135 / 331
第3章 第1幕 はぐれ梁山泊極端派【愛と勇気と学園モノ!!】
第135話 犬になるか or 犬死にするか?
しおりを挟む「じゃあさぁ、犬小屋作ってあげよっか? 食べ物も出してもらえると思うし。」
「しょぎゃわーーーーん!!!? テントとそんなに変わらんでヤンス!」
ミヤコとタニシは相変わらず、喜劇のようなやりとりを続けていた。こちらは重大な事実に気付いて焦っているというのに……。
「あくまでペットということにしといたら、脱法扱いになりそうなんじゃない? 魔獣とか使い魔飼ってる人もいるみたいだし。」
「ペット!? 使い魔!?」
「あのさあ、ここだけの話なんだけど、女子寮に可愛い子結構いるよ? 可愛がってもらえるんじゃない? プライド捨てたら、割といい思いできるんじゃないの?」
「ワハッ!? それはいい待遇かもしれないでヤンス! プライド捨てて、犬として生きてくのも悪くない気がしてきたヤンス!」
いかん! 早まるな、若者よ! タニシが変な誘惑に負けようとしている! ヘンな性癖に負けて、一段階上の変態にクラスチェンジしかかっている!
「……。」
ふと、トレ坊先生の石像がある場所に方向に目を移すと、エルが石像を見つめている光景が見えた。多分エルは石像の正体に気付いて思念波で会話しているのだろう。
《何か問題が発生したようですね?》
《発生っすよ! ヤバいっす! 死活問題ですよ! 食糧問題!》
《意外な所で障害が出てきましたね。》
これから困難な調査が待ってるというのに、しょうもないことが活動を妨げようとしている。腹が減っては戦は出来ぬ、腹が減ると腹が立つ、空き腹にまずい物はなし! 今はその、まずい物すら存在していない! どうすりゃいいんだ!
《私が多めに食べ物をもらって、差し入れするのはどうでしょう?》
《おお! エルが差し入れしてくれるんなら、なんとかなりそうだ!》
うん。それが一番堅実だろうな。エルの寮なら色々充実してそうだから、まともな物が食べられるかもしれない。そうだ、そうしよう!
《それは避けた方がよろしいかと……。それではいずれ彼ら、学園側に察知されてしまうでしょう。ここではそういうことですら、禁止されているのです。》
《な、なんだってー!?》
《気持ちはわかるけど、心の中で叫ぶのはやめて! 頭に響くから!》
いやー、つい普段のノリで叫んでしまう。それはさておき、差し入れとかそういう援助すら禁止されているとは。そんなしょうもないことにまで神経を尖らせんでもとは思う。
《じゃあ、どうすれば? 勇者がこんな学院の端っこで餓死なんて一生の恥…どころか餓死した勇者として永遠に語り継がれそう……。》
《考えすぎよ。流石にそんなことで語り継がれるなんてことはないはずだから……。》
《う~む、これは難問ですね。》
勇者が餓死か。聞いたことないよ、そんなの。というか、そんな死に方をした英雄なんているんだろうか? 戦い以外のことで死んだ人はいるかもしれんけど。
「もうあっしは犬として生きることに決めたでヤンス! ワンワン!」
「よーし、ポチ、お手!」
「お手っ!」
この話の最中にタニシはプライドを捨てて、本当に犬と化してしまったようだ……。しかも、なんか嬉しそうな顔してやがる。ドMが完全に極まってしまったようだ。俺も犬になるかな……。ワンワン……。
「おいーっす! なんか、また大物を捕まえてしまったッスよぉ!!」
さっきから姿が見えないと思っていたら……。付近の建物の影からゲイリーが上半身だけをこちらにのぞかせ、ドヤ顔でこちらを見ている。なんか嫌な予感しかしないんだが……。
「食料取ってきたッス! コレを今日の晩メシにしやしょうぜ!!」
(ズゥゥゥン!!!)
なんか先端に針の付いた虫みたいな尻尾を引っ張って獲物の巨大な図体を投げてよこした。虫っぽい尻尾とは裏腹に、体はライオンみたいな外見をしていた。おかしな所は尻尾だけじゃなくコウモリみたいな翼がついている。あれ? これは何か有名な怪物だったような気がするが……。
《マンティコアですね、これは。》
そうそう! それよ、それ! サヨちゃんが持っていた怪物辞典に載ってた! サソリの尻尾に獅子の体、コウモリの翼の怪物! 割と凶暴で危険な怪物だというが……。なんでこんな所にヤベぇ生き物がいるんだ? 待てよ? コレって、また何らかのトラブルが発生したんじゃなかろうか?
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
いずれ最強の錬金術師?
小狐丸
ファンタジー
テンプレのごとく勇者召喚に巻き込まれたアラフォーサラリーマン入間 巧。何の因果か、女神様に勇者とは別口で異世界へと送られる事になる。
女神様の過保護なサポートで若返り、外見も日本人とはかけ離れたイケメンとなって異世界へと降り立つ。
けれど男の希望は生産職を営みながらのスローライフ。それを許さない女神特性の身体と能力。
はたして巧は異世界で平穏な生活を送れるのか。
**************
本編終了しました。
只今、暇つぶしに蛇足をツラツラ書き殴っています。
お暇でしたらどうぞ。
書籍版一巻〜七巻発売中です。
コミック版一巻〜二巻発売中です。
よろしくお願いします。
**************
(完結)王家の血筋の令嬢は路上で孤児のように倒れる
青空一夏
恋愛
父親が亡くなってから実の母と妹に虐げられてきた主人公。冬の雪が舞い落ちる日に、仕事を探してこいと言われて当てもなく歩き回るうちに路上に倒れてしまう。そこから、はじめる意外な展開。
ハッピーエンド。ショートショートなので、あまり入り組んでいない設定です。ご都合主義。
Hotランキング21位(10/28 60,362pt 12:18時点)
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
婚約者の浮気現場に踏み込んでみたら、大変なことになった。
和泉鷹央
恋愛
アイリスは国母候補として長年にわたる教育を受けてきた、王太子アズライルの許嫁。
自分を正室として考えてくれるなら、十歳年上の殿下の浮気にも目を瞑ろう。
だって、殿下にはすでに非公式ながら側妃ダイアナがいるのだし。
しかし、素知らぬふりをして見逃せるのも、結婚式前夜までだった。
結婚式前夜には互いに床を共にするという習慣があるのに――彼は深夜になっても戻ってこない。
炎の女神の司祭という側面を持つアイリスの怒りが、静かに爆発する‥‥‥
2021年9月2日。
完結しました。
応援、ありがとうございます。
他の投稿サイトにも掲載しています。
狙って追放された創聖魔法使いは異世界を謳歌する
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーから追放される~異世界転生前の記憶が戻ったのにこのままいいように使われてたまるか!
【第15回ファンタジー小説大賞の爽快バトル賞を受賞しました】
ここは異世界エールドラド。その中の国家の1つ⋯⋯グランドダイン帝国の首都シュバルツバイン。
主人公リックはグランドダイン帝国子爵家の次男であり、回復、支援を主とする補助魔法の使い手で勇者パーティーの一員だった。
そんな中グランドダイン帝国の第二皇子で勇者のハインツに公衆の面前で宣言される。
「リック⋯⋯お前は勇者パーティーから追放する」
その言葉にリックは絶望し地面に膝を着く。
「もう2度と俺達の前に現れるな」
そう言って勇者パーティーはリックの前から去っていった。
それを見ていた周囲の人達もリックに声をかけるわけでもなく、1人2人と消えていく。
そしてこの場に誰もいなくなった時リックは⋯⋯笑っていた。
「記憶が戻った今、あんなワガママ皇子には従っていられない。俺はこれからこの異世界を謳歌するぞ」
そう⋯⋯リックは以前生きていた前世の記憶があり、女神の力で異世界転生した者だった。
これは狙って勇者パーティーから追放され、前世の記憶と女神から貰った力を使って無双するリックのドタバタハーレム物語である。
*他サイトにも掲載しています。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる