの十字の炎剣フランメ・クロイツも作ってやった! 最近はゆーしゃの義手も作ったぞ!」

「……。」


 呆れて物が言えない。ホラのオンパレードだ。ジュニア? あのお坊ちゃんの事か? ヤツの剣は勇者の剣よりも洗練されているのは見ただけでもわかった。だが、同じ鍛冶師が作ったようには見えない。それに、義手を作ったとはどういう事だ? ホラとはいえ、話が飛躍しすぎている。ワケがわからん。


「もう! 時間がないんだからさっさとしろ! もういい! ウチから強引にこうしてくれるわ!」


 オレは油断していた。馬鹿女は予測不可能な行動を取った。コイツが敵だったなら、オレは命を落としていただろう。コイツはあろうことか、オレの唇に自分の唇を合わせてきた!


「……なっ!? お前、何てことしやがる!」

「相手と心を通わせる最終手段はコレなの! コレなら一瞬で済むし、こうするしかなかった! ウチのファースト・キスをくれてやったんだから、感謝しなさいよ!!」


 確かに一瞬、視界が真っ白になったような気はした。キスぐらいどうと言うこともないが、おかしな感覚がしたのはそのためか? オレはこの女に記憶を読み取られたのか? そんな訳あるか……?


「行くわよ! これから鎧を再構築する! ついでに剣も合成してやるから、そこで待ってなさい!」

「……あ、ああ。」


 かき集めた鎧の破片を前にして、馬鹿女は何やら儀式めいた事を始めた。魔術の詠唱の様な文言をつぶやきながら、両手に魔法力を集中させている。こんな魔術は聞いたことも見たこともない。


「……新たなる姿に生まれ変わり給え!」


 詠唱を終えた途端、鎧の破片が輝き始め、次第にその姿が見えなくなるまで輝きを増した。その光の中に吸い込まれるようにして、オレが手にしていたガノスのコアが引き込まれてしまった。一体、何が起きるっていうんだ……?いうんだ……?
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