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2章 次代へ

12.フラン

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姉上はダメな王女だ。
僕から見てだけじゃなく、誰から見ても。
誰かが言ってた、おばあ様がそんな感じだったと。
だけど父上も母上も、姉上のことは困った顔で止められない。

言えよ、と思う。
もっと強く制止できるだろう、と。

お前だけはまともに育ってくれというけど、
どう見ても、どう考えてもこの国は歪だ。

父上よりも、宰相のほうが優秀だ。
母上よりも、ミレーヌ様のほうが全てにおいて上回っている。

本当は父上の婚約者はミレーヌ様だったと聞いた。
馬鹿だろうと思った。
父上は何を思って、完璧なミレーヌ様を捨てたのか。
たとえ、宰相とミレーヌ様が相思相愛だったとしても。
幼少の頃からの婚約なら、ミレーヌ様も覚悟していたはずだ。
なんて、愚かな。

母上も父上と会ったきっかけが、宰相を追いかけてきたと知った。
母上まで。なんて愚かなんだろう。
父上も母上も、姉上の愚かさに頭を抱えているけど、あたりまえじゃないか。
そんな愚かな両親からは、愚かな子どもが生まれて当然だ。

あぁ、そうか。
僕が愚かでも、あたりまえだ。

2歳年下のローゼリアと会うようになって、その思いは強くなった。
金髪に碧眼、ルールニー王家特有の色だ。
黒目黒髪の俺は、すれ違う者たちに噂される。
王妃様にそっくりだけど、ルールニー王家の色じゃないって。


ロゼは優秀だった。でも、兄たちはその上をいくという。
どうして、王位をゆずらなかったのだろう。
あきらかに宰相のほうが優秀なのに。

おまけに姉上は本当に馬鹿だと思う。
あれだけジーク兄に嫌われているのに、全く気が付かない。
父上たちに言われてさえ、気が付かないのは、どうしてなのか悩む。
ルノ兄に本気で嫌味を言われても、姉上には全く通じなかった。

父上、僕は王位なんていらない。
だって、僕が王位についても姉上がついてくる。
どんな政策を考えても、姉上が邪魔をしてくるだろう。
どうしてこんな簡単なことに気が付かないんだ。

王家の血だろう?
優秀な子が継げばいいじゃないか。
それは、僕じゃない。

幸い、宰相が王籍に残っているおかげで、僕以外の王子が二人もいる。
ジーク兄もルノ兄も素晴らしく優秀だ。

父上の唯一の王子だからと言って、継ぐ理由にはならない。
僕は父上には内緒で、ルノ兄と連絡を取り続けた。



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