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聖女の世界
11.一緒にはいられない
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「…そうよ、ここ日本じゃないんでしょ。
だったら、私たち三人で結婚できるじゃない。
良かった!これで問題なく一緒に居られるね!」
「…は?なんで三人で結婚?」
急にここが異世界だって認めたと思ったら、三人で結婚?
目を輝かせている一花が言っていることがわからなさすぎる。
「だって、日本じゃ絶対に無理だったでしょ?
だから三人でずっと一緒にいるためには、律と悠里を結婚させて、
私は愛人って形になるけど、三人で暮らす予定だったの。」
「はぁ?」
「私は三人で一緒にいられればそれでよかったけど、
悠里はそういうの気にするタイプでしょう?
だから、結婚して子どもを産むのは悠里にして、律と私が仕事して、
三人で子ども育てながら生きて行こうって。」
…え?律と私が結婚して、までは理解できるんだけど…。
なんで三人で一緒に住むの?
私が産んだ子を三人で子育てって、意味が分からない。
怖いのはそれを一花が本気で言っているということだ。
本気でそれが叶うと信じている一花に、どう言えば違うとわかってもらえる?
「一花、愛人は一緒に住まないと思うけど。」
「なんで?律も私も一番好きなのは悠里だよ?
悠里のために生きるって決めてるんだから。
何が不満なの?悠里は私たちに守られて生活していくだけだよ?」
「不満しかないよ。ありえない。
…結婚相手の愛人なんかと仲良くなれるわけないじゃない。」
「どうしてそんな風に思うの?愛人って言っても、一花だよ?
今までと何も変わらないじゃない。
今までと同じように三人一緒にいればいいんだよ。問題ないでしょう?」
大真面目な顔で押し付けてくる一花の人生計画に、
完全否定してもわかってもらえる気がしない。
ダメだ…頭痛くなってきた。
あぁ、もう角度が違いすぎて、一花にも合わせられない。
隣にいたキリルを見ると、キリルもお手上げって顔している。
「…ねぇ、悠里、その隣の男は誰?
まさか、悠里に変なこと吹き込んだのはこいつ?」
私の横にいるキリルを敵だと認識したのか、めずらしく一花が人を睨みつけている。
ふわふわした一花がこんな顔を人前でするのはめずらしい。
キリルはにらまれても平然とした顔で少しだけ前に出た。
と、同時にキリルに手を引かれ、半分身体を隠すようにされる。
完全に隠されたわけではないけれど、一花の視線がキリルに向かったことで、
身体中を縛られているような感じが抜けてほっとする。
思った以上に、一花と向かい合うのに恐怖を感じていたのかもしれない。
「初めまして、向こうの世界から来た人。
俺はキリル。ユウリと同じこの世界の住人だよ。」
「何が悠里と同じよ!悠里は私と律のものなのよ!」
「ふぅん。ユウリはそう思ってないようだけど。」
「そんなわけないでしょう!」
「つい四日前にリツっていう男とも話したけど、
ユウリは自分はリツのものじゃないし、
リツにはもう二度と会わないって言ってたよ?」
「…え?何の話?
悠里が律と二度と会わないなんて何言ってんの?
そんなこと言うわけないじゃない。
悠里が律と離れるわけないもん。」
律にお別れを言ったと聞けば動揺するかと思ったのに、
一花はキリルの話を完全に嘘だと思ったようだ。
まったく表情は変えずに否定されてしまった。
キリルの服をつかむようにして一花の様子を窺うと、
そのことが気に入らないとイラついたのがわかった。
「悠里、そんな男に近づいちゃダメだってば!
一花のとこに来てよ!」
「…嫌よ。」
「悠里!」
「ほら、こんなに嫌がられているのに気が付かないのか?
なんで俺の話が嘘だと思ってるんだ?」
「うるさいわね!悠里をこっちに返してよ!」
「ユウリが嫌がってるから無理だよ。
なぁ、リツと寝たんだろう?ユウリに内緒で。
それがバレたら、ユウリに嫌われるって思わなかったのか?」
「はぁ?なんでそれで嫌われるの?」
きょとんとした顔の一花に、
律が一花だぞって言ってた理由がぼんやりとわかってきた。
罪の意識、二人とも全くないんだ。
だから、私がどうして怒っているのかも理解できないんだ。
「恋人って、普通、他の女と寝たら怒られるよな?
どうしてリツがお前と寝たのがバレて、ユウリが怒らないと思ったんだ?」
「だって、悠里のために律に教えていただけよ?
下手くそ童貞の律に悠里とさせたら、痛くて泣いちゃうよ?
将来的には悠里に子供を産んでもらうから、律としなきゃいけなくなるけど、
下手で痛い思いしかしないのは嫌でしょう?
