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第1章 はぐれ梁山泊極端派【私の思い出に決着を……。】
第7話 新手の弟子志願者か?
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エルを慰め、これで行く準備が整ったかと思った矢先、何かメンバー内の雰囲気が悪くなってしまった。ハッキリ言ってなにが起きたのかわからない。宿屋で俺が合流する前になにがあったんだ?
「師匠、俺っち、ワクワクが止まらないッスよう。憧れの勇者様に同行出来るなんて夢みたいッス!」
新メンバーのコイツだけハイテンションだ。脳天気だ。というより……コイツ、空気読めてねえ! まわりはどんよりムードなのに、コイツ一人だけ楽しくピクニック気分じゃねえか!
「お前、平時からそんなだと、なんかあったときに持たないぞ!」
あの時、タニシが一部始終を見ていたようだが、聞こうとすると話を逸らそうとする。同じ場所にいたゲイリーは寝ていたようだ。問題が起きた張本人、ミヤコも口を閉ざしている。珍しくなにも言わない。「何でもない。」の一点張りだ。あいつがあんな態度を取るんだから、なにか重大なことがあったに違いない。
「大丈夫ッス! 俺っち、スタミナには自信あるッスから!」
それに直接出来事を見ていないはずのエルも様子がおかしい。朝方の恐怖の感情は薄れたようだが、なにかソワソワしている。別の何かを心配しているようだ。
「それはどうかな? お前、戦いの真っ最中にスタミナ切れになっても知らねえからな?」
共通の手掛かりは一つ。あの場所には不自然な物があった。離れたテーブルに残されたスープの器。中にはタマネギが残っていた。三人ともあれを見ていたし、気にしていた。あの場にいた誰かとトラブルでも起こしたのだろう。ミヤコとなにかあって、タニシがその事実を隠している? 逆のパターンは考えにくい。タニシが問題を起こしていたらミヤコがからかうの必至だからだ。
「望むところッス!」
「望むのかよ! スタミナ切れを!」
そして、エルだ。不自然だ。あの動揺はおかしい。あの食べ残しの犯人を知っているのかもしれない。あれを見て誰かを思い出したのかも?
「失礼しますが、あなた方は勇者様ご一行でしょうか?」
新弟子と問答している間にエルの故郷らしき町が近くなってきていた。それにつれて人影が増え始めたと思っていた矢先、何者かが声をかけてきた。魔術師らしい身なりをした男だ。怪しい雰囲気ではなく、何か気品があるというか、貴族っぽさもある。しかもイケメンだ。
「そうだけど、あんた誰?」
「これは失礼、私の方から名乗るべきでしたね。私の名はラヴァンタージュ・モンブラン。ラヴァンとでもお呼び下さい。」
何者? いきなり俺らに声をかけてくるとは。まさか……また弟子入り志願者とかじゃないだろうな? もうそういうのいらないから。このむさ苦しいガチムチタマネギだけで十分なんで。あ、でも交換扱いなら許可する。むしろチェンジしたい。
「んで、なんの用?」
「私は勇者様に知り合いが同行していることを聞きつけ、こちらにいらっしゃるということでお待ちしていたのです。」
「知り合い? 誰の?」
俺は当然知らんのでメンバーに振り返って確認してみる。でも、みんな一律にキョトンとしている。ただしタマネギ野郎は除く。なんかこのラヴァンとか言う人に期待の眼差しを送っている。なにを期待してるんだ? まさか貴族とお近づきになれるのを期待してるのではなかろうな?
「知り合いと言っても、ご存じないかもしれません。ですが、その方のご家族とはお付き合いがございます。」
その視線は俺の斜め後ろにいる人物に向けられている。タマネギがしゃしゃり出てきたため、いつもの俺の隣のポジションから外れている。エルだ。謎の魔術師は彼女のことを見ている。
「知ってる人? 親戚とか?」
同じ町の人なのか? 知り合いを名乗るってことは親戚とかの可能性はある。
「知りません。あなたは何者ですか?」
「……ですが、私は貴女のことを良く知っています。いえ、知っていなければならない立場なのです。」
「……は?」
俺はあきれた。突然妙な事を言い始めた男に不信感を覚えた。彼女のなにを知っていると言うんだ? 俺がこの世で一番エルのことを知っているという自負はある。場合によっちゃ、この男をぶちのめさないといけない。
「エレオノーラ・グランデ、私はグランデ家次期当主の貴女の……婚約者なのです!」
「なんだと!」
俺は絶句した。とんでもないことを口走った、この男に対して怒りがふつふつとわき上がり始めた。
「師匠、俺っち、ワクワクが止まらないッスよう。憧れの勇者様に同行出来るなんて夢みたいッス!」
新メンバーのコイツだけハイテンションだ。脳天気だ。というより……コイツ、空気読めてねえ! まわりはどんよりムードなのに、コイツ一人だけ楽しくピクニック気分じゃねえか!
「お前、平時からそんなだと、なんかあったときに持たないぞ!」
あの時、タニシが一部始終を見ていたようだが、聞こうとすると話を逸らそうとする。同じ場所にいたゲイリーは寝ていたようだ。問題が起きた張本人、ミヤコも口を閉ざしている。珍しくなにも言わない。「何でもない。」の一点張りだ。あいつがあんな態度を取るんだから、なにか重大なことがあったに違いない。
「大丈夫ッス! 俺っち、スタミナには自信あるッスから!」
それに直接出来事を見ていないはずのエルも様子がおかしい。朝方の恐怖の感情は薄れたようだが、なにかソワソワしている。別の何かを心配しているようだ。
「それはどうかな? お前、戦いの真っ最中にスタミナ切れになっても知らねえからな?」
共通の手掛かりは一つ。あの場所には不自然な物があった。離れたテーブルに残されたスープの器。中にはタマネギが残っていた。三人ともあれを見ていたし、気にしていた。あの場にいた誰かとトラブルでも起こしたのだろう。ミヤコとなにかあって、タニシがその事実を隠している? 逆のパターンは考えにくい。タニシが問題を起こしていたらミヤコがからかうの必至だからだ。
「望むところッス!」
「望むのかよ! スタミナ切れを!」
そして、エルだ。不自然だ。あの動揺はおかしい。あの食べ残しの犯人を知っているのかもしれない。あれを見て誰かを思い出したのかも?
「失礼しますが、あなた方は勇者様ご一行でしょうか?」
新弟子と問答している間にエルの故郷らしき町が近くなってきていた。それにつれて人影が増え始めたと思っていた矢先、何者かが声をかけてきた。魔術師らしい身なりをした男だ。怪しい雰囲気ではなく、何か気品があるというか、貴族っぽさもある。しかもイケメンだ。
「そうだけど、あんた誰?」
「これは失礼、私の方から名乗るべきでしたね。私の名はラヴァンタージュ・モンブラン。ラヴァンとでもお呼び下さい。」
何者? いきなり俺らに声をかけてくるとは。まさか……また弟子入り志願者とかじゃないだろうな? もうそういうのいらないから。このむさ苦しいガチムチタマネギだけで十分なんで。あ、でも交換扱いなら許可する。むしろチェンジしたい。
「んで、なんの用?」
「私は勇者様に知り合いが同行していることを聞きつけ、こちらにいらっしゃるということでお待ちしていたのです。」
「知り合い? 誰の?」
俺は当然知らんのでメンバーに振り返って確認してみる。でも、みんな一律にキョトンとしている。ただしタマネギ野郎は除く。なんかこのラヴァンとか言う人に期待の眼差しを送っている。なにを期待してるんだ? まさか貴族とお近づきになれるのを期待してるのではなかろうな?
「知り合いと言っても、ご存じないかもしれません。ですが、その方のご家族とはお付き合いがございます。」
その視線は俺の斜め後ろにいる人物に向けられている。タマネギがしゃしゃり出てきたため、いつもの俺の隣のポジションから外れている。エルだ。謎の魔術師は彼女のことを見ている。
「知ってる人? 親戚とか?」
同じ町の人なのか? 知り合いを名乗るってことは親戚とかの可能性はある。
「知りません。あなたは何者ですか?」
「……ですが、私は貴女のことを良く知っています。いえ、知っていなければならない立場なのです。」
「……は?」
俺はあきれた。突然妙な事を言い始めた男に不信感を覚えた。彼女のなにを知っていると言うんだ? 俺がこの世で一番エルのことを知っているという自負はある。場合によっちゃ、この男をぶちのめさないといけない。
「エレオノーラ・グランデ、私はグランデ家次期当主の貴女の……婚約者なのです!」
「なんだと!」
俺は絶句した。とんでもないことを口走った、この男に対して怒りがふつふつとわき上がり始めた。
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