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19.儀式の意味
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「先の儀式は、どういうものだったんですか?
これでルーラは安心して良いんですか?」
部屋に戻ってソファに座ると、
落ち着かないようにノエルさんがユキ様に聞いた。
「ああ、安心していいよ。
あの儀式については、これを読んだ方が早いんじゃないかな?」
さっき宙に浮いていた紙をノエルさんに渡す。
それを読んでいるノエルさんの顔がどんどん赤くなっていく。
どうしたんだろう?
「…ユキ様、だましましたね?」
「いいや。だましてないよ。言っただろう?
他の者と結婚できなくなるよって。」
「それは聞きました!だけど…これ、俺とルーラが結婚してませんか?」
「えっ?」
「何か問題あるのか?何でもするって言っただろう?」
ユキ様にそう返されて、ノエルさんは口を開けたまま固まってしまった。
そうだよね…何でもするからってお願いしたのは私たちだ。
ノエルさんが握りしめている紙を取って、私も読んでみる。
「…これ、結婚なんですか?違う気もするんですが。」
「あぁ、本当はこれが正式な結婚なんだよ。
と言っても、今は王城に書類を出さないといけないけどね。
ちゃんと結婚したくなったら書類をだせばいい。」
「普通の結婚じゃダメだったんですか?
これだと、ノエルさん私から一生離れられないですよ?」
「ただの結婚だったら、あの貴族が納得すると思うかい?
当主が認めていないから無効だなんて言って、破棄されて終わりだ。
そのまま無理やり他国に連れていかれてしまったら、もう取り戻せない。
だから、魔力を結び付ける儀式をしたんだ。」
「魔力を結び付ける、ですか?」
「そう。今の二人は魔力を共にしている。
だから、近くにいないと魔力の補完が難しくなるんだ。
今一緒に寝ているのを同じことだ。」
「今の状態がずっと続くってことですか?」
「ああ。だけど、ノエルの器は共生の儀式によって強化されただろう。
ルーラの器はまだ成長の途中だったからね。
その力を使って修復されているはずだ。
今なら簡単に魔剣を扱えるようになったんじゃないかな。」
「私とノエルさんは、どのくらい離れていられますか?」
「日中は離れていても大丈夫だよ。」
「じゃあ、この前みたいに魔獣を倒しに行くのは難しくなりますね…。」
「あはははは。ルーラが悩むのはそっちか。
なぁ、ルーラ。母親の形見の指輪を見せてもらえないか?」
「これですか?どうぞ。」
首にかけていたネックレスをはずしてユキ様に渡す。
母様の形見だとわかった後、ノエルさんはネックレスも一緒に渡してくれた。
私の指には大きいから、これなら無くさないだろうと言って。
「うん、わかった。ありがとう。」
「はい。」
ユキ様から指輪を受け取り、また首にかけて戻した。
指輪を見て何がわかったんだろう?
「2日後に貴族に会う時はまた立ち会うから大丈夫だ。
あと、ノエルが正気になったらさっきの説明しておいてくれ。」
「わかりました。」
ノエルさんはまだ衝撃が続いているのか、呆然としている。
正気になったら説明して、もう一度謝ろう。
私のせいでこんなことに巻き込んでしまったのだから。
これでルーラは安心して良いんですか?」
部屋に戻ってソファに座ると、
落ち着かないようにノエルさんがユキ様に聞いた。
「ああ、安心していいよ。
あの儀式については、これを読んだ方が早いんじゃないかな?」
さっき宙に浮いていた紙をノエルさんに渡す。
それを読んでいるノエルさんの顔がどんどん赤くなっていく。
どうしたんだろう?
「…ユキ様、だましましたね?」
「いいや。だましてないよ。言っただろう?
他の者と結婚できなくなるよって。」
「それは聞きました!だけど…これ、俺とルーラが結婚してませんか?」
「えっ?」
「何か問題あるのか?何でもするって言っただろう?」
ユキ様にそう返されて、ノエルさんは口を開けたまま固まってしまった。
そうだよね…何でもするからってお願いしたのは私たちだ。
ノエルさんが握りしめている紙を取って、私も読んでみる。
「…これ、結婚なんですか?違う気もするんですが。」
「あぁ、本当はこれが正式な結婚なんだよ。
と言っても、今は王城に書類を出さないといけないけどね。
ちゃんと結婚したくなったら書類をだせばいい。」
「普通の結婚じゃダメだったんですか?
これだと、ノエルさん私から一生離れられないですよ?」
「ただの結婚だったら、あの貴族が納得すると思うかい?
当主が認めていないから無効だなんて言って、破棄されて終わりだ。
そのまま無理やり他国に連れていかれてしまったら、もう取り戻せない。
だから、魔力を結び付ける儀式をしたんだ。」
「魔力を結び付ける、ですか?」
「そう。今の二人は魔力を共にしている。
だから、近くにいないと魔力の補完が難しくなるんだ。
今一緒に寝ているのを同じことだ。」
「今の状態がずっと続くってことですか?」
「ああ。だけど、ノエルの器は共生の儀式によって強化されただろう。
ルーラの器はまだ成長の途中だったからね。
その力を使って修復されているはずだ。
今なら簡単に魔剣を扱えるようになったんじゃないかな。」
「私とノエルさんは、どのくらい離れていられますか?」
「日中は離れていても大丈夫だよ。」
「じゃあ、この前みたいに魔獣を倒しに行くのは難しくなりますね…。」
「あはははは。ルーラが悩むのはそっちか。
なぁ、ルーラ。母親の形見の指輪を見せてもらえないか?」
「これですか?どうぞ。」
首にかけていたネックレスをはずしてユキ様に渡す。
母様の形見だとわかった後、ノエルさんはネックレスも一緒に渡してくれた。
私の指には大きいから、これなら無くさないだろうと言って。
「うん、わかった。ありがとう。」
「はい。」
ユキ様から指輪を受け取り、また首にかけて戻した。
指輪を見て何がわかったんだろう?
「2日後に貴族に会う時はまた立ち会うから大丈夫だ。
あと、ノエルが正気になったらさっきの説明しておいてくれ。」
「わかりました。」
ノエルさんはまだ衝撃が続いているのか、呆然としている。
正気になったら説明して、もう一度謝ろう。
私のせいでこんなことに巻き込んでしまったのだから。
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