上 下
73 / 331
第2章 はぐれ梁山泊極端派【燃えよ、十字剣!!】

第73話 ハンバーグ仮面に3000点!!

しおりを挟む

「厳正なる審査の結果、優勝者が確定しました! ヘル・ヴァン・ブルグさんが二連覇を達成です!」


 ハンバーグ仮面の優勝が確定し、会場が沸き立った。観客達もそれを期待していたかのようだ。さすがに俺らのような一見さんでは無理だったのではとさえ思える。完全にアウェーな状態だ。


「それでは、審査員の皆様から一言ずつコメントを頂きましょう。順番に至高帝様からどうぞ!」


 総評か。まあ、こういう大会では定番だな。とりあえず参考に聞いておこう。


「優勝者は素晴らしかったが、まだまだ全体的にレベルが低い。伝統的な料理故、ありきたりな調理法に囚われがちだ。常に料理は至高を目指せ!」


 相変わらず手厳しい意見だな。ハンバーグ仮面以外は物足りないと言っているようなもんだ。


「ふむ、新規の参加者が増えたのは良いが、調理の吟味が足りていない者が多かった。参加を決める前に、今一度精進せいよ。」


 俺やタニシ、力士以外の連中もご新規さんだらけだったのか? 出場して名を上げようという輩が多かったのかもしれない。


「普通っちゃあ、普通だったけど、最後の三人は良かったね。思わず、一瓶空かしちゃったよ! 他のみんなも酒に合うヤツ、頼むよ!」


 一瓶空かしただとぉ! 飲み過ぎだ! しかも料理に合わせて何種類も取っ替え引っ替えしながら飲んでたよな? どんだけ飲んでんだよ、アンタは! ここは飲み屋じゃないんだぞ!


「ああもう、なんか、やられてもうた気分や。ワイのプロデュースした“アホ”シリーズが負けるとは思わへんかったわ。」


 自分の商品が負けたのがよほどショックだったみたいだな。やはり調味料単体では一流の味には敵わないのかもしれない。


「ホンマはなあ、ワイ、最後の点数……、」


 お? やはりやり過ぎた事を悔いているのか? 点数があり得ないことになってたからな。悔い改めよ!


「ホンマは三千点付けたかったんやぁぁぁ!!!!!!」


 悔いるどころか、更に点数を盛って来やがった! バカ言ってんじゃないよ! もう、そんなんルールが成り立たなくなるぞ! 


「せやさけ、ヴァンブルグ言うたか? 悪いこと言わへんさかい、ワイとなんか新商品でも考えへんか? うまいこといったら、世界も獲れるかもしれへんで?」


 点数盛った上にハンバーグ仮面にビジネス的な取引を持ちかけるとは! このオッサンの頭の中はうまい物と商売の事で一杯なのかもしれない。なにはともあれ銭次第でっせ、てな感じか?


「審査員の皆様、ありがとうございました。ここで味の女帝様からもメッセージがとどいておりますので、お読み上げ致します!」


 なんでまた、サヨちゃんなんだ! 参加してないクセにいちいちメッセージ送ってくるな! そこまでやるなら実際に来ればいいだろう!


「味の女帝ことサヨ・ギーネである! いつにも増して低レベルな争いだったようじゃな! 恥を知れ! 妾が参加しておれば、存在100%OFFの嵐が吹き荒れたであろう! もっと精進するがよい!」


 なんか怖いこと言ってる。過激にも程があるぞ。料理コンテスト如きで粛清の嵐を吹き荒らすのはやめろ。恐怖政治か!


「PS……勇者ロアよ。惜しかったのう。足掻いたつもりなんじゃろうが、まだまだ修行が足りぬわ! 今夜は枕を涙で濡らす情景が目に浮かぶぞ! それとヘル・ヴァン・ブルグよ! 妾の元にも今回のハンバーグを届けるように! 絶対じゃぞ! 以上。」


 チクショー! また名指しでイジって来やがった! なんでコンテストの内容を知ってるんだよ! 絶対どこかで魔法使って監視してるとしか思えない! こっそり覗いてないで、出てこいやぁ! そしてハンバーグ仮面に今回のメニューを催促する食い意地の張りよう! そんなことするなら、参加すればいいだろ!

 こうして波乱のハンバーグコンテストは謎の仮面男に阻まれる形で敗北し、幕を閉じたのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》 楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。 理由は『最近流行ってるから』 数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。 優しくて単純な少女の異世界冒険譚。 第2部 《精霊の紋章》 ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。 それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。 第3部 《交錯する戦場》 各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。 人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。 第4部 《新たなる神話》 戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。 連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。 それは、この世界で最も新しい神話。

俺だけステータスが見える件~ゴミスキル【開く】持ちの俺はダンジョンに捨てられたが、【開く】はステータスオープンできるチートスキルでした~

平山和人
ファンタジー
平凡な高校生の新城直人はクラスメイトたちと異世界へ召喚されてしまう。 異世界より召喚された者は神からスキルを授かるが、直人のスキルは『物を開け閉めする』だけのゴミスキルだと判明し、ダンジョンに廃棄されることになった。 途方にくれる直人は偶然、このゴミスキルの真の力に気づく。それは自分や他者のステータスを数値化して表示できるというものだった。 しかもそれだけでなくステータスを再分配することで無限に強くなることが可能で、更にはスキルまで再分配できる能力だと判明する。 その力を使い、ダンジョンから脱出した直人は、自分をバカにした連中を徹底的に蹂躙していくのであった。

異世界の約束:追放者の再興〜外れギフト【光】を授り侯爵家を追い出されたけど本当はチート持ちなので幸せに生きて見返してやります!〜

KeyBow
ファンタジー
 主人公の井野口 孝志は交通事故により死亡し、異世界へ転生した。  そこは剣と魔法の王道的なファンタジー世界。  転生した先は侯爵家の子息。  妾の子として家督相続とは無縁のはずだったが、兄の全てが事故により死亡し嫡男に。  女神により魔王討伐を受ける者は記憶を持ったまま転生させる事が出来ると言われ、主人公はゲームで遊んだ世界に転生した。  ゲームと言ってもその世界を模したゲームで、手を打たなければこうなる【if】の世界だった。  理不尽な死を迎えるモブ以下のヒロインを救いたく、転生した先で14歳の時にギフトを得られる信託の儀の後に追放されるが、その時に備えストーリーを変えてしまう。  メイヤと言うゲームでは犯され、絶望から自殺した少女をそのルートから外す事を幼少期より決めていた。  しかしそう簡単な話ではない。  女神の意図とは違う生き様と、ゲームで救えなかった少女を救う。  2人で逃げて何処かで畑でも耕しながら生きようとしていたが、計画が狂い何故か闘技場でハッスルする未来が待ち受けているとは物語がスタートした時はまだ知らない・・・  多くの者と出会い、誤解されたり頼られたり、理不尽な目に遭ったりと、平穏な生活を求める主人公の思いとは裏腹に波乱万丈な未来が待ち受けている。  しかし、主人公補正からかメインストリートから逃げられない予感。  信託の儀の後に侯爵家から追放されるところから物語はスタートする。  いつしか追放した侯爵家にザマアをし、経済的にも見返し謝罪させる事を当面の目標とする事へと、物語の早々に変化していく。  孤児達と出会い自活と脱却を手伝ったりお人好しだ。  また、貴族ではあるが、多くの貴族が好んでするが自分は奴隷を性的に抱かないとのポリシーが行動に規制を掛ける。  果たして幸せを掴む事が出来るのか?魔王討伐から逃げられるのか?・・・

ザ・タワー 〜俺にしかできない魔石を鑑定する能力!魔石を使っての魔法&スキル付与!この力で最強を目指す〜

KeyBow
ファンタジー
 世界初のフルダイブ型のVRMMOゲームにダイブしたはずが、リアルの異世界に飛ばされた。  いきなり戦闘になるハードモードを選んでおり、襲われている商隊を助ける事に。  その世界はタワーがあり、そこは迷宮となっている。  富や名誉等を得る為に多くの冒険者がタワーに挑み散っていく。  そんなタワーに挑む主人公は、記憶を対価にチート能力をチョイスしていた。  その中の強化と鑑定がヤバかった。  鑑定で一部の魔石にはスキルや魔法を付与出来ると気が付くも、この世界の人は誰も知らないし、出来る者がいないが、俺にはそれが出来る!  強化でパラメータを上げ、多くのスキルを得る事によりこの世界での生きる道筋と、俺TUEEEを目指す。  タワーで裏切りに遭い、奴隷しか信じられなくなるのだが・・・

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

処理中です...