最強（凶）兄弟は今日も自由のために働きます

伯爵・商会編

怪しい商談

レオンが応接室に入ると一人の太った男が座っていた

「初めましてシルフィス商会の会頭を務めさせていただいております
レオン・セルフィスと申します」

「ルアリア・ビリアス伯爵だ」

レオンが立ったまま名乗ったのだがビリアス伯爵は席に座ったままだった

（こいつはまともじゃないな）

普通ならアポなしに訪ねてきて座ったままなどありえない
しかも相手はこの王国一の商会の会頭なのだ
その上謝罪もないとなるとめんどくさい相手だそうレオンは判断した

「それで本日はどのような御用件で？」
「あぁ、今日はお前たちに良い商談を持ってきてやったのだ」
「良い商談ですか」

レオンはここの時点でこの話は９割がた利益どころか不利益になるそう確信していた
シルフィス商会には毎日このような相談が何件をくるのだ
その中から利益あるもののみを見つけ出さなければこちらが損をする
しかし、今回の相談はシルフィス商会にとって不利益になると判断したためここからはどうやって帰ってもらうかそれを考え始めた

「実は隣国で珍しい魔物が取れてな
それをそなたらが売ってくれんかと思ってな」
「珍しい魔物ですか、種族は？」
「それがあまり人前では言えんのだ」

レオンはこの一言でこの伯爵の目的がわかった
隣国から人身売買をしようとしているのだ
おそらく、所属は妖精族かエルフだろう
王国ではどんな種族でも取引は禁止されている
そして、つい最近法が厳しくなり今までのように行かなくなったのだろう
そこで私たちを巻き込もうというのだ

「すみませんが私たちは人身売買は行いませんので」

レオンがはっきりそう言うと

「貴様私が人身売買をしようとしていると申すのか
私は貴様に良い話を持ってきてやったのだが
後で後悔しないことだな」

そう言って伯爵は怒りながら帰っていった

「なぁリュート、あれどう思う」
「おそらくレオン様の考える通り人身売買かと
あの対応が正しいと思われます」
「最後の言葉気になるな調べさせておけ」
「わかりました」

レオンは最後に伯爵が言い残した言葉「後で後悔しないことだな」と言うのが気になっていた
普通なら気にしないセリフだが今回は何かあると商人のかんが告げていた

その後予定のあった来客を2、３件終わらせるとレオンは家に戻った