138 / 331
第3章 第1幕 はぐれ梁山泊極端派【愛と勇気と学園モノ!!】
第138話 今日からお世話になりますんじゃ、コラァ!
しおりを挟む「ふああ、眠い……。」
翌日、眠たい目をこすりながら、授業に参加することになった。今は教室で授業が始まるのを待っている。それはもちろん、決闘対策をトレ坊先生立ち会いの下、行っていたからなんだが。方法はサヨちゃんと初めて会ったときや、冒険者ライセンス試験前と同じ、仮想世界を使用した。
「アニキ、初日から大丈夫でヤンスか? 初日からそんなだとみんなに舐められるでヤンスよ。」
「なめられないための秘密の特訓してたんだよ。決闘もあるわけだしな。」
一晩だけしか時間がなかったので、通常の時間を倍に引き延ばし特訓をしたのだが、習得には手間がかかった。たった一つの技とはいえ、性質の関係で手こずったのだ。芸当としては、魔法に近かったのが影響している。
「何の特訓でヤンスか?」
「秘密。」
タニシやゲイリーにはトレ坊先生の件は伏せているので、奴等が寝静まった頃に抜け出して行っていた。食事? 昨晩は予備の保存食や差し入れの残りがあったのでそれを食べた。これで何日かは持つ。それ以降は……決闘後の交渉でなんとかするつもり。だから絶対勝たないといけない。いや、負けたら追放されるからどの道勝たないとどうしようもないんだが。
「それよりもこのクラス……変わった人が多い様な気がするでヤンス。」
「気にするな。俺らも似たようなモンだ。ヘンに刺激して目を付けられたり、イチャモン付けられたりするなよ。」
確かに個性的なヤツが多いような気はする。検査の結果次第でランクが変わるとか言ってたので、ここは落ちこぼれ学級的なところかもしれない。陰気そうなヤツ、おどおどしたヤツ、やけに老けたヤツ、男女性別も入り乱れているし、タニシの様に獣人も何人かいる。魔術師っぽくない、筋肉質なゴリラ……違う、ありゃ、ゲイリーだ。外見ではアイツが一番違和感あるかもしれない。見た目的に魔法要素ゼロである。
「ありゃ! 言ってる矢先にゲイリーが誰かと揉めてるでヤンスよ!」
「マジか!?」
なんかガラの悪そうな目付きの悪い少年とメンチを切り合っている。「ヤンのか!」とか「なんだコラ!」とかお約束のセリフを発しながら、互いに眼力を集中させている。周りを見ても、二人に関わりたくないとばかりに離れたり、見ないフリをしていたりする。相手の少年側に加担するヤツもいないのを見る限り、アッチも孤立した人間なのかもしれない。
「ど、ど、ど、どうするでヤンス! 止めないとトラブルに発展するヤンス!」
「しゃあない! 止めないと新たなトラブルに巻き込まれる。それだけは避けねば!」
すでに発生させ、午後から決闘という事態に発展しているというのに、別の問題を発生させるわけにはいかない。こんなに連日トラブル発生させられてたら体がもたないし! すかさず立ち上がり止めに行く。
「ちょっと待て、お前ら! 朝から喧嘩はよろしくない! 朝起きてから急激に頭に血が上ると、体に悪いぞ!」
「その理屈で止めるのはおかしいヤンス。意味わかヤンス!」
「あぁ!? ヤンのか、コラ!!」
ガラの悪い少年は俺にメンチの矛先を変え、イチャモンを付けてきた。わかりやすいくらいにチンピラめいた行為だ。こういうお利口そうな魔術師の学校にもこんなヤツがいるんだな。とはいえ、よく見ると割と顔は良い方だし、着ている服も品がある。素性はグレたお坊ちゃんといったところか?
「なんだテメエら、見ねえ顔だな。そろいもそろって何モンだ?」
「今日からお世話になりますんじゃ、コラァ! よろしくお願いしますんじゃ、オラァ!」
「口調が丁寧なのか、乱暴なのかわからんヤンス!」
「それ以前に答えになってねえぞ! ふざけんな、コラ!」
俺たちの間に走る見えない火花がより一層激しくなったような気がする。威嚇しつつ挨拶したのがいけなかったかな?
「コラ! 何してる! 始めるぞ!」
一触即発の緊迫した状況にベストなタイミングでストップがかかった。先生が入ってきたようだ。さて、どうなる?
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
【悲報】人気ゲーム配信者、身に覚えのない大炎上で引退。~新たに探索者となり、ダンジョン配信して最速で成り上がります~
椿紅颯
ファンタジー
目標である登録者3万人の夢を叶えた葭谷和昌こと活動名【カズマ】。
しかし次の日、身に覚えのない大炎上を経験してしまい、SNSと活動アカウントが大量の通報の後に削除されてしまう。
タイミング良くアルバイトもやめてしまい、完全に収入が途絶えてしまったことから探索者になることを決める。
数日間が経過し、とある都市伝説を友人から聞いて実践することに。
すると、聞いていた内容とは異なるものの、レアドロップ&レアスキルを手に入れてしまう!
手に入れたものを活かすため、一度は去った配信業界へと戻ることを決める。
そんな矢先、ダンジョンで狩りをしていると少女達の危機的状況を助け、しかも一部始終が配信されていてバズってしまう。
無名にまで落ちてしまったが、一躍時の人となり、その少女らとパーティを組むことになった。
和昌は次々と偉業を成し遂げ、底辺から最速で成り上がっていく。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
完結まで毎日投稿!
2年ぶりに家を出たら異世界に飛ばされた件
後藤蓮
ファンタジー
生まれてから12年間、東京にすんでいた如月零は中学に上がってすぐに、親の転勤で北海道の中高一貫高に学校に転入した。
転入してから直ぐにその学校でいじめられていた一人の女の子を助けた零は、次のいじめのターゲットにされ、やがて引きこもってしまう。
それから2年が過ぎ、零はいじめっ子に復讐をするため学校に行くことを決断する。久しぶりに家を出る決断をして家を出たまでは良かったが、学校にたどり着く前に零は突如謎の光に包まれてしまい気づいた時には森の中に転移していた。
これから零はどうなってしまうのか........。
お気に入り・感想等よろしくお願いします!!
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません
青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。
だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。
女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。
途方に暮れる主人公たち。
だが、たった一つの救いがあった。
三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。
右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。
圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。
双方の利害が一致した。
※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる