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第2章 黒騎士と魔王

第49話 勇者ロア探検隊~決死の行軍!砦跡にデーモアン・コアを追え!!~

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 一行はデーモンの潜伏先の砦へと向かっていた。砦は近くの小高い山の上に存在しているため、イーストウッドの町からも確認できた。見えてはいるものの、割とその道中は険しく、見た目より時間がかかるらしかった。
 
 なんでも、破棄されるまでは難攻不落の砦として有名だったらしく、魔王戦役の時にも拠点として重宝されたそうだ。そんな場所が今となっては逆にデーモンの住処と化しているのは皮肉なものだ。国破れてナントやらといったところか?国は破れてないんだろうけど。


「なんか近付いたと思ったら、また遠のいて、っていう繰り返しになってるのは気のせいですかね?」

「仕方なかろう。攻める際に道程が容易なら難攻不落とは呼べんじゃろう。こういう不便さも含めて、砦を難攻不落たらしめておるのじゃ。」

「そ、そりゃ、そうだな。たはは。」


 そういえば、昔、兵法の座学で似たような話を聞いたようなことがあるような気がする。敵さん相手に交通の便を良くするわけにもいかんしな。


「なんか、いやな寒気がしてきたんだけど、これも気のせいではないよね?」


 雰囲気というか、明るさというか、こんな天気悪かったかな、という違和感を感じるようになった。


「もちろん、貴公の気のせいではない。魔の気配を感じ取ったようだな。上出来だ。第一チェックポイントは合格と言っておこうか。」

「お、お褒めにあずかり光栄です。」


 いろいろ試されてんな。こんなちょっとしたことでも細かくみているのか。まあ、「試す」宣言はあった分、まだ良心的かもしれない。


「適正のないものは、わずかな魔の気配すら感じ取ることは出来ない。その時点で魔族に先手を取らせることになり得るのだよ。」


 何?出来ないやつもいるだと?そうなのか?ある意味、梁山泊では気配察知など基礎中の基礎なので普通だったが。悪魔狩りも基本はそこから入るということか。


「デーモン・シード探知は基本的にこの測定器を使用する。おおよその位置、強度は特定できる。だが、瞬時には探知できない故、戦闘には不向きだ。それ以前に手も塞がってしまうがね。」


 黒い人は数字と目盛り、そして細い針が付いている、持ち手付きの箱を取り出して見せてきた。これで強度を測るようだ。他に羅針盤のようなものが付いているのがわかった。これで位置というか、方向を探知するのか。


「へー、これが探知機か。よくできてんな。」


 なにか、釦の様なものを押してから作動させるようだ。どういう仕組みで動いているのかはしらないが。


「これは魔光石を使用している。魔光石に蓄えられた魔力の分だけ使用できる。連続使用では一時間程しか持たない。出来るだけ節約して使用しなくてはならない。」


 点けっぱなし且つ、頼り切りで使うわけにはいかないということか。おや?測定器からキリキリという音が出ているようだ。さっき、作動させてから、ようやく測定出来る段階になったようだ。ほんの少し針が動き、方向も砦の方を指し示している。


「このように、作動に時間がかかる。故に多用はできない。」


 確かに、こんなだと作動を待っている間にやられてしまうかもな。
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