221 / 331
第3章 第2幕 はぐれ梁山泊極端派【灰と青春と学園モノ!!】
第221話 女帝(二代目)の圧政
しおりを挟む「オウ、結構オモロイことやってくれたのう!」
追加実習の内容が決定した翌日、俺は店の方に顔を出しに行った。例の島に行くまであと二日はあるので、せめてその間だけでも店の様子を見に行きたかったのだ。丁度その時、あのライバル店のオーナーがやってきたのだ。
「おや? “三匹の子豚”さんでしたっけ?」
「ちゃうわ、アホ! “サン”しか合うとらへんやんけ! しかも、豚とちゃう、言うてるやろが! 人数も違うとるやんけ! 一回のボケで、わしゃ、何回突っ込まなあかんねん!」
「いや~、やっぱ“三”回じゃないですかね?」
「何をうまいこと言うとんねん! 何でも“サン”に引っかけんなや!」
やっぱりお約束ですから、外せませんよね?やるべきことはやってもらわないと。でも、何しに来たんだろ? わざわざ、こんな朝から。俺だって、ちょっと遅めの朝メシ食べに来たくらいなんだよ?
「アンタらがおらへん時にチャンスやと思うて、怒濤の客呼び攻勢を展開したったのに! うまいこと業態変えて、切り抜けよったな!」
.
「ん? ああ、そうっすね? 元のオーナー一族がセクハラと猥褻物製造の不祥事をしでかしたんで、失脚したんすよ。」
例のあのエロ人形事件を切っ掛けにタニシ・タガメらオガワ一族は経営から撤退させられる事態に発展したのだ。代わりに経営者に就任したのが……ミヤコだったのである!
「今までとは真逆の、シャレついたカフェに方向転換しよってからに! ココの学生らにエラい好評になりよったんや! そんなん反則や! ワシらに出来へん様な業態になりよったんや!」
「ウチらパーティーの女帝(二代目)が強引に改革を推し進めたもんで、サーセン!」
女帝は権力を握った途端、大胆にも業態を大きく変化させたのだ! 前々から女帝は味には文句を付けていなかったものの、業態、店構え、メニューの内容には頻繁にケチを付けていた。
“映えない”、“華がない”、“イケてない”という、ダサダサ三原則なるものを突き付け、タニシ食堂を否定してきたのだ。三原則とか言っといて、三つとも意味が似通っていることを突っ込んではいけない! アナタも処されますよ!
「なんやねん! あの健康志向メニューとか言うのは? ワシらの“罪悪感マシマシ超極悪”メニューが刃が立たへん! あんなん、免罪符安売りバーゲンセールしとるようなもんやで! うさんくさい宗教家なんか、あのネーチャンは!」
「正解です! ある意味では! それに、遊び人のクセに、“インフルエンサー”とかいうシャレついた肩書き名乗ってるし! 香具師みたいなもん!」
なんか話がミヤコの陰口大会に移行してしまったな。まあ、店を巡る動きについては独断と偏見で覇道を突き進んでいるので、しゃーない。そういうのは独裁政権には付きものだ。
「誰が香具師だって? うさんくさい宗教家? 豚のクセに陰口叩いてんじゃないわよ、クソ豚!」
「豚ちゃうわ! どこから出てきよってん!」
「うわぁ、出た! 女帝がおいでなすった!」
噂をすればなんとやら……女帝が姿を現した。まさかの緊急事態に現場に緊張が走る! 商売敵とはいえ、サンディーのオッサンとの共闘も考えた方がいいのか?
「おい、そこのへっぽこ・ゆーしゃ! アンタ、この前、銀色カルメンとかいう女と遊んでたらしいな? 昨日、犬畜生に事情聴取したら、白状したから知ってるんだぞ? この浮気者!」
「銀色カルメンって何だよ! 銀仮面だぞ! それに女かどうかはわからんぞ? 正体が女疑いってだけだぞ! それに襲ってきたのはヤツからだ!」
「ほう? その割には必死に言い訳してるな? 本当の事を言え! でなければ、ウチらの上様に言いつけるぞ!」
上様て……。エルを変な呼び方するんじゃないよ! それにえるはそもそも粗方の事情は知ってるんだがなぁ。確かにその辺の情報はミヤコ達には伏せてるけど。
「はいはい、わかった。追加実習に行くまでなら店の経営に付き合うよ。」
「ハイは一回で良い! 貴様も処して、たっぷり絞ってやるから覚悟しておけ!」
「ハイハイ。」
ん? 一瞬の好きのうちに豚が姿を消している? 暴君が出てきたから逃げやったのか? あんなデカい図体で素早く姿をくらましやがった! 全く、油断も隙もへったくれも無い!
「ゴルァ! 言った矢先から言ってるだろうが! 処すぞ? 処してやるからな!」
やれやれ。実習に行くまでは付き合ってやるか。本当の事を話すわけにもいかんしな。ゆっくりのんびり休もうと思ったのに。次は決死のサバイバルが待ち受けているんだからな……。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
ダンジョンが義務教育になった世界で《クラス替え》スキルで最強パーティ作って救世主になる
真心糸
ファンタジー
【あらすじ】
2256年近未来、突如として《ダンジョン災害》と呼ばれる事件が発生した。重力を無視する鉄道〈東京スカイライン〉の全30駅にダンジョンが生成されたのだ。このダンジョン災害により、鉄道の円内にいた200万人もの人々が時空の狭間に囚われてしまう。
主人公の咲守陸人(さきもりりくと)は、ダンジョンに囚われた家族を助けるために立ち上がる。ダンジョン災害から5年後、ダンジョン攻略がすっかり義務教育となった世界で、彼は史上最年少のスキルホルダーとなった。
ダンジョンに忍び込んでいた陸人は、ユニークモンスターを撃破し、《クラス替え》というチートスキルを取得したのだ。このクラス替えスキルというのは、仲間を増やしクラスに加入させると、その好感度の数値によって自分のステータスを強化できる、というものだった。まず、幼馴染にクラスに加入してもらうと、腕力がとんでもなく上昇し、サンドバックに穴を開けるほどであった。
凄まじいスキルではあるが問題もある。好感度を見られた仲間たちは、頬を染めモジモジしてしまうのだ。しかし、恋に疎い陸人は何故恥ずかしそうにしているのか理解できないのであった。
訓練を続け、高校1年生となった陸人と仲間たちは、ついに本格的なダンジョン攻略に乗り出す。2261年、東京スカイライン全30駅のうち、踏破されたダンジョンは、たったの1駅だけであった。
【他サイトでの掲載状況】
本作は、カクヨム様、小説家になろう様でも掲載しています。
スキルスティール〜悪い奴から根こそぎ奪って何が悪い!能無しと追放されるも実はチート持ちだった!
KeyBow
ファンタジー
日常のありふれた生活が一変!古本屋で何気に手に取り開けた本のタイトルは【猿でも分かるスキルスティール取得法】
変な本だと感じつい見てしまう。そこにはこう有った。
【アホが見ーる馬のけーつ♪
スキルスティールをやるから魔王を倒してこい!まお頑張れや 】
はっ!?と思うとお城の中に。城の誰かに召喚されたが、無能者として暗殺者をけしかけられたりする。
出会った猫耳ツインズがぺったんこだけど可愛すぎるんですが!エルフの美女が恋人に?何故かヒューマンの恋人ができません!
行き当たりばったりで異世界ライフを満喫していく。自重って何?という物語。
悪人からは遠慮なくスキルをいただきまーーーす!ざまぁっす!
一癖も二癖もある仲間と歩む珍道中!
外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。
しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。
『ハズレスキルだ!』
同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。
そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
勇者パーティを追放されそうになった俺は、泣いて縋って何とか残り『元のDQNに戻る事にした』どうせ俺が生きている間には滅びんだろう!
石のやっさん
ファンタジー
今度の主人公はマジで腐っている。基本悪党、だけど自分のルールあり!
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のリヒトは、とうとう勇者でありパーティリーダーのドルマンにクビを宣告されてしまう。幼馴染も全員ドルマンの物で、全員から下に見られているのが解った。
だが、意外にも主人公は馬鹿にされながらも残る道を選んだ。
『もう友達じゃ無いんだな』そう心に誓った彼は…勇者達を骨の髄までしゃぶり尽くす事を決意した。
此処迄するのか…そう思う『ざまぁ』を貴方に
前世のDQNに戻る事を決意した、暗黒面に落ちた外道魔法戦士…このざまぁは知らないうちに世界を壊す。
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
異世界帰りの勇者は現代社会に戦いを挑む
大沢 雅紀
ファンタジー
ブラック企業に勤めている山田太郎は、自らの境遇に腐ることなく働いて金をためていた。しかし、やっと挙げた結婚式で裏切られてしまう。失意の太郎だったが、異世界に勇者として召喚されてしまった。
一年後、魔王を倒した太郎は、異世界で身に着けた力とアイテムをもって帰還する。そして自らを嵌めたクラスメイトと、彼らを育んた日本に対して戦いを挑むのだった。
金貨1,000万枚貯まったので勇者辞めてハーレム作ってスローライフ送ります!!
夕凪五月雨影法師
ファンタジー
AIイラストあり! 追放された世界最強の勇者が、ハーレムの女の子たちと自由気ままなスローライフを送る、ちょっとエッチでハートフルな異世界ラブコメディ!!
国内最強の勇者パーティを率いる勇者ユーリが、突然の引退を宣言した。
幼い頃に神託を受けて勇者に選ばれて以来、寝る間も惜しんで人々を助け続けてきたユーリ。
彼はもう限界だったのだ。
「これからは好きな時に寝て、好きな時に食べて、好きな時に好きな子とエッチしてやる!! ハーレム作ってやるーーーー!!」
そんな発言に愛想を尽かし、パーティメンバーは彼の元から去っていくが……。
その引退の裏には、世界をも巻き込む大規模な陰謀が隠されていた。
その陰謀によって、ユーリは勇者引退を余儀なくされ、全てを失った……。
かのように思われた。
「はい、じゃあ僕もう勇者じゃないから、こっからは好きにやらせて貰うね」
勇者としての条約や規約に縛られていた彼は、力をセーブしたまま活動を強いられていたのだ。
本来の力を取り戻した彼は、その強大な魔力と、金貨1,000万枚にものを言わせ、好き勝手に人々を救い、気ままに高難度ダンジョンを攻略し、そして自身をざまぁした巨大な陰謀に立ち向かっていく!!
基本的には、金持ちで最強の勇者が、ハーレムの女の子たちとまったりするだけのスローライフコメディです。
異世界版の光源氏のようなストーリーです!
……やっぱりちょっと違います笑
また、AIイラストは初心者ですので、あくまでも小説のおまけ程度に考えていただければ……(震え声)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる