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第5章 完成!究極の超次元殺法!!
第321話 天、地、人。
しおりを挟む「ありゃ? おかしいな? あのジジイ、いないぞ?」
いつもの場所を訪れたのはいいが、見慣れた光景がいつもと違っていた。いつも豪快に飲み食いしている姿は、今はない。あのジジイがいないだけで、店の中の雰囲気はまるでちがった物になっている。
「やれやれ。とうとう歳の割に飲み過ぎて、くたばったんじゃないか?」
「いやいや、あんなジジイは殺したって死なねーよ。ボケて店を間違えて、飲んでるんじゃない?」
あんな酒好きが飲まないなんて事があるはずない。あの手の酒飲みは朝も昼も晩も飲み続けてるようなもんだ。酒がないと生きてはいけない様な人間だ。
「なんじゃあ? お主ら、儂のおらん所で散々な事を言ってくれるもんじゃのう!」
「うわあ! で、出たあ!」
突如、気配もなく現れた。さっきまでいなかったし、まだ酒も飲んでないみたいだから、化けて出てきたのかもしれない!
「儂ゃ、死んどらんし、ボケてもない。今日はちょっと、思うことがあって休肝日にすることにしたんじゃ!」
休肝日だと! 酒飲みに休日なんてあったのか? ボケてはないんだろうけど、きっと頭を打っておかしくなったのでは?
「頭打った? それとも熱でも出たのか?」
「こりゃあ! まだそのような事をいうのか! 儂ゃ、どこもおかしくなっとらんわい! 明後日、盛大に飲み明かすための余力を作っとるんじゃ。」
明後日……。決勝戦の行われる日だ。まさか、俺が負けたことを酒の肴にして、飲もうってんじゃないだろうな? 不謹慎なジジイだ。俺は……負けたら、死ぬっていうのに。それとも、俺を弔うつもりで飲み明かすとでも言うのだろうか?
「俺の負けをアテにしようって言うんなら、趣味が悪すぎるぜ、ジイさん。」
「……? 何を言っとる? お主は負けんじゃろ? お主の祝勝会の為に取っておくんじゃよ。」
「勝てるわけないだろ。俺は覚悟を決めて負けに行くんだ。」
そう。勝てるなんて、思っちゃいない。負ける……それは俺にとっての死を意味している。相手は俺を処刑するためにやってきた。逃げることは出来ない。でも、立ち向かう。せめて最後だけでも、胸を張って正々堂々と戦って死にたい。今までの自分にけじめを付けるために。
「お主は勝つ。負けることはない。これは予言……いや、確定事項じゃ。」
「何言って……?」
「お主には勝つ未来しか見えん。何が起きようとそれは変わらん。」
確定事項とか、勝つ未来が見えるとか……。とうとうボケてしまったようだ。そんなのあり得るはずがない。
「儂には未来が見える。未来どころか、過去すらも見える。道を究めた瞬間から見えるようになった。そして……お主も次第にそうなりつつある。」
「俺にそんなこと出来るわけ……、」
「出来る。お主は儂と同類。いや……儂は歳を食うまで、極められんかった。お主は儂よりも随分早く到達しつつある。儂は強さを求めるが故、時間がかかった。お主は逆に弱かったから儂よりも早く到達出来るんじゃ。」
一体、何の根拠があって、そんなことを言っているのだろう? 言ってることが理解できない。
「以前、お主は似たような事を他の誰かに言われたことがあるのではないか? 少なくとも二人から言われたことがあるはずじゃ。」
「二人……?」
言われたのだろうか? サヨちゃんと初めて会ったときに奥義の可能性については言われたことがあったような? 後の一人は……まさか! 師父のことを言っているのか? 何でだ? このジイさんにはそんなこと話してはいない。なんで知っているんだ? なんでそんなことがわかるんだ?
「いずれわかる。お主はあと少しの所まで来ておる。運命に身を委ねるのじゃ。自然体で受け入れるのじゃ……全てを。」
何か、未来・過去が見えるだけじゃなくて、心の中まで見られているみたいだった。
「なあ、あんた、一体何者なんだよ?」
「ただの酒好きの老人じゃよ。……どうしても呼びたければ、ホァン、黄ジイとでも呼ぶがよい。」
もちろん、聞いたことのない名前だ。梁山泊関係者にそんな名前の人はいなかったと思う。……でも、なんでだろう? その名前に懐かしさを感じる。本名さえ、昔から知っているような気がした。
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