上 下
227 / 331
第3章 第2幕 はぐれ梁山泊極端派【灰と青春と学園モノ!!】

第227話 筋肉ゴリラにトラブルと爆発は付きものです!

しおりを挟む

「むにゃ……ん?」


 砂浜でゲイリーが戻ってくるのを待つ間、つい居眠りをしてしまった。今日は早朝からだった上に毎夜の仕込みのために睡眠不足気味だったのだ。


「あれから、どれくらい経った? 居眠りできるくらいだから、それなりに経ってるよな?」


 独り言を言いながら辺りをキョロキョロと見回す。当然のように周囲はシーンと静まりかえっている。海水が波打つ音くらいしか聞こえない。おかしい。


「ゲイリーがいるところが静かになるはずがない。例え、夜だろうと、嵐だろうと、天と地が裂けたとしてもアイツは騒がしいはず。何かあったに違いない。」


 ヤツのいる場所ではトラブルと爆発は付きものだ。この学院に来た時から……いや、来る前から何らかのトラブルを起こしていた。ペットならまだしも、たまたま来たクエレさんに危害を加えたのには参った! 下手すりゃ、ロリババアに全員抹殺されていただろう。


「どうする? 様子を見に行くか?」

「見に行く必要などない。」


 急にどこからともなく男の声が聞こえてきた。森の方向から次第に誰かが近付いてきていた。さっきまでは誰もいなかったはず。転移魔法で移動してきたのかもしれない。となれば、声の主は実力のある魔術師のはず!


「フフフ、何をお探しかね?」

「誰だ? アンタ?」


 見たことのない顔だ。いわゆる優男といえる顔立ちで、ラヴァンと同系統の顔だ。でも、印象がまるで違う。傲慢が服を着て歩いている、みたいな感じで、自信に満ちあふれた表情をしている。そして、ある意味勝ち誇ったかの様な顔つきでもある。


「誰でもいいけど、ここ追加実習の会場よ? 受講者以外がいるのはおかしいのでは?」

「そんなものは我々には関係ない。学院に於いて、魔術結社浄化委員会に意見できる存在など、誰もいないのだ。」

「何!?」


 来た! ついに俺の前にも姿を現した! 例の水晶ゴーレム以来、音沙汰のなかった連中が行動を起こしたのか? 今のタイミングで俺らを葬るためかもしれない。ここは外界からも遮断されているし、絶好の機会ということか。


「魔獣結社ジョーカー委員会でしたっけ? 何の用? 飛び入りでサバイバルにお参加かな?」


 タニシお得意の空耳ネタでイジってみた。銀色カルメン同様、本気でそう聞こえてるらしい。アイツの耳、どうなってるんや?


「とぼけたことを言うな! 以前の不遜な行いを我々が許すとでも思っているのか! 私の傑作であるクリスタル・ゴーレムをよくも破壊してくれたな!」

「あの状況で壊すな、と言われても困るんだが?」


 そんな大切なモンを使って殺しに来るなよ。こっちは命がけだったんだから仕方ないじゃないか。なんで、壊れない前提になってるんだよ。 


「魔術研究の結晶とも言えるあの傑作を破壊したのは許しがたい行為だ! 私はショックで三日三晩眠れなかった程なのだぞ!」


 口ぶりからすると、この男はあのゴーレムを作ったということか? ではこの男の正体は……、


「アンタ、もしかして、親の七光りで有名な“自営ローン・アンマン汁”の方? 俺、ローン使うほど、お金に困ってないから!」

「何が七光りだ! 何がローンだ! バカにしているのか!」

「いやー、バカにしたくもなりますよ? だってお人形壊されて、三日三晩眠れんかったなんてお笑い話でしかないじゃないですか?」

「黙れ! 私は“七色の魔術師、ジェローム・アルカンシェル”だぞ! 私に対する愚弄はそこまでにしてもらおうか!」


 あー、あー。とうとう自分から正体を白状しやがったよ。言わなきゃいいのに。これじゃ、こっそり殺しに来た意味がなくなるのを理解しているんだろうか? よっぽど自分に自信があるのだろう。


「フフ、これを見てもふざけた事を言ってられるのかな?」


 七光りさんは目の前に大型の剣を出現させた。見覚えがある。ゲイリーの剣だ。ヤツの剣がここにあるということは……、


「貴様の仲間の一人は葬った。これはその戦利品だ。貴様の場合は何が戦利品になるのかな?」

「なんもねーよ! だいたいのめぼしい物は学長が持ってるから。学長に交渉でもするこった。」

「フン! まあいい。貴様がここで死ぬのは確定事項だ! レインボー・ブラスト!!!」


 おお、眩しい。いきなり得意魔法をブッ放ってきたな! これをどうやって凌ぐかが問題だ。今回は決闘じゃなくて、ガチバトルだ。どうやって殺さないように倒すかが問題だ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

【悲報】人気ゲーム配信者、身に覚えのない大炎上で引退。~新たに探索者となり、ダンジョン配信して最速で成り上がります~

椿紅颯
ファンタジー
目標である登録者3万人の夢を叶えた葭谷和昌こと活動名【カズマ】。 しかし次の日、身に覚えのない大炎上を経験してしまい、SNSと活動アカウントが大量の通報の後に削除されてしまう。 タイミング良くアルバイトもやめてしまい、完全に収入が途絶えてしまったことから探索者になることを決める。 数日間が経過し、とある都市伝説を友人から聞いて実践することに。 すると、聞いていた内容とは異なるものの、レアドロップ&レアスキルを手に入れてしまう! 手に入れたものを活かすため、一度は去った配信業界へと戻ることを決める。 そんな矢先、ダンジョンで狩りをしていると少女達の危機的状況を助け、しかも一部始終が配信されていてバズってしまう。 無名にまで落ちてしまったが、一躍時の人となり、その少女らとパーティを組むことになった。 和昌は次々と偉業を成し遂げ、底辺から最速で成り上がっていく。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜

駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。 しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった─── そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。 前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける! 完結まで毎日投稿!

2年ぶりに家を出たら異世界に飛ばされた件

後藤蓮
ファンタジー
生まれてから12年間、東京にすんでいた如月零は中学に上がってすぐに、親の転勤で北海道の中高一貫高に学校に転入した。 転入してから直ぐにその学校でいじめられていた一人の女の子を助けた零は、次のいじめのターゲットにされ、やがて引きこもってしまう。 それから2年が過ぎ、零はいじめっ子に復讐をするため学校に行くことを決断する。久しぶりに家を出る決断をして家を出たまでは良かったが、学校にたどり着く前に零は突如謎の光に包まれてしまい気づいた時には森の中に転移していた。 これから零はどうなってしまうのか........。 お気に入り・感想等よろしくお願いします!!

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません

青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。 だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。 女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。 途方に暮れる主人公たち。 だが、たった一つの救いがあった。 三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。 右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。 圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。 双方の利害が一致した。 ※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております

処理中です...