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2章 次代へ
20.婚約者候補
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「それで、選んだ候補者を教えてくれるか?」
「はい、書き出しておきました。」
謁見室での話し合いの後、公爵家に帰ると父上に呼び出された。
早めに確認しておきたかったのだろう。
俺も婚約者の話はそのうち出ると思っていたから、
前もって書き出しておいたのを父上に渡した。
「公爵家2家に侯爵家6家か…思ったよりも少ないな。」
「公爵家1家と侯爵家2家は、エリーゼと行動を共にしているから無し。
侯爵家2家はエリーゼと変わらない性格しているから無し。
他の除外理由は婚約者がいるからで、これは侯爵家だけです。
公爵家はうちか王家との結婚を期待して、
これまで婚約してなかったってところでしょうか。」
「あとはレガール国のギレン王子もまだ決まってないからな。
公爵家なら、それも狙っているだろう。」
「なるほど…それで、侯爵家の1人だけ俺が知らない令嬢なんです。
知ってますか?バイアール侯爵家、レミーア嬢。」
「バイアール家か。
今の当主はミレーヌと同じ年だが、レガールに留学していたな。
確か、長女はレガール国に嫁いでるはずだ。
バイアール家はレガールとの境にある領地だから、
昔からレガール国とのつながりがあるんだ。
お互いに嫁いでいる関係で、ルールニー国ではめずらしい魔力を持つ家だな。」
「魔力を?」
「ああ。じゃないと長女がレガールに嫁いだりできないだろう?」
「確かに。この令嬢だけ知らないから、一番先に会います。
正直言って、他の令嬢は誰でも同じ感じで…。
どの令嬢でも問題ないけど、誰か一人を選ぶのは難しい。
母上に選ぶのを手伝ってもらっていいですか?
俺としては王政のことも相談できる令嬢がいいけど、
礼儀作法とかそういう面で大丈夫か確認をお願いします。」
「じゃあ、王宮でのお茶に呼ぶのはどうだ?
ミレーヌ主催のお茶に、その令嬢だけ呼べばいい。
夜会の前がいいか?」
「そのほうが都合が良いです。
候補者全員問題なければ、夜会で発表してください。」
「急ぐ理由は?」
「エリーゼの周りにいる令嬢たちが候補者に名乗りをあげる前に、
こちらから候補者を決めてしまいたいと思って。」
「なるほど、向こうから名乗りをあげられたら断るのも一苦労だな…。
わかった。なるべく早く会えるようにしよう。」
あとは母上の予定次第ってところだろう。
そのあたりの調整は父上に任せておけばいい。
「ところで、今日エリーゼがいなかったのは、何か理由が?」
「ああ、エリーゼ王女にいられたら困るからな。
今日はジークはうちにいるって情報を流しておいたんだよ。
アンジェリカ王女には悪いが、囮になってもらった。
と言っても、会わせては無いぞ。
俺の権限でエリーゼ王女は公爵家に出入り禁止にしてあるからな。
他国の王女がいる屋敷に、許可なく入り込むことは許されない。
それに王女であっても、俺の命令のほうが優先される。
…しばらくは騒いでいたそうだ。
今ごろはジークが王宮にいたことを聞いて怒ってるんじゃないか?」
「それでいなかったのか…。」
さすが父上というべきか。
こういう機転の利くところは見習わなきゃいけないな。
正攻法でいっても、どうにもならない相手もいるわけだから。
夜会前に決まると良いな。
これ以上あいつらに時間を取られるのは嫌だ。
「はい、書き出しておきました。」
謁見室での話し合いの後、公爵家に帰ると父上に呼び出された。
早めに確認しておきたかったのだろう。
俺も婚約者の話はそのうち出ると思っていたから、
前もって書き出しておいたのを父上に渡した。
「公爵家2家に侯爵家6家か…思ったよりも少ないな。」
「公爵家1家と侯爵家2家は、エリーゼと行動を共にしているから無し。
侯爵家2家はエリーゼと変わらない性格しているから無し。
他の除外理由は婚約者がいるからで、これは侯爵家だけです。
公爵家はうちか王家との結婚を期待して、
これまで婚約してなかったってところでしょうか。」
「あとはレガール国のギレン王子もまだ決まってないからな。
公爵家なら、それも狙っているだろう。」
「なるほど…それで、侯爵家の1人だけ俺が知らない令嬢なんです。
知ってますか?バイアール侯爵家、レミーア嬢。」
「バイアール家か。
今の当主はミレーヌと同じ年だが、レガールに留学していたな。
確か、長女はレガール国に嫁いでるはずだ。
バイアール家はレガールとの境にある領地だから、
昔からレガール国とのつながりがあるんだ。
お互いに嫁いでいる関係で、ルールニー国ではめずらしい魔力を持つ家だな。」
「魔力を?」
「ああ。じゃないと長女がレガールに嫁いだりできないだろう?」
「確かに。この令嬢だけ知らないから、一番先に会います。
正直言って、他の令嬢は誰でも同じ感じで…。
どの令嬢でも問題ないけど、誰か一人を選ぶのは難しい。
母上に選ぶのを手伝ってもらっていいですか?
俺としては王政のことも相談できる令嬢がいいけど、
礼儀作法とかそういう面で大丈夫か確認をお願いします。」
「じゃあ、王宮でのお茶に呼ぶのはどうだ?
ミレーヌ主催のお茶に、その令嬢だけ呼べばいい。
夜会の前がいいか?」
「そのほうが都合が良いです。
候補者全員問題なければ、夜会で発表してください。」
「急ぐ理由は?」
「エリーゼの周りにいる令嬢たちが候補者に名乗りをあげる前に、
こちらから候補者を決めてしまいたいと思って。」
「なるほど、向こうから名乗りをあげられたら断るのも一苦労だな…。
わかった。なるべく早く会えるようにしよう。」
あとは母上の予定次第ってところだろう。
そのあたりの調整は父上に任せておけばいい。
「ところで、今日エリーゼがいなかったのは、何か理由が?」
「ああ、エリーゼ王女にいられたら困るからな。
今日はジークはうちにいるって情報を流しておいたんだよ。
アンジェリカ王女には悪いが、囮になってもらった。
と言っても、会わせては無いぞ。
俺の権限でエリーゼ王女は公爵家に出入り禁止にしてあるからな。
他国の王女がいる屋敷に、許可なく入り込むことは許されない。
それに王女であっても、俺の命令のほうが優先される。
…しばらくは騒いでいたそうだ。
今ごろはジークが王宮にいたことを聞いて怒ってるんじゃないか?」
「それでいなかったのか…。」
さすが父上というべきか。
こういう機転の利くところは見習わなきゃいけないな。
正攻法でいっても、どうにもならない相手もいるわけだから。
夜会前に決まると良いな。
これ以上あいつらに時間を取られるのは嫌だ。
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