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4章ミスキャンパス決勝戦
4、最低な人達
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ドスのきいた声はお父様だった。
「マリーにヒョイ様を取られたのが、悔しくてしかたないのね。
本当は自分がコンテストにでたいんでしょうけどあの器量じゃ、さすがにねー。
だから司会者になって、マリーを動揺さす作戦にでたのね。
悪い女!」
お父様の隣でキイキイ声をあげるのは、お約束どおり継母ネーネだ。
「お久しぶりです。お父様お継母様。
相変わらずマリーへの溺愛ぶりはイタイほどですこと」
「黙れ。オリビア。
そうだ。1ついい事を教えてやる。
ワシとオマエはすでに親でも子でもない。
オマエの籍はもう、シトロン公爵家にはないのだからな」
お父様は太短い指で私を指さすと、汚れた歯をむき出して笑った。
「オリビア。私達を恨んではダメよ。
すべて自分の高慢さが招いたことなんだから。
ところでアナタあ。
控室にもいなかったけれど、マリーは一体どこにいるのかしら。
決勝戦の前に一言励ましてやりたかったのに、残念だわ」
「どこかでヒョイ様とイチャついてるんだろう。
2人はラブラブ。
でシトロン公爵家は安泰。
いいか、オリビア。
これからは絶対ワシらに話しかけてくるなよ」
「言われなくてもそうするつもりよ」
眉をひそめて会場を後にする私の背中に、次から次へと罵声が浴びせられる。
「あんな言葉一体どこで覚えたのかしらね」
心から2人に幻滅して、ルネの控室に向かっていると、視線の先をバーネットが横切った。
すぐに声をかけようとしたが、バーネットはあわてた様子で一直線に廊下を突っ切ってゆく。
なんとなく胸騒ぎがした。
と同時に
「きゃあああー」
とルネの悲鳴がこちらまで響いてきたのだ。
「何があったの!?」
あわててルネの控室に到着すると、ズタズタに切り裂かれたドレスを手にして、泣きべそをかいているルネがいる。
「決勝で着るはずのドレスが、ビリビリに破られているの」
「あの真っ白なドレスが?」
それはルネの清楚さが引き立つように私とぺぺがデザインした物で、襟元の水色のビジューとふんわりとしたスカートのラインが特徴のドレスだった。
「そう。
さっき邸から持ってきて控室のロッカーに保管していたの」
「それからずーとルネは控室にいたのね?」
「いえ。1度だけ出て行ったわ。
誰かが私をよんでるような声が聞こえてきたから。
けど、空耳だったみたいですぐに部屋へ戻ってきたんだけど。
やられたとしたら、その時しか考えらないの」
「なーるほどね。そうなると犯人の心当たりは1人しかいないわね」
「まさかマリーが?」
「そうよ」
さっき見かけたバーネットの姿と、うすら笑いをうかべるマリーの顔が脳内で交差する。
「他に誰がいるっていうのよ」
強い声をだしたとたん、開けっ放しのままだった扉から誰かが飛びこんできた。
「お姉様!
よくもそんな酷い事を言えるわね。
私がやったっていう証拠もないくせに!
あら、失礼。
もう元お姉様になるのよね」
胸の前で両手をくみ、グイと顎を上げ勝ち誇った顔をしたマリーが、私の前に立ちはだかる。
最低人間度数ボス級レベルのお出ましだった。
「マリーにヒョイ様を取られたのが、悔しくてしかたないのね。
本当は自分がコンテストにでたいんでしょうけどあの器量じゃ、さすがにねー。
だから司会者になって、マリーを動揺さす作戦にでたのね。
悪い女!」
お父様の隣でキイキイ声をあげるのは、お約束どおり継母ネーネだ。
「お久しぶりです。お父様お継母様。
相変わらずマリーへの溺愛ぶりはイタイほどですこと」
「黙れ。オリビア。
そうだ。1ついい事を教えてやる。
ワシとオマエはすでに親でも子でもない。
オマエの籍はもう、シトロン公爵家にはないのだからな」
お父様は太短い指で私を指さすと、汚れた歯をむき出して笑った。
「オリビア。私達を恨んではダメよ。
すべて自分の高慢さが招いたことなんだから。
ところでアナタあ。
控室にもいなかったけれど、マリーは一体どこにいるのかしら。
決勝戦の前に一言励ましてやりたかったのに、残念だわ」
「どこかでヒョイ様とイチャついてるんだろう。
2人はラブラブ。
でシトロン公爵家は安泰。
いいか、オリビア。
これからは絶対ワシらに話しかけてくるなよ」
「言われなくてもそうするつもりよ」
眉をひそめて会場を後にする私の背中に、次から次へと罵声が浴びせられる。
「あんな言葉一体どこで覚えたのかしらね」
心から2人に幻滅して、ルネの控室に向かっていると、視線の先をバーネットが横切った。
すぐに声をかけようとしたが、バーネットはあわてた様子で一直線に廊下を突っ切ってゆく。
なんとなく胸騒ぎがした。
と同時に
「きゃあああー」
とルネの悲鳴がこちらまで響いてきたのだ。
「何があったの!?」
あわててルネの控室に到着すると、ズタズタに切り裂かれたドレスを手にして、泣きべそをかいているルネがいる。
「決勝で着るはずのドレスが、ビリビリに破られているの」
「あの真っ白なドレスが?」
それはルネの清楚さが引き立つように私とぺぺがデザインした物で、襟元の水色のビジューとふんわりとしたスカートのラインが特徴のドレスだった。
「そう。
さっき邸から持ってきて控室のロッカーに保管していたの」
「それからずーとルネは控室にいたのね?」
「いえ。1度だけ出て行ったわ。
誰かが私をよんでるような声が聞こえてきたから。
けど、空耳だったみたいですぐに部屋へ戻ってきたんだけど。
やられたとしたら、その時しか考えらないの」
「なーるほどね。そうなると犯人の心当たりは1人しかいないわね」
「まさかマリーが?」
「そうよ」
さっき見かけたバーネットの姿と、うすら笑いをうかべるマリーの顔が脳内で交差する。
「他に誰がいるっていうのよ」
強い声をだしたとたん、開けっ放しのままだった扉から誰かが飛びこんできた。
「お姉様!
よくもそんな酷い事を言えるわね。
私がやったっていう証拠もないくせに!
あら、失礼。
もう元お姉様になるのよね」
胸の前で両手をくみ、グイと顎を上げ勝ち誇った顔をしたマリーが、私の前に立ちはだかる。
最低人間度数ボス級レベルのお出ましだった。
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