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初めてのダブル女王様
しおりを挟む女王様二人に責められるコースがSMクラブにはある。
所謂、3pと言うやつだ。
普通の風俗店にもあるとは思うが、SMクラブでは結構な需要がある。
そして、女王様は二人だけではなく、三人・四人と増やす事も出来る。
今回は、初めて先輩女王様とプレイに行った話だ。
私を指名してくれた彼のカウンセリングシートに目を通すと
ストーリープレイに印が付いていた。
私はこの時に、初めてストーリープレイを体験するのだが
このプレイは分かりやすく言えば、お客様のオナニーネタを
リアルに行う事である。日々、妄想している内容を紙に記して
我々女王様はそれ通りに行う。もしくは、それよりも深い何かを
お客様に提供するのだ。
今回の彼は「道でたまたますれ違ったお姉さん二人に因縁を付けられる。」
お風呂から出てきた彼は驚く。
何故なら、知らない女性が勝手に部屋に入り煙草を燻らせているからだ。
何故?と言う問いが頭をよぎる前に女性はソファーから立ち上がり
ハイヒールを鳴らしながら近寄ってくる。
自分よりも幾分も背の高い女性に怯えながらも、彼は問いかける。
「な、何なんですか?!」
思っていたよりも彼の声が震えている事に女性は気付いて
馬鹿にしたように鼻で笑いながら、彼の髪を掴み目線を合わせる。
「何ですかじゃねえよ。」
女性は煙草の煙と吐き出しながら、彼に言葉を投げつける。
すっかり怯えてしてしまった彼を床に投げ、頭を踏みつける。
事態を把握出来ない彼は抵抗しようと体を起こすが
女性はゆっくりと体重をかけるので、上手く体は起き上がる事が出来ない。
もがく彼の頭上で女性は言葉を続ける。
「お前、さっき道で唾吐いただろう。」
「・・・え?」
必死に頭の中で彼はホテルに来るまでの道のりを思い出した。
駅に着いて、コンビニ寄り、そしてこのホテルでチェックインを済ませた。
その中で確かに自分は口の中が気持ち悪くなり、道端に唾を吐いた。
しかし、彼は隠すように、もしくは人にかからないようにしたはずだ。
確かに、そこに人はいなかった。
「え?・・・じゃねえんだよ!」
一度浮いた足が、また彼の頭を踏みつける。
混乱する頭が鈍い痛みで、少し冷静になる。
「お前の汚い唾が私の靴にかかったんだよ!」
「す、すみません!」
咄嗟に謝るが、女性にそんな言葉は通用しないようで
罵声がただひたすら降り注いでくる。
その時、部屋のインターホンが鳴り、頭への重みが無くなる。
天の助けだと、彼は跳ぶように立ち上がり、扉へ駆け寄る。
急いで扉を開けると、そこには別の女性が不機嫌そうに腕を組んで立っていた。
この女性はいったい誰なのか。頭の中を整理する前にその女性は彼を押しのけて
扉をくぐった。少しぐらついた彼の腕を取り、部屋へ向かう女性。
すると、部屋にいる女性が手を引く女性に声をかける。
「すみません、来ていただいて・・・Rさん。」
Rさんと呼ばれた女性は「いいのよ。」と言いながら
彼の腕を離し、部屋の中央へ押す。
よろけながら、部屋の中央でへたり込む彼にRと呼ばれた女性が
「こいつ?Sちゃんの靴を汚したの?」
「そうなんです。しかもこいつ、しらをきってて・・・」
ベットに腰かけながらため息をつくR。
それを見てソファーに座り、脚を組むSと呼ばれた女性。
「ぼ、僕が何をしたって言うんですか!」
虚勢とも取れるその態度にRは、呆れたように笑ってみせる。
それを見たSは静かに、しかしはっきりとした口調で言った。
「汚したものは綺麗にしないと。」
「え?」
「でも、その前にちゃんと謝罪してもらわないとね。」
突然、視界が暗くなったかと思うと額に鈍い痛みが走った。
Rが、彼の髪を掴んで床に叩き付けたのだ。
そして頭上から冷たい言葉が降る。
「大人なんだからちゃんと謝りな?」
「お前の汚い唾がかかった。」
たった女性二人。彼が本気で抗えばどうにか出来るはずなのだ。
しかし、彼にそれをさせない何かが彼女たちにはあった。
大人しく従うしかない。そう思った彼は縺れる舌で必死に謝罪した。
「す、すみませんでした!」
すると、わき腹に鈍い痛みが走る。
どうやら蹴られたようだ。頭を押さえつけられている彼に
確認する術がないので、正確な事がわからない。
カツカツと部屋に響くヒールの音。
そして背中に感じる重み。
声の位置を考えるとRが土下座する彼の上に座り
Sが彼の周りをくるくると歩いてまわっているのだろう。
「すみませんじゃねえよ、申し訳ございません、だろうが!」
また、わき腹に痛みが走る。
そして、背中の上からは笑い声。
「も、申し訳・・・ございません。」
「声が小さいよー」
「申し訳ございません!」
頭上ではRとSが相談する声が聞こえる。
「どうする?」「そうですね・・・」こそこそと小さな声せ何か話すと
ふと、背中が軽くなった。軽くなったと同時に、彼は名残惜しい気持ちを
覚え、すぐに首をふった。何が名残惜しいのか。やっと解放されたのではないか。
すぐに顔をあげ、体を起こし彼女たちを力でねじ伏せてやろうではないか。
そう思い、顔を上げると目の前にはSの足があった。
「さて、綺麗にしてもらおうか?」
目線を足首から膝、そして太ももから腰へ。
ゆっくりと移動させてSの顔を見ると、先ほどまで
罵声をあびせていたのが嘘のように優しく笑っていた。
戸惑う彼に、今度はRが声をかける。
「謝った次は、綺麗にしないとね。」
Rに視線を向ければ、またSと同じように笑っている。
彼は視線を黒光りする、エナメルのハイヒールへ移す。
これを舐めるのか。
外を歩き回って汚れたこの靴を。
冷静な彼なら絶対に拒否するだろう。
しかし、二人に責められながら暴行を受けた彼に冷静さなどない。
ただただ、彼を支配するのは恐怖のみ。
そして、恐怖だけを与えていた彼女たちが、今は優しく微笑んでいる。
彼は躊躇しなかった。
ただ苦痛でしかないはずのその行為が
この世の苦痛すべてから解放されるための
素晴らしい行為だと彼は信じてやまなかった。
そして、Sの足に手を添え舌を伸ばす。
頭上ではSとRが楽しそうに笑っている。
その声を聞きながら、先ほどまで汚らわしいと思っていた靴に舌を這わせた。
「うわあ!本当に舐めたよ!こいつ!」
「信じられない!外を歩き回った靴なのに!」
彼を馬鹿にする声が飛び交う。
しかし、そんな声も彼には心地よい声でしかなかった。
必死に舐める靴とは反対の靴が、おもむろに彼の股間に伸びる。
「Rさん、こいつ勃起してる。」
「嘘、きもい。」
いつからなんだろうか、彼は自分でもわからなかった。
気か付けば、そこが熱くなり下着を汚していた。
そしてSがつま先で下着越しに弄ぶその感覚ですら快感になる。
「自分で腰振って押し付けてきてるんですよ。」
「変態だね。」
彼女たちの声が遠くに聞こえるほど、彼は必死に靴に舌を這わせていた。
そしてこみ上げてくる快感に声が漏れだす。
止まらない腰の動き、段々と絶頂に近くづいてくる。
すると、舌から、股間から、足が遠のいた。
「もう綺麗になったからいいや。」
「あ・・・」
名残惜しそうに声を漏らす彼を見て、Rが近寄ってくる。
Sの隣に腰をかけて足を差し出してくる。
「私の靴も汚れるんだけどな。」
嗚呼、もう逃れる事は出来ない。
彼は悟り、黙って舌を伸ばした。
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