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16.オダン公爵家
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私が落ち着いた頃、ドアが静かにノックされる。
「ああ、うちの使用人だと思います。入ってくれ」
「はい」
中に入ってきたのは二人の女性だった。
オダン公爵家の使用人なのか、どちらも制服を着ている。
「うちの侍女のリーナとアンだ」
「リーナと申します」
「アンと申します」
髪をおさげにしているのがリーナ。髪をまとめているほうがアン。
二人はそろって私にお辞儀をする。
リーナは私よりも年齢が上くらい、アンはお母様よりも上に見える。
「これからクラリスの専属侍女になる二人だ」
「ありがとうございます」
「馬車に乗るのにいくら義兄とはいえ、
私と二人きりになるわけにはいかないだろう?
そんなことをすればアレクシス様に叱られてしまう」
「え?」
たしかに婚約者でもない男女が二人で馬車に乗っていたら、
ふしだらだと言われてしまうだろうけど。
アレク様がマルス義兄様を叱るの?
「よくわかっているじゃないか、マルス」
「アレクシス様のクラリスへの想いは十分に理解しましたからね。
義兄として、結婚の邪魔になるようなことはしませんよ」
「そういうマルスだからこそクラリスを託せるんだ。
クラリス、オダン公爵家まで一緒に行けなくてすまない。
俺はまだ学園でやらなくちゃいけないことがあるんだ。
あとのことはマルスに相談してくれ」
「はい」
「何かあればすぐに連絡してくれ。
俺もやることを終えたらすぐに会いに行くから」
「はい。お待ちしています」
目の前にマルス義兄様とリーナとアンがいるのに、
アレク様は私をぎゅっと抱きしめた。
すぐに離れてしまったけれど、頬が熱くなる。
「アレクシス様、人前ではおやめください」
「わかっているよ。ただ、求婚したばかりなのに、
クラリスと離れなくちゃいけないと思うと、ついな」
私もアレク様と離れたくない気持ちはある。
だが、のんびりしている時間はなかった。
もうすぐ昼休みになってしまう。
お義姉様は学園を休んでいるはずだけど、
他の令嬢にからまれてしまうかもしれない。
アレク様は学生会室に残り、私たちはオダン公爵家へと向かう。
馬車の中でリーナとアンは黙って座っているだけだったが、
私への視線は嫌な感じはしなかった。
バルベナ公爵家の使用人とは違うことにほっとする。
馬車で十数分も走るとオダン公爵家につく。
バルベナ公爵家も大きいので、大きさで驚くことはなかったが、
うろうろしている騎士の多さには驚いた。
「びっくりしただろう?
父上が騎士団長だというのもあるんだが、
若手の騎士たちに訓練場を使わせているんだ」
「訓練場を使わせている?」
「王宮の訓練場はそれほど広くないから、
若手が訓練していると邪魔になるんだ」
「なるほど」
オダン公爵家の敷地内に入っても、馬車に乗ったまま移動している。
その理由は若手の騎士たちが敷地のあちこちにいるかららしい。
しばらくして、奥の建物の前で馬車は止まる。
「この建物はオダン公爵家の者以外は近寄れなくなっている。
騎士たちはこっちには来ないから安心していい」
特に騎士たちがいることで不安には思っていなかったけれど、
話を聞けば平民も混ざっているそうで、
礼儀を知らずに女性を見れば話しかけてくる者もいるという。
「さぁ、母上が待っていると思う。こっちだよ」
玄関から入ると、長い廊下の先にある温室へと連れて行かれる。
そこでは金色のまとめ髪の小柄な女性がお茶を飲んでいる。
私たちが部屋に入ったのに気がついた女性が顔をあげる。
はっきりとした緑目。王家の色の女性ということは、この方が。
「マルス!遅かったじゃない!」
「ごめん、母上。いろいろとあったんだよ」
やはりこの夫人がオダン公爵夫人。
王弟だった先代公爵の一人娘で婿をとって家を継いでいる。
マルス義兄様と色と顔立ちがそっくり。
「もう、仕方ないわね。それで、あなたがクラリスなのね?」
「あ、はい。クラリス・バルベナと申します」
夫人が私のほうを向いたので、とっさに礼をする。
だけど、それを見た夫人が無表情になった。
なにか気に障ることをしてしまった?
「嫌だわ、クラリス。あなたはもうオダン家の長女なのよ」
「あ、そうですね。もうしわ」
「ううん、謝らなくていいのよ。ただ、覚えていてね。
あなたはクラリス・オダンなの。
ちょっとずつ、慣れていきましょうね。
クラリスの義母になったレミーリアよ。義母と呼んでね?」
「お義母様……あの、本当に私を養女にしても」
「それ以上はいらないわよ?」
「そうだ、クラリス。もう家族になったんだから」
私の悪評は知っているはずと思い、聞いてしまうが、
お義母様とマルス義兄様に同時に止められる。
「心配しなくていいの。あのね、クラリスの悪評は知っているわ。
でも、それが本当ではないことも知っているのよ」
「え?」
「最初、マルスから話を聞いた時は驚いたけれど、
それ以前からずっとクラリスのこと気になっていたのよ」
「私のことをですか?」
「ええ。バルベナ公爵夫人はどうして自分の娘を隠すのかしらって。
いくらなんでも学園に入るまでお茶会にすら連れてこないなんて変よ」
「……」
その理由はわからないけれど、そっか。周りから見てもおかしかったんだ。
「先妻の娘を大事にするのはいいことよ?
元王女の娘だし、王子妃になるかもしれないし。
でも、あれはやりすぎだと思うわ。
実の娘をほったらかしているようにしか見えなかったもの」
「それは……はい」
「それにお茶会のたびに実の娘の悪口をジュディット様と言っているし、
身内の恥を嬉々として話すってどうなのって。
こんな母親だから娘はさみしくて困った行動をしているんじゃないか、
そう思っていたのよね」
思いもよらない話だった。
私の悪評を話すことでお母様の評価が落ちていたなんて。
でも、人の悪口ばかり言うような人は信じられない。そういうことかもしれない。
「だから、養女にしてほしいと言われた時に思ったのよ。
私なら娘をもっと大事に育てられるわ。
クラリスが悪いことをしたら叱って、抱きしめるのにって」
「お義母様……」
「でもアレクシス様から話を聞いたら悪評は嘘だったってわかって。
なら尚更あんな家には置いておけないって思ったわよね。
よく頑張ったわね、クラリス。
もう怖くないわ。オダン公爵家で自由に過ごしていいのよ」
「あ、ありがとうござ……」
もうダメだった。さっきも泣いたのに、また涙が止まらない。
止めようとすればするほど涙が出てきてしゃくりあげる。
そんな私に泣き止むように言うのではなく、
お義母様とマルス義兄様は好きなだけ泣いていいと言ってくれた。
本当にオダン公爵家は私を養女にしてくれた。
バルベナ公爵家から解放されたうれしさと、
新しい家族に迎え入れられた喜びで、しばらく泣き止むことができなかった。
「ああ、うちの使用人だと思います。入ってくれ」
「はい」
中に入ってきたのは二人の女性だった。
オダン公爵家の使用人なのか、どちらも制服を着ている。
「うちの侍女のリーナとアンだ」
「リーナと申します」
「アンと申します」
髪をおさげにしているのがリーナ。髪をまとめているほうがアン。
二人はそろって私にお辞儀をする。
リーナは私よりも年齢が上くらい、アンはお母様よりも上に見える。
「これからクラリスの専属侍女になる二人だ」
「ありがとうございます」
「馬車に乗るのにいくら義兄とはいえ、
私と二人きりになるわけにはいかないだろう?
そんなことをすればアレクシス様に叱られてしまう」
「え?」
たしかに婚約者でもない男女が二人で馬車に乗っていたら、
ふしだらだと言われてしまうだろうけど。
アレク様がマルス義兄様を叱るの?
「よくわかっているじゃないか、マルス」
「アレクシス様のクラリスへの想いは十分に理解しましたからね。
義兄として、結婚の邪魔になるようなことはしませんよ」
「そういうマルスだからこそクラリスを託せるんだ。
クラリス、オダン公爵家まで一緒に行けなくてすまない。
俺はまだ学園でやらなくちゃいけないことがあるんだ。
あとのことはマルスに相談してくれ」
「はい」
「何かあればすぐに連絡してくれ。
俺もやることを終えたらすぐに会いに行くから」
「はい。お待ちしています」
目の前にマルス義兄様とリーナとアンがいるのに、
アレク様は私をぎゅっと抱きしめた。
すぐに離れてしまったけれど、頬が熱くなる。
「アレクシス様、人前ではおやめください」
「わかっているよ。ただ、求婚したばかりなのに、
クラリスと離れなくちゃいけないと思うと、ついな」
私もアレク様と離れたくない気持ちはある。
だが、のんびりしている時間はなかった。
もうすぐ昼休みになってしまう。
お義姉様は学園を休んでいるはずだけど、
他の令嬢にからまれてしまうかもしれない。
アレク様は学生会室に残り、私たちはオダン公爵家へと向かう。
馬車の中でリーナとアンは黙って座っているだけだったが、
私への視線は嫌な感じはしなかった。
バルベナ公爵家の使用人とは違うことにほっとする。
馬車で十数分も走るとオダン公爵家につく。
バルベナ公爵家も大きいので、大きさで驚くことはなかったが、
うろうろしている騎士の多さには驚いた。
「びっくりしただろう?
父上が騎士団長だというのもあるんだが、
若手の騎士たちに訓練場を使わせているんだ」
「訓練場を使わせている?」
「王宮の訓練場はそれほど広くないから、
若手が訓練していると邪魔になるんだ」
「なるほど」
オダン公爵家の敷地内に入っても、馬車に乗ったまま移動している。
その理由は若手の騎士たちが敷地のあちこちにいるかららしい。
しばらくして、奥の建物の前で馬車は止まる。
「この建物はオダン公爵家の者以外は近寄れなくなっている。
騎士たちはこっちには来ないから安心していい」
特に騎士たちがいることで不安には思っていなかったけれど、
話を聞けば平民も混ざっているそうで、
礼儀を知らずに女性を見れば話しかけてくる者もいるという。
「さぁ、母上が待っていると思う。こっちだよ」
玄関から入ると、長い廊下の先にある温室へと連れて行かれる。
そこでは金色のまとめ髪の小柄な女性がお茶を飲んでいる。
私たちが部屋に入ったのに気がついた女性が顔をあげる。
はっきりとした緑目。王家の色の女性ということは、この方が。
「マルス!遅かったじゃない!」
「ごめん、母上。いろいろとあったんだよ」
やはりこの夫人がオダン公爵夫人。
王弟だった先代公爵の一人娘で婿をとって家を継いでいる。
マルス義兄様と色と顔立ちがそっくり。
「もう、仕方ないわね。それで、あなたがクラリスなのね?」
「あ、はい。クラリス・バルベナと申します」
夫人が私のほうを向いたので、とっさに礼をする。
だけど、それを見た夫人が無表情になった。
なにか気に障ることをしてしまった?
「嫌だわ、クラリス。あなたはもうオダン家の長女なのよ」
「あ、そうですね。もうしわ」
「ううん、謝らなくていいのよ。ただ、覚えていてね。
あなたはクラリス・オダンなの。
ちょっとずつ、慣れていきましょうね。
クラリスの義母になったレミーリアよ。義母と呼んでね?」
「お義母様……あの、本当に私を養女にしても」
「それ以上はいらないわよ?」
「そうだ、クラリス。もう家族になったんだから」
私の悪評は知っているはずと思い、聞いてしまうが、
お義母様とマルス義兄様に同時に止められる。
「心配しなくていいの。あのね、クラリスの悪評は知っているわ。
でも、それが本当ではないことも知っているのよ」
「え?」
「最初、マルスから話を聞いた時は驚いたけれど、
それ以前からずっとクラリスのこと気になっていたのよ」
「私のことをですか?」
「ええ。バルベナ公爵夫人はどうして自分の娘を隠すのかしらって。
いくらなんでも学園に入るまでお茶会にすら連れてこないなんて変よ」
「……」
その理由はわからないけれど、そっか。周りから見てもおかしかったんだ。
「先妻の娘を大事にするのはいいことよ?
元王女の娘だし、王子妃になるかもしれないし。
でも、あれはやりすぎだと思うわ。
実の娘をほったらかしているようにしか見えなかったもの」
「それは……はい」
「それにお茶会のたびに実の娘の悪口をジュディット様と言っているし、
身内の恥を嬉々として話すってどうなのって。
こんな母親だから娘はさみしくて困った行動をしているんじゃないか、
そう思っていたのよね」
思いもよらない話だった。
私の悪評を話すことでお母様の評価が落ちていたなんて。
でも、人の悪口ばかり言うような人は信じられない。そういうことかもしれない。
「だから、養女にしてほしいと言われた時に思ったのよ。
私なら娘をもっと大事に育てられるわ。
クラリスが悪いことをしたら叱って、抱きしめるのにって」
「お義母様……」
「でもアレクシス様から話を聞いたら悪評は嘘だったってわかって。
なら尚更あんな家には置いておけないって思ったわよね。
よく頑張ったわね、クラリス。
もう怖くないわ。オダン公爵家で自由に過ごしていいのよ」
「あ、ありがとうござ……」
もうダメだった。さっきも泣いたのに、また涙が止まらない。
止めようとすればするほど涙が出てきてしゃくりあげる。
そんな私に泣き止むように言うのではなく、
お義母様とマルス義兄様は好きなだけ泣いていいと言ってくれた。
本当にオダン公爵家は私を養女にしてくれた。
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