36 / 79
36.打合せ
しおりを挟む
午後のお茶の時間になってからノエルさんが戻ってきた。
謁見室の後、お世話になっていた騎士団に挨拶に行っていたらしい。
「もう一度魔剣騎士として任命されてきた。青の騎士だ。」
「それって、寵妃さまが言ってた?色付きの騎士に戻った?」
色付きの騎士。魔剣騎士の中でも特別な存在。
元に戻ったってことは、元の仕事に戻ってしまう?
騎士団にはその挨拶に行ってたってことなんだろうか。
「ああ。だけど、騎士団には戻らなくていいそうだ。
このままルーラ付きの騎士で良いと。
陛下から許可が出たから、誰も文句は言えない。」
「それって、いいの?魔剣騎士の中でも色付きってすごいんでしょう?
王宮薬師見習いの私についていていいの?」
「ルーラは、ユキ様の後継に指名されるそうだ。」
「え?」
「王宮薬師長に育てる気らしい。」
「だって、まだ王宮薬師にもなってなくて。
次の夜会で王宮薬師の任命はするって言われたけど、本当に?」
「くわしくはユキ様からまた話があるだろう。
そうか、夜会か。それも出なきゃダメなのか。
俺もまた侯爵になるから顔出ししないといけないんだ。」
「ユキ様が、ノエルさんと一緒に夜会出なさいって。」
「ああ。俺もそのつもりだ。護衛も兼ねてエスコートしよう。
貴族に詳しくないルーラが一人でいたら、どうなるかわかったもんじゃない。
俺がちゃんと守るから安心しろ。」
「うん。わかった。」
貴族たちが集まるっていうだけでも嫌だなと思ってしまう。
それに王宮薬師としても、フォンディ家当主としても認めてもらえるのかどうか。
不安しかないけど、ノエルさんが守ってくれるっていうなら大丈夫な気がする。
一度だけ出てしまえば、もう出なくていいって言われたし。
「ノエルは騎士服よね?
じゃあ、ルーラはノエルの騎士服に色を合わせましょうか?
ノエルは何か希望ある?」
ミラさんがさっきからドレスのデザインを見ては、
ヘレンさんとサージュさんとあれこれ相談している。
ドレスなんて着たことないから、私に聞かれても何もわからない。
全部お任せします、とは言ったのだが。ノエルさんの騎士服に合わせる?
一緒に出席するからなのかな?
「…希望ですか。では、青のドレスで。」
「あら。ふふふ。そうなのね、わかったわ!
装飾品はどうする?こっちで用意していいの?」
「いえ、俺が用意するんでいいです。」
嬉しそうに笑うミラさんと、やる気を出したサージュさん、
次々とデザインを持ってくるヘレンさん。
もう何が何だかわからず、少しぬるくなってしまったお茶を飲んでいた。
謁見室の後、お世話になっていた騎士団に挨拶に行っていたらしい。
「もう一度魔剣騎士として任命されてきた。青の騎士だ。」
「それって、寵妃さまが言ってた?色付きの騎士に戻った?」
色付きの騎士。魔剣騎士の中でも特別な存在。
元に戻ったってことは、元の仕事に戻ってしまう?
騎士団にはその挨拶に行ってたってことなんだろうか。
「ああ。だけど、騎士団には戻らなくていいそうだ。
このままルーラ付きの騎士で良いと。
陛下から許可が出たから、誰も文句は言えない。」
「それって、いいの?魔剣騎士の中でも色付きってすごいんでしょう?
王宮薬師見習いの私についていていいの?」
「ルーラは、ユキ様の後継に指名されるそうだ。」
「え?」
「王宮薬師長に育てる気らしい。」
「だって、まだ王宮薬師にもなってなくて。
次の夜会で王宮薬師の任命はするって言われたけど、本当に?」
「くわしくはユキ様からまた話があるだろう。
そうか、夜会か。それも出なきゃダメなのか。
俺もまた侯爵になるから顔出ししないといけないんだ。」
「ユキ様が、ノエルさんと一緒に夜会出なさいって。」
「ああ。俺もそのつもりだ。護衛も兼ねてエスコートしよう。
貴族に詳しくないルーラが一人でいたら、どうなるかわかったもんじゃない。
俺がちゃんと守るから安心しろ。」
「うん。わかった。」
貴族たちが集まるっていうだけでも嫌だなと思ってしまう。
それに王宮薬師としても、フォンディ家当主としても認めてもらえるのかどうか。
不安しかないけど、ノエルさんが守ってくれるっていうなら大丈夫な気がする。
一度だけ出てしまえば、もう出なくていいって言われたし。
「ノエルは騎士服よね?
じゃあ、ルーラはノエルの騎士服に色を合わせましょうか?
ノエルは何か希望ある?」
ミラさんがさっきからドレスのデザインを見ては、
ヘレンさんとサージュさんとあれこれ相談している。
ドレスなんて着たことないから、私に聞かれても何もわからない。
全部お任せします、とは言ったのだが。ノエルさんの騎士服に合わせる?
一緒に出席するからなのかな?
「…希望ですか。では、青のドレスで。」
「あら。ふふふ。そうなのね、わかったわ!
装飾品はどうする?こっちで用意していいの?」
「いえ、俺が用意するんでいいです。」
嬉しそうに笑うミラさんと、やる気を出したサージュさん、
次々とデザインを持ってくるヘレンさん。
もう何が何だかわからず、少しぬるくなってしまったお茶を飲んでいた。
65
お気に入りに追加
1,499
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
三年目の離縁、「白い結婚」を申し立てます! 幼な妻のたった一度の反撃
紫月 由良
恋愛
【書籍化】5月30日発行されました。イラストは天城望先生です。
【本編】十三歳で政略のために婚姻を結んだエミリアは、夫に顧みられない日々を過ごす。夫の好みは肉感的で色香漂う大人の女性。子供のエミリアはお呼びではなかった。ある日、参加した夜会で、夫が愛人に対して、妻を襲わせた上でそれを浮気とし家から追い出すと、楽しそうに言ってるのを聞いてしまう。エミリアは孤児院への慰問や教会への寄付で培った人脈を味方に、婚姻無効を申し立て、夫の非を詳らかにする。従順(見かけだけ)妻の、夫への最初で最後の反撃に出る。
夫が「愛していると言ってくれ」とうるさいのですが、残念ながら結婚した記憶がございません
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
【完結しました】
王立騎士団団長を務めるランスロットと事務官であるシャーリーの結婚式。
しかしその結婚式で、ランスロットに恨みを持つ賊が襲い掛かり、彼を庇ったシャーリーは階段から落ちて気を失ってしまった。
「君は俺と結婚したんだ」
「『愛している』と、言ってくれないだろうか……」
目を覚ましたシャーリーには、目の前の男と結婚した記憶が無かった。
どうやら、今から二年前までの記憶を失ってしまったらしい――。
妻と夫と元妻と
キムラましゅろう
恋愛
復縁を迫る元妻との戦いって……それって妻(わたし)の役割では?
わたし、アシュリ=スタングレイの夫は王宮魔術師だ。
数多くの魔術師の御多分に漏れず、夫のシグルドも魔術バカの変人である。
しかも二十一歳という若さで既にバツイチの身。
そんな事故物件のような夫にいつの間にか絆され絡めとられて結婚していたわたし。
まぁわたしの方にもそれなりに事情がある。
なので夫がバツイチでもとくに気にする事もなく、わたしの事が好き過ぎる夫とそれなりに穏やかで幸せな生活を営んでいた。
そんな中で、国王肝入りで魔術研究チームが組まれる事になったのだとか。そしてその編成されたチームメイトの中に、夫の別れた元妻がいて………
相も変わらずご都合主義、ノーリアリティなお話です。
不治の誤字脱字病患者の作品です。
作中に誤字脱字が有ったら「こうかな?」と脳内変換を余儀なくさせられる恐れが多々ある事をご了承下さいませ。
性描写はありませんがそれを連想させるワードが出てくる恐れがありますので、破廉恥がお嫌いな方はご自衛下さい。
小説家になろうさんでも投稿します。
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
政略結婚した夫の愛人は私の専属メイドだったので離婚しようと思います
結城芙由奈
恋愛
浮気ですか?どうぞご自由にして下さい。私はここを去りますので
結婚式の前日、政略結婚相手は言った。「お前に永遠の愛は誓わない。何故ならそこに愛など存在しないのだから。」そして迎えた驚くべき結婚式と驚愕の事実。いいでしょう、それほど不本意な結婚ならば離婚してあげましょう。その代わり・・後で後悔しても知りませんよ?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載中
【完結】身を引いたつもりが逆効果でした
風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。
一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。
平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません!
というか、婚約者にされそうです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる