上 下
26 / 331
第1章 はぐれ梁山泊極端派【私の思い出に決着を……。】

第26話 オジイチャンと一緒!

しおりを挟む

「アニキが心配でヤンス。どこに行ったでヤンスかねえ?」


 あっしとオジイチャンは別の空間にやってきたでヤンス。あとから来るはずのアニキだけ何故かやってこないでヤンス。前の所に取り残されてたり、別の所に行ったでヤンスかねえ?


「オジイチャン、どうするヤンスか? リーダー不在では動きようがないヤンス!」

「ふーむ、どうしたもんかのう? 異世界を行き来出来ても、人の居所は流石に儂でもわからんわい。」

「ええ~っ!? しょんなあぁ!?」


 これは詰みでヤンス。終わったでヤンス。あっしの人生がここで終わってしまうなんて。しかも正体不明のオジイチャンと一緒だなんて……。せめて女の子と一緒が良かったでヤンス。ミャーコちゃんやエルしゃんに会いたいでヤンス。


「会いに行けば問題なかろう。」

「ファッ!?」


 考えていることが読まれたでヤンス! いやいや、そんなことが出来るわけないヤンス。気のせいヤンス。


「気のせいではないぞい。筒抜けじゃ。特にお主の思考は単純すぎてダダ漏れなんじゃよ。」

「しょぎゃワーン!?」

「なんじゃ、その反応は?」


 も、漏れ? 思考が漏れションしてたでヤンス! ショックで漏れそうになるでヤンス! 恥ずかしヤンス!


「そんなことしとる場合か? まずはここがどこかを把握せねばなるまいて。」

「ワハッ!?」


 アニキがいないことに気を取られすぎていたでヤンス。はて? ワテ? ここはどこヤンス? でも、見覚えが……ってタマネギ臭いヤンス! あの宿場町でヤンスかな?


「お主の記憶にある場所なんじゃな? 早う、時期を特定せい。手掛かりを掴むのじゃ。」

「ワッフゥン?」


 多分、おとといくらいだと思うヤンス? まだ、太陽も低い位置ヤンスし、人通りも少ないヤンス。宿を出る日の朝ヤンスかな? よく見ると宿泊した宿が見えヤンス! ワん? ……見覚えのある人がいるヤンス? あの背中にしょってるあの剣はもしや?


「あの坊主じゃろう? 前の空間の時よりは成長しとるようじゃな。身長が伸びておる。」

「多分、おとといの朝ヤンス!」


 まさか、あの日の美少年がさっきのエルしゃんの弟と同一人物とは思ワンかったでヤンス! でも? なんであの日にここにいたんでヤンスかな? エルしゃんのことをつけてたでヤンス?


「お主の記憶と共通しとるからかのう? まあよいわ。追うぞい。」


 あの日、宿に入ってくる直前なのは間違いないヤンス。……てことはミャーコちゃんにも会えるヤンス。


「少年が宿に入ったヤンス。」

「儂らも入るぞい。様子を窺いつつ、あくまで普通の客として振る舞うぞ。酒でも頂くとするかのう。」

「そんなことしてたらバレるでヤンス!」


 オジイチャンの企みは阻止して、張り込みを続けるヤンス。でも、このままだとあの日のあっし自身に遭遇してしまうヤンス! いいんでヤンスかね? とりあえず、身は隠しておくヤンス。


「オヤジ、パンとスープをくれ! タマネギはいらねえから、入れるなよ!」

「……あいよ。」


 注文してるでヤンス。相変わらずのタマネギ嫌いでヤンスな。でも甘えは甘えでヤンス。この後、ミャーコちゃんに叱られる運命でヤンス。


「ワハッ!? あ、あ、あ! あっしが来たでヤンス!」


 自分の姿を見ることになるとは思ワンかったでヤンスな! でも、なんかおかしいヤンス?タマネギ馬鹿がついてきてないヤンス? 記憶と食い違っているヤンス。


「どういうことじゃ? 説明せい。」

「どう、って、いるはずのヤツがいないヤンス。」

「おかしいのう。これは少し警戒したほうがいいかもしれんのう。」


 ちょ! 恐いこと言わないで欲しいヤンス!何がくるかわからんヤンスから。心配になってきたでヤンス。


「おい、入れるなって言っただろ!」

「なんです? 具無しなんて聞いてないですよ。名物のタマネギをふんだんに使ったスープです。」

「違う!」


 始まったでヤンス! 例の問答が始まったヤンス。この辺りはまだ、あっしも聞いてなかった部分でヤンス。そろそろヤンス。


「だから、タマネギはいらないって言ってるだろ!」

「そう言われても困るんですよ、お客さん。スープの中からわざわざ取り除くのは無理ですよ。」

「……チッ!」


 そろそろ、ミャーコちゃんが来る頃でヤンス。おや? ミャーコちゃんが階段の所で見てるヤンス。この時点でちゃんと見てたんでヤンスなあ。あっ、少年のところへ向かっていくでヤンス。


「ダメだよ。好き嫌いしてちゃ!」

「……ムグッ!?」


 ここもそのまま同じ事が繰り返されるだけかと思ったら……ミャーコちゃんが予想外の行動に出たでヤンス! 手に取ったスプーンでタマネギを強引に少年の口に押し込んだでヤンス!


「仕返し! ざまあみろ!」


 あれは知っててやってるでヤンス! あれはこの後の展開を知らないと出来ないでヤンス!あのミャーコちゃんは生身のミャーコちゃんでヤンス!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

高難易度ダンジョン配信中に寝落ちしたらリスナーに転移罠踏まされた ~最深部からお送りする脱出系ストリーマー、死ぬ気で24時間配信中~

紙風船
ファンタジー
 入るたびに構造が変わるローグライクダンジョン。その中でもトップクラスに難易度の高いダンジョン”禍津世界樹の洞”へとやってきた僕、月ヶ瀬将三郎はダンジョンを攻略する様を配信していた。  何でも、ダンジョン配信は儲かると聞いたので酔った勢いで突発的に始めたものの、ちょっと休憩してたら寝落ちしてしまったようで、気付けば配信を見ていたリスナーに居場所を特定されて悪戯で転移罠に放り込まれてしまった!  ばっちり配信に映っていたみたいで、僕の危機的状況を面白半分で視聴する奴の所為でどんどん配信が広まってしまう。サブスクも増えていくが、此処で死んだら意味ないじゃないか!  僕ァ戻って絶対にこのお金で楽な生活をするんだ……死ぬ気で戻ってやる!!!! ※この作品は小説家になろう様、カクヨム様でも投稿しています。

お持ち帰り召喚士磯貝〜なんでも持ち運び出来る【転移】スキルで異世界つまみ食い生活〜

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ひょんなことから男子高校生、磯貝章(いそがいあきら)は授業中、クラス毎異世界クラセリアへと飛ばされた。 勇者としての役割、与えられた力。 クラスメイトに協力的なお姫様。 しかし能力を開示する魔道具が発動しなかったことを皮切りに、お姫様も想像だにしない出来事が起こった。 突如鳴り出すメール音。SNSのメロディ。 そして学校前を包囲する警察官からの呼びかけにクラスが騒然とする。 なんと、いつの間にか元の世界に帰ってきてしまっていたのだ! ──王城ごと。 王様達は警察官に武力行為を示すべく魔法の詠唱を行うが、それらが発動することはなく、現行犯逮捕された! そのあとクラスメイトも事情聴取を受け、翌日から普通の学校生活が再開する。 何故元の世界に帰ってきてしまったのか? そして何故か使えない魔法。 どうも日本では魔法そのものが扱えない様で、異世界の貴族達は魔法を取り上げられた平民として最低限の暮らしを強いられた。 それを他所に内心あわてている生徒が一人。 それこそが磯貝章だった。 「やっべー、もしかしてこれ、俺のせい?」 目の前に浮かび上がったステータスボードには異世界の場所と、再転移するまでのクールタイムが浮かび上がっていた。 幸い、章はクラスの中ではあまり目立たない男子生徒という立ち位置。 もしあのまま帰って来なかったらどうなっていただろうというクラスメイトの話題には参加させず、この能力をどうするべきか悩んでいた。 そして一部のクラスメイトの独断によって明かされたスキル達。 当然章の能力も開示され、家族ごとマスコミからバッシングを受けていた。 日々注目されることに辟易した章は、能力を使う内にこう思う様になった。 「もしかして、この能力を金に変えて食っていけるかも?」 ──これは転移を手に入れてしまった少年と、それに巻き込まれる現地住民の異世界ドタバタコメディである。 序章まで一挙公開。 翌日から7:00、12:00、17:00、22:00更新。 序章 異世界転移【9/2〜】 一章 異世界クラセリア【9/3〜】 二章 ダンジョンアタック!【9/5〜】 三章 発足! 異世界旅行業【9/8〜】 四章 新生活は異世界で【9/10〜】 五章 巻き込まれて異世界【9/12〜】 六章 体験! エルフの暮らし【9/17〜】 七章 探索! 並行世界【9/19〜】 95部で第一部完とさせて貰ってます。 ※9/24日まで毎日投稿されます。 ※カクヨムさんでも改稿前の作品が読めます。 おおよそ、起こりうるであろう転移系の内容を網羅してます。 勇者召喚、ハーレム勇者、巻き込まれ召喚、俺TUEEEE等々。 ダンジョン活動、ダンジョンマスターまでなんでもあります。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

俺だけステータスが見える件~ゴミスキル【開く】持ちの俺はダンジョンに捨てられたが、【開く】はステータスオープンできるチートスキルでした~

平山和人
ファンタジー
平凡な高校生の新城直人はクラスメイトたちと異世界へ召喚されてしまう。 異世界より召喚された者は神からスキルを授かるが、直人のスキルは『物を開け閉めする』だけのゴミスキルだと判明し、ダンジョンに廃棄されることになった。 途方にくれる直人は偶然、このゴミスキルの真の力に気づく。それは自分や他者のステータスを数値化して表示できるというものだった。 しかもそれだけでなくステータスを再分配することで無限に強くなることが可能で、更にはスキルまで再分配できる能力だと判明する。 その力を使い、ダンジョンから脱出した直人は、自分をバカにした連中を徹底的に蹂躙していくのであった。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

ママチャリってドラゴンですか!? ~最強のミスリルドラゴンとして転生した愛車のママチャリの力を借りて異世界で無双冒険者に~ 

たっすー
ファンタジー
フードデリバリーをしていたオレは、仕事中の事故で死んでしまい、異世界に転生した。 だけど転生した後も日雇い仕事に精を出すだけのうだつのあがらない毎日は変わらなかった。 そんなある日、路地裏の揉め事に巻き込まれる。 手酷い暴行を受け意識を失ってしまったオレを宿まで運び傷を治してくれたのは、オレよりも遅れてこの世界に転生してきた、元の世界にいた頃の愛車(ママチャリ)シルバーチャリオッツ号だった。 シルバーチャリオッツ号はこの世界にドラゴンとして転生してきており(でも見た目は自転車のまんま)、思念伝達のスキルで会話ができる(でもちょっとウザい)オレの相棒となる。 転生にともなって思念伝達以外にも様々なスキルを獲得していたシルバーチャリオッツ号は、この世界では超つよのチートドラゴンだった(でも見た目は自転車)。 転生前の自炊生活で学んだオレの料理の知識と、シルバーチャリオッツ号のチート能力を駆使して、オレたちは様々な問題を解決していく。 最強ママチャリとちょっと料理ができるだけのオレの異世界活躍譚。 あれ、もしかしてオレってオマケ?

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...