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〜死神⁉︎〜
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「こんにちは。私…“死神”です。」
「ふぇ?」急に現れた少女。死神だと名乗る少女に、私は思わず間抜けな声を漏らしていた。
「あの‥誰?」
おずおずと質問すると、目の前の少女はこほん、と咳払いをした。
「私の名前はユア。あなたの死神です。」
「…何の冗談?」
「違いますっ!信じてください!」
もうっと怒ったようなそぶりを見せるユアちゃん。
「信じろって言われてもねぇー」
この小さな少女が死神?というか死神なんて架空の存在じゃないか。……そんな私の様子を見たユアちゃんは、小さくため息をついて、それから口を開いた。
「わかりました。証明します。」
…次の瞬間。私たちはどこか別の場所に飛ばされていた。周りを見渡してみる。色とりどりな光の玉が浮いている。
「ここは、魂の待合室的な場所です。魂はこのあと天国行きか地獄行きかを決められるんですよ。」
「あ、あの人たちは誰?」
「天使と悪魔ですね。魂を導くお仕事をしています。…さて、そろそろ。」
ユアちゃんがいうと、私たちは元の場所に戻ってきていた。
「信じてもらえましたか?」
ユアちゃんが私の顔を覗き込んだ。
信じがたいが、たった今非現実的なことが起こったのは事実だ。
「しんじる…よ…」
「良かったです。マイさん、私は今日、あることを伝えにきたのですよ。だから私のことを信じてもらえなければ少々不都合だったのです。」
その時、ユアちゃんの表情が陰った。
「マイさん、あなたは、もうすぐ死にます。」
さらっと言われたその言葉に、私は驚愕した。マイ、それは私だ。
「えっ?」
死ぬから、だから死神がきたのか。納得するが、私は…まだ、死にたくない。そんな私の心を読んだかのように、ユアちゃんが下を向きつつ呟いた。
「そういう、運命なのです。」
私は正気を失いそうになっていた。“死“という言葉が頭にこびりついて離れない。
「死ぬ…?」
「はい…。」
ユアちゃんは続けた。
「1週間以内に。」
1週間、か。どうやらまだ少し猶予はあるようだ。無理やり自分を落ち着かせ、これからどうするべきか考え始めた。やりたいこと、やらなくちゃいけないこと。それらはすぐに浮かんだ。…でも、死ぬのを前提に考え進めるのはやっぱり辛くて。
「後悔ない選択を。」
それだけ告げてユアちゃんは姿を消した。意外にも冷静さをすぐ取り戻した私。さて、あと1週間、なにをすれば良いのだろうか。
「ふぇ?」急に現れた少女。死神だと名乗る少女に、私は思わず間抜けな声を漏らしていた。
「あの‥誰?」
おずおずと質問すると、目の前の少女はこほん、と咳払いをした。
「私の名前はユア。あなたの死神です。」
「…何の冗談?」
「違いますっ!信じてください!」
もうっと怒ったようなそぶりを見せるユアちゃん。
「信じろって言われてもねぇー」
この小さな少女が死神?というか死神なんて架空の存在じゃないか。……そんな私の様子を見たユアちゃんは、小さくため息をついて、それから口を開いた。
「わかりました。証明します。」
…次の瞬間。私たちはどこか別の場所に飛ばされていた。周りを見渡してみる。色とりどりな光の玉が浮いている。
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「あ、あの人たちは誰?」
「天使と悪魔ですね。魂を導くお仕事をしています。…さて、そろそろ。」
ユアちゃんがいうと、私たちは元の場所に戻ってきていた。
「信じてもらえましたか?」
ユアちゃんが私の顔を覗き込んだ。
信じがたいが、たった今非現実的なことが起こったのは事実だ。
「しんじる…よ…」
「良かったです。マイさん、私は今日、あることを伝えにきたのですよ。だから私のことを信じてもらえなければ少々不都合だったのです。」
その時、ユアちゃんの表情が陰った。
「マイさん、あなたは、もうすぐ死にます。」
さらっと言われたその言葉に、私は驚愕した。マイ、それは私だ。
「えっ?」
死ぬから、だから死神がきたのか。納得するが、私は…まだ、死にたくない。そんな私の心を読んだかのように、ユアちゃんが下を向きつつ呟いた。
「そういう、運命なのです。」
私は正気を失いそうになっていた。“死“という言葉が頭にこびりついて離れない。
「死ぬ…?」
「はい…。」
ユアちゃんは続けた。
「1週間以内に。」
1週間、か。どうやらまだ少し猶予はあるようだ。無理やり自分を落ち着かせ、これからどうするべきか考え始めた。やりたいこと、やらなくちゃいけないこと。それらはすぐに浮かんだ。…でも、死ぬのを前提に考え進めるのはやっぱり辛くて。
「後悔ない選択を。」
それだけ告げてユアちゃんは姿を消した。意外にも冷静さをすぐ取り戻した私。さて、あと1週間、なにをすれば良いのだろうか。
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