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聖女の準備
3.美里
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「今日はこれだけで終わっちゃったけど、大丈夫?」
「いや、かなり優秀だよ。
あまりにもスムーズだから休憩挟むの忘れてた。
なかなか感じ取れない聖女もいるし、
ユウリみたいに一度でできる聖女もいる。
でも、やっぱりすぐにできる聖女はめずらしいよ。
こればかりは感じ方が違うみたいで、聖女の説明書に書いてないんだ。
ユウリは俺の魔力を温度で感じてたんだね。」
「そうみたい。
キリルはいつも体温高いな~って思ってたけど、
あれが魔力だったんだね。」
「はは。そんな風に思われてたんだ。
冷たい人とか、冷たそうだとか言われてばかりだったから、
兄さんやジェシカに言ったら笑われるだろうな。」
「ジェシカさんって?」
初めて聞く女の人らしい名前に思わず聞いてしまった。
というか、キリルとしか話していないせいだと思うけど、
この世界の人の名前を聞くのは初めてのような気がする。
「あぁ、妹だよ。もうそろそろ会わせようと思ってた。
俺がそばに居れない時の護衛兼侍女として。」
「妹さんなんだ…キリルどこか行くの?」
妹さんの名前なんだと納得したのもつかの間で、
そばに居れない時の、という言葉が引っ掛かった。
今までずっと一緒にいたのに、離れるというのはどういうことなんだろう。
もしかして修行が終わったらキリルとは別行動になるの?
魔力が満ちたから、離れても問題ないとかいうのかもしれない。
…今さらキリルと離れて…やっていけるとは思えない。
「なんで不安そうになってるの?」
「だって…キリルと離れなきゃいけないんじゃないの?」
「まさか!俺はずっとユウリと一緒だから。」
驚いた顔で否定してくれたキリルにほっとしてしまう。
良かった。魔力が満ちたことで気持ちも安定したと思ってたけど、
やっぱりキリルがいないとダメなことに変わらないみたい。
「じゃあ、どうしてそばに居れない時って言ったの?」
「あぁ、短時間ね。ほら、隊員たちとの会議とかあるし。」
「会議かぁ…いつあるの?」
「ん?すぐにじゃないよ。
もっとユウリの魔力が落ち着いてきて、
聖女の力も完璧に使いこなせるようになってからね。
ほら、隊長として隊員たちと遠征計画とか話し合わなきゃいけないんだ。
男しかいないむさっ苦しいところにユウリを連れて行くわけにもいかないし。
その時はジェシカと部屋でのんびりしててもらおうと思ってさ。」
「そうなんだ…今すぐじゃないんだね?」
「そうだな…少なくとも数か月後だね。」
短時間とはいえ、今すぐ離れるって言われたら自信が無い。
でも、数か月後っていうなら、
それまでに一人で行動できるくらいになっているかもしれない。
とりあえずは会議中くらいはキリルと離れても落ち着いていられるようになろう。
「わかった。ジェシカさんにはすぐに会えるの?」
「今日は無理だけど、明日か明後日には会えると思う。」
「どんな人なんだろ…仲良くなれると思う?」
考えてみたら一花以外でちゃんと話をしたことがあるのは美里だけだった。
一花とは縁を切ったし、美里にはもう会えない。
ジェシカさんがどんな人かわからないけれど、
ちゃんと話せるようになるといいな。
「…うーん。どんな人か。
兄から見る妹と、他から見るジェシカは違うと思う。
だけどユウリに会いたがってたし、仲良くしてくれるとうれしいな。」
「本当?会いたがってくれてるんだ…。
私、一花以外だと美里くらいしか話してなかったんだ。
友達には無理でも…ちゃんと話ができるようになれるといいな。」
「友達か…なれそうな気もするけど。
ところで、ミサト?って友達?初めて聞く名前だね。」
そういえば美里の話はしていなかった。
ここに来る直前、三日間も美里の家にいたのに。
美里の顔を思い出したら懐かしくて会いたくなる。元気なのかな。
ちょっとだけさみしさを感じてしょんぼりしたら、
背中をポンと軽く押された。
どうやら心配させてしまったようだ。
キリルがにっこり笑って手をひいてくれる。
「とりあえず夕食食べながら話そう?
お腹すいてるだろう?」
「うん!」
「いや、かなり優秀だよ。
あまりにもスムーズだから休憩挟むの忘れてた。
なかなか感じ取れない聖女もいるし、
ユウリみたいに一度でできる聖女もいる。
でも、やっぱりすぐにできる聖女はめずらしいよ。
こればかりは感じ方が違うみたいで、聖女の説明書に書いてないんだ。
ユウリは俺の魔力を温度で感じてたんだね。」
「そうみたい。
キリルはいつも体温高いな~って思ってたけど、
あれが魔力だったんだね。」
「はは。そんな風に思われてたんだ。
冷たい人とか、冷たそうだとか言われてばかりだったから、
兄さんやジェシカに言ったら笑われるだろうな。」
「ジェシカさんって?」
初めて聞く女の人らしい名前に思わず聞いてしまった。
というか、キリルとしか話していないせいだと思うけど、
この世界の人の名前を聞くのは初めてのような気がする。
「あぁ、妹だよ。もうそろそろ会わせようと思ってた。
俺がそばに居れない時の護衛兼侍女として。」
「妹さんなんだ…キリルどこか行くの?」
妹さんの名前なんだと納得したのもつかの間で、
そばに居れない時の、という言葉が引っ掛かった。
今までずっと一緒にいたのに、離れるというのはどういうことなんだろう。
もしかして修行が終わったらキリルとは別行動になるの?
魔力が満ちたから、離れても問題ないとかいうのかもしれない。
…今さらキリルと離れて…やっていけるとは思えない。
「なんで不安そうになってるの?」
「だって…キリルと離れなきゃいけないんじゃないの?」
「まさか!俺はずっとユウリと一緒だから。」
驚いた顔で否定してくれたキリルにほっとしてしまう。
良かった。魔力が満ちたことで気持ちも安定したと思ってたけど、
やっぱりキリルがいないとダメなことに変わらないみたい。
「じゃあ、どうしてそばに居れない時って言ったの?」
「あぁ、短時間ね。ほら、隊員たちとの会議とかあるし。」
「会議かぁ…いつあるの?」
「ん?すぐにじゃないよ。
もっとユウリの魔力が落ち着いてきて、
聖女の力も完璧に使いこなせるようになってからね。
ほら、隊長として隊員たちと遠征計画とか話し合わなきゃいけないんだ。
男しかいないむさっ苦しいところにユウリを連れて行くわけにもいかないし。
その時はジェシカと部屋でのんびりしててもらおうと思ってさ。」
「そうなんだ…今すぐじゃないんだね?」
「そうだな…少なくとも数か月後だね。」
短時間とはいえ、今すぐ離れるって言われたら自信が無い。
でも、数か月後っていうなら、
それまでに一人で行動できるくらいになっているかもしれない。
とりあえずは会議中くらいはキリルと離れても落ち着いていられるようになろう。
「わかった。ジェシカさんにはすぐに会えるの?」
「今日は無理だけど、明日か明後日には会えると思う。」
「どんな人なんだろ…仲良くなれると思う?」
考えてみたら一花以外でちゃんと話をしたことがあるのは美里だけだった。
一花とは縁を切ったし、美里にはもう会えない。
ジェシカさんがどんな人かわからないけれど、
ちゃんと話せるようになるといいな。
「…うーん。どんな人か。
兄から見る妹と、他から見るジェシカは違うと思う。
だけどユウリに会いたがってたし、仲良くしてくれるとうれしいな。」
「本当?会いたがってくれてるんだ…。
私、一花以外だと美里くらいしか話してなかったんだ。
友達には無理でも…ちゃんと話ができるようになれるといいな。」
「友達か…なれそうな気もするけど。
ところで、ミサト?って友達?初めて聞く名前だね。」
そういえば美里の話はしていなかった。
ここに来る直前、三日間も美里の家にいたのに。
美里の顔を思い出したら懐かしくて会いたくなる。元気なのかな。
ちょっとだけさみしさを感じてしょんぼりしたら、
背中をポンと軽く押された。
どうやら心配させてしまったようだ。
キリルがにっこり笑って手をひいてくれる。
「とりあえず夕食食べながら話そう?
お腹すいてるだろう?」
「うん!」
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