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46.フォンディ家

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「さきほど、色の話をしただろう。
 ルーラの父親のミカエルは銀髪紫目だったな?
 それは他国から来たものの血を引くからだ。
 薬の魔女はこの国を気に入り、助手としてついていた男性と結婚した。
 初代伯爵は、その結婚相手だ。さすがに当時は女性が伯爵になるのは難しかった。
 その代わり魔女は王宮薬師長に任命され、この国の王族の命を支え続けた。
 この国の王族がフォンディ家と王宮薬師長を大事にするのはそのためだ。」

「私の祖先も母のように他国から来た魔女だったんですね。」

「そうだ。そして、この国の祖先もな。」

ここで今まで黙って話を聞いていたノエルさんが口をはさんだ。

「ユキ様…一つ聞いてもいいですか?」

「ノエルの聞きたいことは、色付きについてか?」

「そうです。その話だと、王族に生まれたユキ様や、
 王族の血を持つ俺が色付きな理由がわかりません。」

「色付きの理由も、祖先の魔女の呪いが関係する。
 いくら国王が嫌いでこの国が憎くても、子孫までは憎み切れなかったのだろう。
 王族が結婚した場合、その相手が自分を愛してくれている場合は色付きが産まれる。
 魔女が無理やり結婚させられたことへの恨みの表れかもしれないがな。
 歴代の陛下としても辛いだろう。
 子どもが産まれた瞬間、自分が愛されていないことがわかってしまうのだから。」

「…えぇ?じゃあ、ユキ様のお母様は、
 先々代の陛下を愛していたってことですか?」

「私の母は先々代の陛下の恋人だった。
 結婚するには身分が低く、王妃にはできなかったそうだ。
 だが、父が国王になる前に母は身ごもってしまい、愛妾になっている。
 私が産まれた後で父は国王になり、王妃を娶っている。
 その王妃が産んだのが陛下の父とノエルの祖母だ。
 …どちらも金髪で産まれているな。
 政略結婚だし、母のこともあったのだから仕方ないとは思う。」

「…ユキ様?祖母が降嫁した先の現公爵は金髪ですね。
 そして、母が茶髪なのは当然としても、
 どうして兄と姉は茶髪で俺だけ色付きなんですか?」

「普通なら三人とも茶髪で産まれるはずなんだがな…わからん。
 先祖返りだとしても金髪ではなく色付きになる理由がわからない。
 お前の両親は政略結婚だったし、あまり仲は良くなかったはずだ。
 ノエルの時だけ夫婦仲が改善されて色付きになったのかもしれないが
 …父親が違うという可能性も否定できないが確認したいか?」

「…いえ、いいです。父とはほとんど関わってこなかったですし、
 母とも侯爵家とも縁は切ってます。
 昔だったら気にしたかもしれませんが、今はもう気になりません。」

「そうか、その方が良いな。で、ルーラは何か疑問は無いか?」

「ユキ様、それでは王宮薬師の仕事とは、
 王族の魔力欠乏症の治療が本当の役目だということでしょうか。」

「そうだ。だが、魔力欠乏症や短命なことは公表していない。
 これが知られれば、私やルーラを狙ってくるものが増えるだろう。
 それだけ王宮薬師長の薬が必須だということがバレてしまうからな。」

「王族は魔力の器そのものは持っているんでしょうか?」
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