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6章 つながる世界

18.宰相との相談

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食堂での出来事を話している間、隣に座るミーシャの手の温度を感じることで、怒りは何とか抑えて話すことができた。

「というわけで、俺が指示したことは無いし、二人だけで会ったことも無い。
 一度サロンで話したことはあるが、その時もジーンとブランが付き添ってる。
 調べはこれで十分か?宰相。」

「ええ。十分です。
 一応形だけでも聞いておかないとまずいですからね。
 王族を抜けているとはいえ、陛下の子どもであることに変わりないですから。
 …それにしても、どう処罰するべきか…。」


エリザの処罰を決めるためにも俺の話を聞く必要があると言われ、王宮の宰相執務室に来ていた。
一緒に来ている父上とミーシャもあまりいい案は思いつかなさそうだった。


「それなんだが、リオルが検査した方が良いって言うんだ。
 エリザも誰かに操られているんじゃないかって。」

「エリザも?先日の令嬢たちのようにですか?
 …なるほど。そういうこともありえますね。
 だけど、どこでなら検査できますか?幽閉部屋では無理でしょう?」

「…第二離宮ならまだ魔術具の制限をかけていない。
 少し遠いけど、日帰りで行けるから、護衛をつけておけば大丈夫か?」


第二離宮は先々代国王が亡くなった後、側妃が過ごした離宮だ。
先々代は第一王子が事故で亡くなった後、第一王女を後継としたが、それを良しとはしなかった。
もう一人王子を生ませて、その王子を王太子にしようとしていた。
それだけ女王は厳しいものになるとわかっていたからだろう。
第一王子と第一王女を生んだ王妃はもうすでに子を生める歳ではなかったため、あらたに側妃を娶ることになった。
だが、それから陛下が亡くなるまでの数年の間に、子を生むことは無かった。

側妃は下賜されて再婚することもできたのだが、望んだのは再婚せずにおだやかに暮らすことだった。
小さな離宮を賜り、亡くなるまでそこで静かに暮らしたと聞いている。

その離宮を改装したのが第二離宮だった。
改装はしたが誰も使用していないため、魔術具の制限はかけていない。
他の魔術具の影響なくエリザの検査をするにはちょうどいい場所であった。


「わかりました。
 では、準備があるので三日後にでも第二離宮の方に護送しましょう。
 朝から行って検査をしてくれば夕刻までには戻ってこれるでしょう。」

「ああ、それで頼む。リオルもそれでいいな?」

「わかった。何か処罰と言っても、ずっと幽閉するのも難しいんだろう?
 それに血筋の問題もあるから下手な所に嫁がせるわけにもいかないし。
 だったら、操られている意識を元に戻してくれたほうが良いと思う。
 今のままだと、俺がどれだけ拒否しても聞いてくれないから…。」

「…気持ちはわかる。宰相、検査はしっかりするように伝えてくれ。」

ため息をつきながら話す俺と父上を見て、宰相が同情するように慰めてくれる。
事情を知っているから、嫌な気持ちもわかってくれるんだろう。


「二人とも苦労してるからな…お疲れさん。

 さ、では、話は変わりますよ。
 ロードンナ国の陛下から相談したいって手紙来てます。
 できれば内密に話したいそうです。記録に残したくない話のようです。
 どうします?」


ロードンナの陛下?あぁ、父上の友人だって言ってた。
たしか学園に留学してきて仲良くなったって。
母上たちとも仲良しって言ってたしな。

「父上、それならマジックハウスの方で話し合えばいいのでは?
 たしかロードンナの陛下も魔術師だよね?
 それなら他の人にバレないんじゃない?」

「あぁ、そうだな。今ならいいか。
 ジョエルにはお前の二つ下の王女がいるから、
 狙われても困ると思って会わせたくなかったんだ。
 だけど、もうミーシャがいるから会わせても問題ないだろう。
 宰相、ジョエルにはマジックハウスの方に直接来るように言ってくれるか?」

「わかりました。連絡しておきます。」


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