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由奈さん
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私は手に取ったアルバムをまじまじと見つめた。
「どうしてここに…」
どうしても気になってしまい、私はアルバムを開いた。
やっぱり、写真たちは由奈さんや芹那さんのものではなく、私のものだった。私と、家族の。おばあちゃんにもらったのなら説明がつく。でも、どうしてこんなところに隠してあったのだろう。どういうこと?
「お母さん…お姉ちゃん…お父さん…」
すでに他界している家族。写真に映る彼女らを見つめる。ぎゅっとアルバムを抱きしめる。由奈さんに聞きに行こう。どうしてこのアルバムを持っていたのか。
私は図書室を後にした。本の代わりにアルバムを手にして。
「由奈さんを探さなくちゃ」
由奈さんの部屋へ向かう。でも、ノックしても返事がなかった。まだリビングにいるのだろうか。いや。確か私たちと一緒にリビングを出たはずだ。なんだか悪い予感がして、無意識に足早になった。
リビングまでの廊下で、人影を見つけた。その人影は、私の気配を感じて素早く振り返った。
「咲良さん?」
「すみれさん!!」
咲良さんの様子は普通ではなかった。明らかにおかしかった。
「どうしたんですか?」
咲良さんの視線を辿る。すると、そこには。
「…由奈さん!!」
彼女は、意識を失っていた。ぐったりとした様子で倒れ込んでいた。
「急に倒れたんです。今、レミお嬢様が救急車を呼んでいます。でも私どうすればいいかわからなくて」
信じられない。あんなに明るくて元気だった由奈さんが。
「お母さん…!!」
その姿はお母さんと重なった。もう、誰にも死んでほしくない。なのに、私は無力だ。こうして目の前で人が倒れていても、何もできっこない。私には、誰も救えない。私は思わず拳を握りしめた。爪が肉に食い込んだ。血が滲むような感覚がした。その手に、誰かの手が重なった。
「由奈さんは死なないわよ。死なせない。信じて」
レミだった。その姿は、もうあの頃の彼女ではないようだった。私も、信じなきゃ。由奈さんを。
「どうしてここに…」
どうしても気になってしまい、私はアルバムを開いた。
やっぱり、写真たちは由奈さんや芹那さんのものではなく、私のものだった。私と、家族の。おばあちゃんにもらったのなら説明がつく。でも、どうしてこんなところに隠してあったのだろう。どういうこと?
「お母さん…お姉ちゃん…お父さん…」
すでに他界している家族。写真に映る彼女らを見つめる。ぎゅっとアルバムを抱きしめる。由奈さんに聞きに行こう。どうしてこのアルバムを持っていたのか。
私は図書室を後にした。本の代わりにアルバムを手にして。
「由奈さんを探さなくちゃ」
由奈さんの部屋へ向かう。でも、ノックしても返事がなかった。まだリビングにいるのだろうか。いや。確か私たちと一緒にリビングを出たはずだ。なんだか悪い予感がして、無意識に足早になった。
リビングまでの廊下で、人影を見つけた。その人影は、私の気配を感じて素早く振り返った。
「咲良さん?」
「すみれさん!!」
咲良さんの様子は普通ではなかった。明らかにおかしかった。
「どうしたんですか?」
咲良さんの視線を辿る。すると、そこには。
「…由奈さん!!」
彼女は、意識を失っていた。ぐったりとした様子で倒れ込んでいた。
「急に倒れたんです。今、レミお嬢様が救急車を呼んでいます。でも私どうすればいいかわからなくて」
信じられない。あんなに明るくて元気だった由奈さんが。
「お母さん…!!」
その姿はお母さんと重なった。もう、誰にも死んでほしくない。なのに、私は無力だ。こうして目の前で人が倒れていても、何もできっこない。私には、誰も救えない。私は思わず拳を握りしめた。爪が肉に食い込んだ。血が滲むような感覚がした。その手に、誰かの手が重なった。
「由奈さんは死なないわよ。死なせない。信じて」
レミだった。その姿は、もうあの頃の彼女ではないようだった。私も、信じなきゃ。由奈さんを。
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