だから、私の身体を使って練習させていたんだけど…それでもまだ下手だもん。
何度もやってればそのうち上手くなるだろうと思ってたけど。」
「本気で練習のつもりだったのか?」
だったら、私たち三人で結婚できるじゃない。
良かった!これで問題なく一緒に居られるね!」
「…は?なんで三人で結婚?」
急にここが異世界だって認めたと思ったら、三人で結婚?
目を輝かせている一花が言っていることがわからなさすぎる。
「だって、日本じゃ絶対に無理だったでしょ?
だから三人でずっと一緒にいるためには、律と悠里を結婚させて、
私は愛人って形になるけど、三人で暮らす予定だったの。」
「はぁ?」
「私は三人で一緒にいられればそれでよかったけど、
悠里はそういうの気にするタイプでしょう?
だから、結婚して子どもを産むのは悠里にして、律と私が仕事して、
三人で子ども育てながら生きて行こうって。」
…え?律と私が結婚して、までは理解できるんだけど…。
なんで三人で一緒に住むの?
私が産んだ子を三人で子育てって、意味が分からない。
怖いのはそれを一花が本気で言っているということだ。
本気でそれが叶うと信じている一花に、どう言えば違うとわかってもらえる?
「一花、愛人は一緒に住まないと思うけど。」
「なんで?律も私も一番好きなのは悠里だよ?
悠里のために生きるって決めてるんだから。
何が不満なの?悠里は私たちに守られて生活していくだけだよ?」
「不満しかないよ。ありえない。
…結婚相手の愛人なんかと仲良くなれるわけないじゃない。」
「どうしてそんな風に思うの?愛人って言っても、一花だよ?
今までと何も変わらないじゃない。
今までと同じように三人一緒にいればいいんだよ。問題ないでしょう?」
大真面目な顔で押し付けてくる一花の人生計画に、
完全否定してもわかってもらえる気がしない。
ダメだ…頭痛くなってきた。
あぁ、もう角度が違いすぎて、一花にも合わせられない。
隣にいたキリルを見ると、キリルもお手上げって顔している。
「…ねぇ、悠里、その隣の男は誰?
まさか、悠里に変なこと吹き込んだのはこいつ?」
私の横にいるキリルを敵だと認識したのか、めずらしく一花が人を睨みつけている。
ふわふわした一花がこんな顔を人前でするのはめずらしい。
キリルはにらまれても平然とした顔で少しだけ前に出た。
と、同時にキリルに手を引かれ、半分身体を隠すようにされる。
完全に隠されたわけではないけれど、一花の視線がキリルに向かったことで、
身体中を縛られているような感じが抜けてほっとする。
思った以上に、一花と向かい合うのに恐怖を感じていたのかもしれない。
「初めまして、向こうの世界から来た人。
俺はキリル。ユウリと同じこの世界の住人だよ。」
「何が悠里と同じよ!悠里は私と律のものなのよ!」
「ふぅん。ユウリはそう思ってないようだけど。」
「そんなわけないでしょう!」
「つい四日前にリツっていう男とも話したけど、
ユウリは自分はリツのものじゃないし、
リツにはもう二度と会わないって言ってたよ?」
「…え?何の話?
悠里が律と二度と会わないなんて何言ってんの?
そんなこと言うわけないじゃない。
悠里が律と離れるわけないもん。」
律にお別れを言ったと聞けば動揺するかと思ったのに、
一花はキリルの話を完全に嘘だと思ったようだ。
まったく表情は変えずに否定されてしまった。
キリルの服をつかむようにして一花の様子を窺うと、
そのことが気に入らないとイラついたのがわかった。
「悠里、そんな男に近づいちゃダメだってば!
一花のとこに来てよ!」
「…嫌よ。」
「悠里!」
「ほら、こんなに嫌がられているのに気が付かないのか?
なんで俺の話が嘘だと思ってるんだ?」
「うるさいわね!悠里をこっちに返してよ!」
「ユウリが嫌がってるから無理だよ。
なぁ、リツと寝たんだろう?ユウリに内緒で。
それがバレたら、ユウリに嫌われるって思わなかったのか?」
「はぁ?なんでそれで嫌われるの?」
きょとんとした顔の一花に、
律が一花だぞって言ってた理由がぼんやりとわかってきた。
罪の意識、二人とも全くないんだ。
だから、私がどうして怒っているのかも理解できないんだ。
「恋人って、普通、他の女と寝たら怒られるよな?
どうしてリツがお前と寝たのがバレて、ユウリが怒らないと思ったんだ?」
「だって、悠里のために律に教えていただけよ?
下手くそ童貞の律に悠里とさせたら、痛くて泣いちゃうよ?
将来的には悠里に子供を産んでもらうから、律としなきゃいけなくなるけど、
下手で痛い思いしかしないのは嫌でしょう?
だから、私の身体を使って練習させていたんだけど…それでもまだ下手だもん。
何度もやってればそのうち上手くなるだろうと思ってたけど。」
「本気で練習のつもりだったのか?」
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