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第2章 はぐれ梁山泊極端派【燃えよ、十字剣!!】

第63話 もしかして、速さが3倍だったりするんですか?

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 力士と意外な場所で再会し、リベンジを誓った後、作るハンバーグの構想を練りに練った。もっと思い切ったことをやらないといけないと感じた。前回は普通に得意料理を作っただけだし。


「アニキ、どんなのを作るか決まったでヤンスか?」

「うん。まあ、大体な。」


 ある程度、構想は固まった。ちょっとしたビックリメニューを披露するつもりだ。会場や審査員が驚く光景が目に浮かぶ。これで優勝はもらった!


「それよりお前はどうなんだ、タニシ? なんか秘策でもあるんか?」

「何を隠そう、あっしにはスペシャリテという物が存在してるでヤンス!」

「何じゃそれ!?」


 スペシャリテだと? いかにもおしゃれな言い方しやがって! タニシの料理の腕は意外といい。俺ほどじゃないけど。そもそも、ノウザン・ウェルにいたときは一人暮らしで自炊していたらしい。金持ちのボンボンとはいえ、帝王学の一環でそういうこともさせられていたようだ。


「目に物見せてやるでヤンスよぉ! くっひっひ!」

「俺も負けないからな!」
.

 今回は前のライセンス試験とは違って、知り合いが二人もいる。ある程度実力もわかっている。大して周囲のレベルがわからなかった前回とは違い、思い切ったことが出来そうなのだ。全力かつ斬新なアイデアで勝利を収めてみせよう! 勇者の名にかけて!


「失礼、貴公は勇者とお見受けするが?」

「なんかヘンな人が来たでヤンス!」


 コンテストに向けて気分を高めていたところに、何者かが話しかけてきた。大抵のヤツはコンテストに集中するあまり、俺が勇者と気付いてなかった。まあ、こんな所で騒ぎになっても困るからこれぐらいが丁度いい、なんて思っていた矢先だ。


「だとしたら、なんなんだ? 勇者が料理コンテストに参加しているのが、そんなにおかしいか?」

「フフ、確かにおかしいかもしれない。だが僕の目的は茶化すためではないと言っておこう。」


 見ると男は妙な仮面を付けている。コンテストを仮装パーティーとか仮面舞踏会的な物と勘違いしてないか? しかも、服装が赤系でまとめられている上に髪も赤い。全部赤ずくめだ。何、コイツ? 怪しい。衛兵さん、こっちです!


「とある知り合いから、貴公の噂を聞いていてね。なんでも、戦いだけじゃなく、料理も得意だそうじゃないか。」

「……!? むっ、どこでその話を聞いたんだ? というかお前は何者だ?」

「情報源については話せない。僕のことはヘル・ヴァン・ブルグとでも呼んでほしい。貴公に勝つ為にやってきた。ハンバーグは僕の得意料理なんでね。負けたくないのさ!」


 ヘル・ヴァン・ブルグ? なんかうさん臭ぇ~! 明らかに偽名臭いな。仮面付けてるし。名前もハンバーグもじっただけなんじゃないの? ちょっとカッコよさげな感じにアレンジしてるけど、俺にはわかるぞ! 俺にも見える! 嘘が見えるぞ!


「どこの誰だか知らんが、その挑戦受けてやるよ! “来た技全部跳ね返す”が我が極端派の信条だからな!」

「フフ、楽しみにしているよ! ハンバーグの貴公子が、その鼻、へし折ってみせる!」

「あわわ!? 二人の間に火花が散ってるでヤンス!」


 思わぬタイミングで新たなライバルが出現した。何者なんだ? 一体誰の回しモンだ? 黒幕が気になるところだが、今は料理に集中しよう。勝ったら、そのマスク剥がしてくれる!
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