265 / 331
第3章 第3幕 はぐれ梁山泊極端派【絶望と憎しみと学園モノ……と大戦争!?】
第265話 力士は空飛ばねぇんだわw
しおりを挟む「赫灼の雨!!」
「地獄火炎破砕祭り!!」
ゴーレム達との戦闘は順調に進んでいた。既に過半数の兵力を減らした。もちろん、そこまで減らしても、かなりの数がいる。このペースで行けば勝てるはず。でも逆に、うまく行きすぎていることに不安を感じる。
「いがいとやるようだな。我らの軍勢をここまで減らすとはな。」
「よそ見してんじゃねえぞ、コラぁ!!」
ゲイリーさんが再びタルカスを戦いに引き戻す。自軍の数が減っているにも関わらず、タルカスは余裕を見せていた。戦況も確認しながら、ゲイリーさんの相手もしている。タルカスが驚くべき強さを持っているのは間違いない。その上、まだ隠し球を持っている。こうなるのも計算尽くだったのではとさえ思えてくる。
「ヴォルフさん、このまま戦っていても勝てると思いますが、イヤな予感がします。早々にこの場を片付け、ゲイリーさんに加勢しましょう!」
「オイもそう思っていたバイ。あの技で一気に片を付けた方が良さそうでゴワス!」
「ええ、あの技ですね。」
ヴォルフさんが僕の前に立ち、技のセットアップに入る。僕も魔力の収束を始める。この技の始動には僕の魔法力が決め手になってくるので責任重大だ。ヴォルフさんも準備段階として全身に炎の魔術を纏わせている。
「いきますよ、究極の合体技!」
「ドンと来い、でゴワス!」
魔力を解き放ち、ヴォルフさんを前方へ吹き飛ばす! その勢いを利用してヴォルフさんが頭から敵の集団に突っ込む体勢になる!
「豪熱爆炎火玉弾!!!!」
(ズド! ズド! ド! ドォン! バギャン!!)
ヴォルフさんは文字通り、炎を纏った弾丸になり、ゴーレムを次々と蹴散らしていった。追従剣をコントロールする技術の応用でヴォルフさんが動く起動をある程度制御も出来る。この特性で避けられたとしても、再度攻撃することが可能である!
「これで終わりだ!」
(ドギャアアッ!!)
最後の一団も壊滅した。意外なほどあっけなく終わった。とはいえ、僕達二人も消耗は激しい。普通に戦っていたら途中で力尽きる危険も多かったので、敢えてこの攻撃を使った。
「おお! 何ということだ! 我々の手勢が全滅してしまったではないか!」
「ぐははっ! 後はお前だけだ! 人形の大将さんよ!」
タルカスは部下が全滅したというのに動揺することもなく、芝居がかった演技で驚いている。やはりこれも作為的な物を感じざるを得ない。それでも、ゲイリーさんはお構いなしに攻撃を続けている。
「爆、竹撃!!!」
(ドッグワァァァァァァン!!!!!!)
「グォァァァァァッ!!!」
ゲイリーさんが爆発を伴う強烈な攻撃を食らわせた。タルカスはその衝撃で吹き飛びダウンした。四肢が欠損したり、派手に壊れてはいないが全身にヒビが生じていた。これを見る限り、虫の息というところまで追い詰めたのではないだろうか?
「ぐ、ぐぬぅ!? お、おのれ! このようなところで朽ち果てる訳にはいかぬ!」
「ハハッ! ザマァねえな、タルカスさんよ!人形の分際で俺っち達に刃向かうのがいけなかったんだよ!」
ボロボロのタルカスを見て、ゲイリーさんは勝ち誇っている。どう見ても、僕らの勝ちは目に見えている。でも、そこが引っかかった。あまりにも楽に勝ててしまったのはおかしいと。それはヴォルフさんも感じているようで、身構えた状態で様子を見守っている。
「行くぜ! 止めさしてやる! あの世でせいぜい悔しがりな!」
ゲイリーさんはタルカスに止めを刺そうと、剣を大きく振りかぶった。タルカスは諦めたように身動き一つしていない。だが、そこで異変が起きた。タルカスの体がその場から消失したのである!
「なあんちゃって!!」
タルカスはゲイリーさんの背後にいた。手の平をゲイリーさんの背中に押しつけている。その瞬間……、
(ボンッ!!!!)
大きな破裂音と共にゲイリーさんの体は吹き飛んだ。その体には大きな穴が空いている。そのまま遠くの地面に飛ばされ、ピクリとも動かなくなった。あんな大穴が空けば生きていられる人間がいるはずがない。
「ピンチが一転して、奇跡の大逆転という訳よ! 演出ってのはこうでなくちゃあなあ! 人間の間では定番だろう?」
得意げに語るタルカスの体はヒビが入った部分が崩れ落ちていき、中から別の新しい体が露わになった。黒い豪奢な鎧を纏ったような姿をしている! その体には今までのダメージが全く見られない!
「オーバーボディというヤツだ。我々が開発した偽装ボディの下に新型のボディを仕込んでおいたのだ! 驚いたであろう?」
これが彼らの切り札なのか! 今までの伝統的な戦闘用ゴーレム達は僕達の目を欺くためだったのだろう。彼の周りにはそれぞれ違う形状をした黒いボディを持つゴーレムが援軍として現れた。彼らの姿よりもゲイリーさんを仕留めた攻撃は何だったのだろう? あの攻撃に僕はかつてない脅威を感じ始めていた……。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
【悲報】人気ゲーム配信者、身に覚えのない大炎上で引退。~新たに探索者となり、ダンジョン配信して最速で成り上がります~
椿紅颯
ファンタジー
目標である登録者3万人の夢を叶えた葭谷和昌こと活動名【カズマ】。
しかし次の日、身に覚えのない大炎上を経験してしまい、SNSと活動アカウントが大量の通報の後に削除されてしまう。
タイミング良くアルバイトもやめてしまい、完全に収入が途絶えてしまったことから探索者になることを決める。
数日間が経過し、とある都市伝説を友人から聞いて実践することに。
すると、聞いていた内容とは異なるものの、レアドロップ&レアスキルを手に入れてしまう!
手に入れたものを活かすため、一度は去った配信業界へと戻ることを決める。
そんな矢先、ダンジョンで狩りをしていると少女達の危機的状況を助け、しかも一部始終が配信されていてバズってしまう。
無名にまで落ちてしまったが、一躍時の人となり、その少女らとパーティを組むことになった。
和昌は次々と偉業を成し遂げ、底辺から最速で成り上がっていく。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
完結まで毎日投稿!
2年ぶりに家を出たら異世界に飛ばされた件
後藤蓮
ファンタジー
生まれてから12年間、東京にすんでいた如月零は中学に上がってすぐに、親の転勤で北海道の中高一貫高に学校に転入した。
転入してから直ぐにその学校でいじめられていた一人の女の子を助けた零は、次のいじめのターゲットにされ、やがて引きこもってしまう。
それから2年が過ぎ、零はいじめっ子に復讐をするため学校に行くことを決断する。久しぶりに家を出る決断をして家を出たまでは良かったが、学校にたどり着く前に零は突如謎の光に包まれてしまい気づいた時には森の中に転移していた。
これから零はどうなってしまうのか........。
お気に入り・感想等よろしくお願いします!!
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません
青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。
だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。
女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。
途方に暮れる主人公たち。
だが、たった一つの救いがあった。
三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。
右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。
圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。
双方の利害が一致した。
※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる