131 / 331
第3章 第1幕 はぐれ梁山泊極端派【愛と勇気と学園モノ!!】
第131話 魔術適正検査!?
しおりを挟む所変わって、お次は魔術適正検査が行われることになった。色々と簡単な試験というか、魔力とか集中力を測定したりするらしい。知らんけど。エル達、学院側から招待されたグループはもう既にこの検査を終えて、次のカリキュラムとやらに進んでいるらしい。
「それでは魔力量を測りますので、こちらの測定器に触れて下さい。それではそちらのコボルトさんから。」
測定担当の人が計測をタニシに促す。魔力測定器? これは目盛りと数値が書かれた円盤が付いた大がかりな装置だ。その数字盤の真ん中に針の様なものが付いている。数値は多分、魔力量を指し示すのだろう。誰も触れていないためか針は0の所で止まっている。例のデーモン・シードの汚染度を測るための装置に似ているかな?
「あっしからでヤンスね! あっしの迸る魔力をとくと見よ、でヤンス!」
「なんだ、その無意味なハリキリは?」
よくワカランがタニシは張り切っている。上機嫌で測定器に触る。装置から先端に水晶の付いた突起が付いているので、それに触れれば魔力が測れるらしい。
「ホチャーッ!!」
なんか、謎の雄叫びを上げている。それでも、測定器の目盛りは変化していない。ヘンに力みすぎてるから、測れないんじゃないのか?
「あの……もっと静かに集中するだけでいいんですよ?」
「そうでヤンしたか!? フンヌ!」
ここでようやく測定器に変化が現れた。針がピッ、ピッ、とちょっと上に上がった。その後も特に変化はなく、そのまま測定が終わってしまった。……少ない。
「う、う~ん、す、少ないですね。残念でした。」
「しょぎゃわーーーーん!?」
「少ないって……どれぐらい少ないってことなんすか?」
「普通に魔術を使わない、魔術適正のない一般人レベルの魔力量ですねえ……。」
一般人レベルか。まあ、そうだろうな。才能あるんだったら、ここに来るまでの間に魔法の一つや二つ身に付けてるだろうし。タニシが魔法を使ってるところを見たことがないし、順当な結果だろう。
「では次はそちらの東洋の方、どうぞ。」
「へーい!」
次は俺の番。東洋の人と呼ばれたが、この人は俺が勇者であることを知らない。この人も当然、魔術師なので額冠があったとしても勇者としては認識してくれないだろう。それ以前に、今の俺は“ただ普通の人”だ。さて、測定に集中しよう。
「むむ……。」
測定の素子に触れ、集中力を高める。魔法自体はサヨちゃんから基本を教わったので、それに忠実に使うようにしている。まあ、あんまり使ったことはないし、大した事も出来ないんだが。
「……んん!? あの、ちゃんと集中されてますか? 測定器に変化が見られないんですが……。」
「しゅ、集中はしてるっすよ!」
それでも変化は見えない。割と気張っているというのに……。これ以上やると出てはいけない物が出てきてしまいそうだ!
(ブリュリ!!)
「く、くちゃーーーい!?」
屁が出てしまった。その間、測定器に変化があったのか測定の人が目をこらして目盛りを観察している。
「むむ? よく見ると若干ですが目盛りは動いています。……最小の“1”ではありますが……。」
「す、少ない……!?」
う、うん! わかってたよ! 少ないのはね……。額冠ありで大魔法使っても、ショボい効果しか出なかったし……。やっぱ、俺、魔法も平均以下の力しかなかったのか。
「あ、アニキ、ど、ドンマイ!でヤンス……。」
「ありがとよ、タニシ。」
くやしいが、ここは現実を受け入れるしかない。色々禁止された上、ここで行使出来る力もスズメの涙程度しかないとは……。先が思いやられるなぁ。
「次は俺っちッスね!!」
最後はゲイリーだ。俺を押しのけ、鼻息を荒くして測定の素子をムンズと掴む。力みすぎだろ。
「壊れるので、もっと優しく使って下さい!」「ムンフゥ!!」
聞いちゃいないな。測定に集中しているし、妙に踏ん張っている。針はというと……激しく上下して、ワケのわからないことになっている!
(ピキン!!! ボンッ!!!)
妙な音を立てて、針が0より下に一気に振り切れた! そして、針は力を失ったようにダランと垂れ下がるような形になってしまった。これ、壊れたんじゃ……。
「ええ!? 馬鹿な!? こんな事見たことがない! 一体何をしたんですか? 壊れたかもしれません!」
「うそぉーーーん!?」
俺とタニシは同じように声を上げ、開いた口がしばらくそのままになってしまった。あーあ、下手したら、また修理費を払わないといけない。とほほ。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
よくある婚約破棄なので
おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。
その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。
言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。
「よくある婚約破棄なので」
・すれ違う二人をめぐる短い話
・前編は各自の証言になります
・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド
・全25話完結
【R18】ひとりで異世界は寂しかったのでペット(男)を飼い始めました
桜 ちひろ
恋愛
最近流行りの異世界転生。まさか自分がそうなるなんて…
小説やアニメで見ていた転生後はある小説の世界に飛び込んで主人公を凌駕するほどのチート級の力があったり、特殊能力が!と思っていたが、小説やアニメでもみたことがない世界。そして仮に覚えていないだけでそういう世界だったとしても「モブ中のモブ」で間違いないだろう。
この世界ではさほど珍しくない「治癒魔法」が使えるだけで、特別な魔法や魔力はなかった。
そして小さな治療院で働く普通の女性だ。
ただ普通ではなかったのは「性欲」
前世もなかなか強すぎる性欲のせいで苦労したのに転生してまで同じことに悩まされることになるとは…
その強すぎる性欲のせいでこちらの世界でも25歳という年齢にもかかわらず独身。彼氏なし。
こちらの世界では16歳〜20歳で結婚するのが普通なので婚活はかなり難航している。
もう諦めてペットに癒されながら独身でいることを決意した私はペットショップで小動物を飼うはずが、自分より大きな動物…「人間のオス」を飼うことになってしまった。
特に躾はせずに番犬代わりになればいいと思っていたが、この「人間のオス」が私の全てを満たしてくれる最高のペットだったのだ。
ドン引きするくらいエッチなわたしに年下の彼ができました
中七七三
恋愛
わたしっておかしいの?
小さいころからエッチなことが大好きだった。
そして、小学校のときに起こしてしまった事件。
「アナタ! 女の子なのになにしてるの!」
その母親の言葉が大人になっても頭から離れない。
エッチじゃいけないの?
でも、エッチは大好きなのに。
それでも……
わたしは、男の人と付き合えない――
だって、男の人がドン引きするぐらい
エッチだったから。
嫌われるのが怖いから。
公爵家御令嬢に転生?転生先の努力が報われる世界で可愛いもののために本気出します「えっ?私悪役令嬢なんですか?」
へたまろ
ファンタジー
ここは、とある恋愛ゲームの舞台……かもしれない場所。
主人公は、まったく情報を持たない前世の知識を持っただけの女性。
王子様との婚約、学園での青春、多くの苦難の末に……婚約破棄されて修道院に送られる女の子に転生したただの女性。
修道院に送られる途中で闇に屠られる、可哀そうな……やってたことを考えればさほど可哀そうでも……いや、罰が重すぎる程度の悪役令嬢に転生。
しかし、この女性はそういった予備知識を全く持ってなかった。
だから、そんな筋書きは全く関係なし。
レベルもスキルも魔法もある世界に転生したからにはやることは、一つ!
やれば結果が数字や能力で確実に出せる世界。
そんな世界に生まれ変わったら?
レベル上げ、やらいでか!
持って生まれたスキル?
全言語理解と、鑑定のみですが?
三種の神器?
初心者パック?
肝心の、空間収納が無いなんて……無いなら、努力でどうにかしてやろうじゃないか!
そう、その女性は恋愛ゲームより、王道派ファンタジー。
転生恋愛小説よりも、やりこみチートラノベの愛読者だった!
子供達大好き、みんな友達精神で周りを巻き込むお転婆お嬢様がここに爆誕。
この国の王子の婚約者で、悪役令嬢……らしい? かもしれない?
周囲の反応をよそに、今日もお嬢様は好き勝手やらかす。
周囲を混乱を巻き起こすお嬢様は、平穏無事に王妃になれるのか!
死亡フラグを回避できるのか!
そんなの関係ない!
私は、私の道を行く!
王子に恋しない悪役令嬢は、可愛いものを愛でつつやりたいことをする。
コメディエンヌな彼女の、生涯を綴った物語です。
破滅する悪役五人兄弟の末っ子に転生した俺、無能と見下されるがゲームの知識で最強となり、悪役一家と幸せエンディングを目指します。
大田明
ファンタジー
『サークラルファンタズム』というゲームの、ダンカン・エルグレイヴというキャラクターに転生した主人公。
ダンカンは悪役で性格が悪く、さらに無能という人気が無いキャラクター。
主人公はそんなダンカンに転生するも、家族愛に溢れる兄弟たちのことが大好きであった。
マグヌス、アングス、ニール、イナ。破滅する運命にある兄弟たち。
しかし主人公はゲームの知識があるため、そんな彼らを救うことができると確信していた。
主人公は兄弟たちにゲーム中に辿り着けなかった最高の幸せを与えるため、奮闘することを決意する。
これは無能と呼ばれた悪役が最強となり、兄弟を幸せに導く物語だ。
婚約者と義妹に裏切られたので、ざまぁして逃げてみた
せいめ
恋愛
伯爵令嬢のフローラは、夜会で婚約者のレイモンドと義妹のリリアンが抱き合う姿を見てしまった。
大好きだったレイモンドの裏切りを知りショックを受けるフローラ。
三ヶ月後には結婚式なのに、このままあの方と結婚していいの?
深く傷付いたフローラは散々悩んだ挙句、その場に偶然居合わせた公爵令息や親友の力を借り、ざまぁして逃げ出すことにしたのであった。
ご都合主義です。
誤字脱字、申し訳ありません。
誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。
塔の魔術師と騎士の献身
倉くらの
BL
かつて勇者の一行として魔王討伐を果たした魔術師のエーティアは、その時の後遺症で魔力欠乏症に陥っていた。
そこへ世話人兼護衛役として派遣されてきたのは、国の第三王子であり騎士でもあるフレンという男だった。
男の説明では性交による魔力供給が必要なのだという。
それを聞いたエーティアは怒り、最後の魔力を使って攻撃するがすでに魔力のほとんどを消失していたためフレンにダメージを与えることはできなかった。
悔しさと息苦しさから涙して「こんなみじめな姿で生きていたくない」と思うエーティアだったが、「あなたを助けたい」とフレンによってやさしく抱き寄せられる。
献身的に尽くす元騎士と、能力の高さ故にチヤホヤされて生きてきたため無自覚でやや高慢気味の魔術師の話。
愛するあまりいつも抱っこしていたい攻め&体がしんどくて楽だから抱っこされて運ばれたい受け。
一人称。
第一部完結済み!
現在は第二部をゆっくりと更新しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる