277 / 401
第5章 完成!究極の超次元殺法!!
第277話 避けては通れない。
しおりを挟む
「いやあ、ぶったまげたなあ!奇跡の大逆転勝利!」
その日の晩、また飲み屋にいた。今日はジジイだけじゃなく、ファルもいる。それはそうとしてエルちゃんの勝利を我が事のように喜ぶ俺。今日の試合は特に見所もなく、知り合いの強豪達が順当に勝ち上がるものと思っていたら……、まさかのエルちゃん大ピンチ。…からの、大逆転勝利だ。これが興奮せずにいられるかっての!
「さすが我が嫁!(※彼の自惚れです。事実とは異なります。)エルちゃん最高や!」
「何が嫁だ。フラれた分際で。勘違いも大概にしとけよ。」
「うるせー!」
酒も飲んでないのに、最高にいい気分だった。酒なんか別にいらんかったんや!
「あのべっぴんさんがお主の思い人とはのう。なんか不釣り合いな組み合わせじゃが、何が切っ掛けで知り合うたんじゃ?」
おっ、聞いちゃう?なら、俺の武勇伝込みで語ってやろう。
「悪魔退治に行ったら、悪魔の正体があの娘だったの。それで悪魔の支配から助けてあげたら惚れられちゃってさあ。(※一部事実と異なります。)」
「何が惚れられた、だ。成り行きでテメエが保護してただけだろうが。」
「そうとも言う。」
ファルの余計なツッコミを華麗にスルーする。
「なんじゃ?えエラいろまんちっくな出会い方をしとるんじゃなあ。うらやましいのう。」
「ロマンチックなものか。実際には多少のエロ要素が含まれてんだぜ?」
「ほほう!」
何がエロ要素だ。その言い方はある意味、彼女に対しての侮辱でもある。許さんぞ。
「エロ要素とか言うな!人の美しい思い出を壊さんといて!」
酒をあおりながら、ジジイは豪快に笑う。しばらく笑った後、急に神妙な顔つきになった。
「そういえば、あの娘さん、最近になって武術を習い始めたと言っておったな?」
「ああ、そうだとも。俺と違って筋がいいから短期間で強くなったし、今日なんて究極奥義まで使えるようになった。」
「とうとう、テメエも追いつかれちまったワケだ。」
「いやいや、まだだよ。俺の到達した領域には達してないもん!」
今日の彼女が見せたのは二段階目の霽月八閃だった。俺は今三段階目を使える。とはいえ追いつかれるのは時間の問題かもしれない。
「武術の才能があるというのは良いことじゃ。じゃが、短期間で急激に強くなるのは、決して良いことばかりではないんじゃ。」
「それって、どういう……?」
ジジイが何を言おうとしているのかわからなかった。いいことずくめじゃないのか?対極の存在である俺には全く想像が出来ない。むしろ、俺のようにつまづきまくって、ロクに技を習得出来ない方が問題なのではないだろうか?
「習得の過程が短いということは、その途上での経験も浅くなるのじゃよ。成功よりも失敗から得られる経験の方が重要なんじゃ。それが抜け落ちているということは、重大な過ちに繋がりかねん。」
「失敗しまくって自信がなくなるよりはいいだろ。自信を持って戦えるのは悪い事じゃないと思う。」
「お主のような人間は自信の持ち方が重要なのじゃが、世に言う天才という奴等は話が違うのじゃ。どう躓いて学ぶかが重要なのじゃ。」
どう失敗するか?俺みたいな人間には雲の上の話みたいに聞こえる。俺が見てきた世界とは別次元の事柄のように思えてくる。
「天才とは脆いものじゃ。凡人には他愛のない躓きに思えても、当人には大きな爪痕となって傷が残る。下手をすれば、それが原因で命を落とすことにもなる。」
下手をすれば命取りになる?おいおい、怖いことを言わないでくれよ。彼女がそんなことになったら俺はどうしたらいいんだ。現実に起きたら耐えられる気がしない。
「それに……あの娘さん、思い込みが強すぎるんではないかのう。無茶をすることも辞さない傾向があるのではないかえ?この先、強敵と当たれば、必要以上に力を出して自滅する可能性も考えといた方がええぞ。」
「ば、バカなこと言ってんじゃねえよ!」
俺は思わず席から立ち上がって叫んでしまった。無理にでも否定したくて、大声を上げてしまった。周りの客も何事だとざわめいている。
「悪いことは言わん。あの娘を自滅させたくなければ、大会から棄権させることじゃ。」
「そんなことできるわけ……ないだろ。」
「そうじゃろうな。じゃが、覚悟しておけ。この大会中でなくとも、いずれ儂の言ったことは必ず起こる。避けては通れん道じゃ。」
今、回避できたとしても起きることなのか。だとしたら、俺はどうすればいいんだろう?彼女に何をしてあげられるんだろう?
「避けては通れんが、お主という人間がおる。どんな困難も一丸となって挑めば、乗り越えられる。二人なら苦しさも半分に、楽しさ、幸せは倍になるということじゃ。心しておくがよい。」
その時ばかりは目の前のジイさんがただの酔っ払いには見えなかった。まるで師父、それどころかもっと偉い師匠から手解きを受けているように感じた。この老人は何者なのだろう?どこか遠い高みにいる神のようにも思えた。
その日の晩、また飲み屋にいた。今日はジジイだけじゃなく、ファルもいる。それはそうとしてエルちゃんの勝利を我が事のように喜ぶ俺。今日の試合は特に見所もなく、知り合いの強豪達が順当に勝ち上がるものと思っていたら……、まさかのエルちゃん大ピンチ。…からの、大逆転勝利だ。これが興奮せずにいられるかっての!
「さすが我が嫁!(※彼の自惚れです。事実とは異なります。)エルちゃん最高や!」
「何が嫁だ。フラれた分際で。勘違いも大概にしとけよ。」
「うるせー!」
酒も飲んでないのに、最高にいい気分だった。酒なんか別にいらんかったんや!
「あのべっぴんさんがお主の思い人とはのう。なんか不釣り合いな組み合わせじゃが、何が切っ掛けで知り合うたんじゃ?」
おっ、聞いちゃう?なら、俺の武勇伝込みで語ってやろう。
「悪魔退治に行ったら、悪魔の正体があの娘だったの。それで悪魔の支配から助けてあげたら惚れられちゃってさあ。(※一部事実と異なります。)」
「何が惚れられた、だ。成り行きでテメエが保護してただけだろうが。」
「そうとも言う。」
ファルの余計なツッコミを華麗にスルーする。
「なんじゃ?えエラいろまんちっくな出会い方をしとるんじゃなあ。うらやましいのう。」
「ロマンチックなものか。実際には多少のエロ要素が含まれてんだぜ?」
「ほほう!」
何がエロ要素だ。その言い方はある意味、彼女に対しての侮辱でもある。許さんぞ。
「エロ要素とか言うな!人の美しい思い出を壊さんといて!」
酒をあおりながら、ジジイは豪快に笑う。しばらく笑った後、急に神妙な顔つきになった。
「そういえば、あの娘さん、最近になって武術を習い始めたと言っておったな?」
「ああ、そうだとも。俺と違って筋がいいから短期間で強くなったし、今日なんて究極奥義まで使えるようになった。」
「とうとう、テメエも追いつかれちまったワケだ。」
「いやいや、まだだよ。俺の到達した領域には達してないもん!」
今日の彼女が見せたのは二段階目の霽月八閃だった。俺は今三段階目を使える。とはいえ追いつかれるのは時間の問題かもしれない。
「武術の才能があるというのは良いことじゃ。じゃが、短期間で急激に強くなるのは、決して良いことばかりではないんじゃ。」
「それって、どういう……?」
ジジイが何を言おうとしているのかわからなかった。いいことずくめじゃないのか?対極の存在である俺には全く想像が出来ない。むしろ、俺のようにつまづきまくって、ロクに技を習得出来ない方が問題なのではないだろうか?
「習得の過程が短いということは、その途上での経験も浅くなるのじゃよ。成功よりも失敗から得られる経験の方が重要なんじゃ。それが抜け落ちているということは、重大な過ちに繋がりかねん。」
「失敗しまくって自信がなくなるよりはいいだろ。自信を持って戦えるのは悪い事じゃないと思う。」
「お主のような人間は自信の持ち方が重要なのじゃが、世に言う天才という奴等は話が違うのじゃ。どう躓いて学ぶかが重要なのじゃ。」
どう失敗するか?俺みたいな人間には雲の上の話みたいに聞こえる。俺が見てきた世界とは別次元の事柄のように思えてくる。
「天才とは脆いものじゃ。凡人には他愛のない躓きに思えても、当人には大きな爪痕となって傷が残る。下手をすれば、それが原因で命を落とすことにもなる。」
下手をすれば命取りになる?おいおい、怖いことを言わないでくれよ。彼女がそんなことになったら俺はどうしたらいいんだ。現実に起きたら耐えられる気がしない。
「それに……あの娘さん、思い込みが強すぎるんではないかのう。無茶をすることも辞さない傾向があるのではないかえ?この先、強敵と当たれば、必要以上に力を出して自滅する可能性も考えといた方がええぞ。」
「ば、バカなこと言ってんじゃねえよ!」
俺は思わず席から立ち上がって叫んでしまった。無理にでも否定したくて、大声を上げてしまった。周りの客も何事だとざわめいている。
「悪いことは言わん。あの娘を自滅させたくなければ、大会から棄権させることじゃ。」
「そんなことできるわけ……ないだろ。」
「そうじゃろうな。じゃが、覚悟しておけ。この大会中でなくとも、いずれ儂の言ったことは必ず起こる。避けては通れん道じゃ。」
今、回避できたとしても起きることなのか。だとしたら、俺はどうすればいいんだろう?彼女に何をしてあげられるんだろう?
「避けては通れんが、お主という人間がおる。どんな困難も一丸となって挑めば、乗り越えられる。二人なら苦しさも半分に、楽しさ、幸せは倍になるということじゃ。心しておくがよい。」
その時ばかりは目の前のジイさんがただの酔っ払いには見えなかった。まるで師父、それどころかもっと偉い師匠から手解きを受けているように感じた。この老人は何者なのだろう?どこか遠い高みにいる神のようにも思えた。
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
私のスローライフはどこに消えた?? 神様に異世界に勝手に連れて来られてたけど途中攫われてからがめんどくさっ!
魔悠璃
ファンタジー
タイトル変更しました。
なんか旅のお供が増え・・・。
一人でゆっくりと若返った身体で楽しく暮らそうとしていたのに・・・。
どんどん違う方向へ行っている主人公ユキヤ。
R県R市のR大学病院の個室
ベットの年配の女性はたくさんの管に繋がれて酸素吸入もされている。
ピッピッとなるのは機械音とすすり泣く声
私:[苦しい・・・息が出来ない・・・]
息子A「おふくろ頑張れ・・・」
息子B「おばあちゃん・・・」
息子B嫁「おばあちゃん・・お義母さんっ・・・」
孫3人「いやだぁ~」「おばぁ☆☆☆彡っぐ・・・」「おばあちゃ~ん泣」
ピーーーーー
医師「午後14時23分ご臨終です。」
私:[これでやっと楽になれる・・・。]
私:桐原悠稀椰64歳の生涯が終わってゆっくりと永遠の眠りにつけるはず?だったのに・・・!!
なぜか異世界の女神様に召喚されたのに、
なぜか攫われて・・・
色々な面倒に巻き込まれたり、巻き込んだり
事の発端は・・・お前だ!駄女神めぇ~!!!!
R15は保険です。
異世界初の悪役令嬢に転生しました~悪役令嬢語しか話せないなんて!どなたか正確に翻訳してくださいまし~
めしめし
恋愛
普通のアラサー派遣社員である神野恵(かみのめぐみ)。
駄女神の陰謀により車に二度もはねられ、とどめにイケメンの頭突きにより非業の最後を迎えてしまう。
そんな彼女の使命は、異世界初の悪役令嬢になること。
「あなたには常に悪役令嬢として振舞ってもらいます。生まれた時から悪役令嬢のあなたは、歳を重ねるごとにパワーアップするわ。あなたの悪名はギロチンされるまで続くのよ。」
さりげなく、「ギロチン」って言った?
「あなたの魅力に王太子殿下もベロベロよ!とことんまで惚れさせてやりなさい!
そしてバッサリと切り捨てるのよ。」
それって一番あかんやつやん…。
転生した彼女は、生まれながらにして悪役令嬢語を獲得。
話す言葉全てが悪役令嬢語に翻訳されてしまうのだ。
「いくら無能なお兄様でも、ここで死なれては寝覚めが悪くってよ(みんな準備で忙しいから、私だけでもと様子を見にきました。)」
「だってドリアーヌ様のように派手な色でごまかさなければいけないほど、自分の容姿に困ってはございませんわ。(ドリアーヌ様は、素敵な色のドレスをお召しですね。)」
ツンデレとはまた違った強制執行される悪役令嬢語。
さらに選択肢システムで、悪役令嬢らしさをパワーアップ。
1.これであなたもクールビューティ!真っ黒なドレス
2.セクシーさを協調!全身シースルーのベージュドレス
3.末代まで語られるインパクト!怪獣の着ぐるみ
感動あり、笑いあり、笑いあり、笑いありのスーパーコメディファンタジー。
異世界初の悪役令嬢になるべく転生された神野恵改め、メリー・アンポワネットの運命はいかに!?
異世界で 友達たくさん できました ~気づいた時には 人脈チート~
やとり
ファンタジー
突然異世界に迷い込んでしまった主人公。気づいたときに目の前にいた、色々と変わった(一応美少女の)天使に異世界について色々教わることに。
異世界では様々な(個性的な)人に出会ったり、魔界に連れていかれたり、お城に招待されたり……。
そんな中、果たして主人公はどのような異世界生活を送るのだろうか。
異世界に迷い込んだ主人公が、楽しい異世界生活を送ろうと、現地の様々な人と交流をしたり、一緒に何かを作ったり、問題をなんとかしようと考えたりするお話です。
山も谷も大きくなく、比較的のんびり進行です。
※恋愛要素等々、じっくり進む予定です
誤字脱字、表現が分かりにくいなどありましたら、遠慮なく教えていただけますとありがたいです。
※追いつくまでは毎日投稿します。
※カクヨム様にて先行投稿しています
女性として見れない私は、もう不要な様です〜俺の事は忘れて幸せになって欲しい。と言われたのでそうする事にした結果〜
流雲青人
恋愛
子爵令嬢のプレセアは目の前に広がる光景に静かに涙を零した。
偶然にも居合わせてしまったのだ。
学園の裏庭で、婚約者がプレセアの友人へと告白している場面に。
そして後日、婚約者に呼び出され告げられた。
「君を女性として見ることが出来ない」
幼馴染であり、共に過ごして来た時間はとても長い。
その中でどうやら彼はプレセアを友人以上として見れなくなってしまったらしい。
「俺の事は忘れて幸せになって欲しい。君は幸せになるべき人だから」
大切な二人だからこそ、清く身を引いて、大好きな人と友人の恋を応援したい。
そう思っている筈なのに、恋心がその気持ちを邪魔してきて...。
※
ゆるふわ設定です。
完結しました。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど
富士とまと
ファンタジー
一緒に異世界に召喚された従妹は魔力が高く、私は魔力がゼロだそうだ。
「私は聖女になるかも、姉さんバイバイ」とイケメンを侍らせた従妹に手を振られ、私は王都を追放された。
魔力はないけれど、霊感は日本にいたころから強かったんだよね。そのおかげで「英霊」だとか「精霊」だとかに盲愛されています。
――いや、あの、精霊の指輪とかいらないんですけど、は、外れない?!
――ってか、イケメン幽霊が号泣って、私が悪いの?
私を追放した王都の人たちが困っている?従妹が大変な目にあってる?魔力ゼロを低級民と馬鹿にしてきた人たちが助けを求めているようですが……。
今更、魔力ゼロの人間にしか作れない特級魔力回復薬が欲しいとか言われてもね、こちらはあなたたちから何も欲しいわけじゃないのですけど。
重複投稿ですが、改稿してます
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる