101 / 167
5章 失われた記憶
3.魔女の助言
しおりを挟む
階段を降りていくと、レベッカはシーナが入れたお茶を飲んでいたようだ。
山盛りになっている焼き菓子をもしゃもしゃと食べている。
「おはよう…何かあった?こんな朝早くに。」
「うん、大変なことになっているようだから、
そろそろ腹をくくった方がいいって言いに。」
「腹をくくる?」
「ああ、リリーじゃないよ。残り三人の方だね。全員座って話しを聞くんだ。」
私は首をかしげているのに、三人は何も言わずにおとなしく座った。
腹をくくるというのはどういうことなんだろう。
「さて、リリー。ここ何度も悪夢を見続けているね?」
「えっ。どうして知ってるの?」
「それは、悪夢だと思うかい?」
あの閉じ込められた部屋、何度も何度も刺された感触。
悪夢以外には考えられない。
「ええ…ひどい悪夢だわ。知らない場所に閉じ込められて、老人に刺されるの。
お腹を何度も何度も。その後は息絶えるまで放置されていたわ。」
悪夢の内容を話すと、シーナとシオンが青ざめていくのが見えた。
レオはさっき話したあったからか、そこまでの反応は見えない。
「レオ、リリーの魔女の魂が起き始めている。
何かの条件がそろってしまったのだろう。何か心当たりは無いか?」
「おそらく…年齢だと思う。二十歳になってしまったからだ。」
レオが私の悪夢の理由を知っている?
魔女の魂が起きたって、仮の魔女の魂だったものが起きるの?
起きるって…何か表現がおかしい気がするけど…。
「年齢か。それもあるだろうが…。
こうなってしまったら、一度きちんと思い出させた方が良い。
下手に少しずつ思い出させると曲がった解釈をしてしまいかねない。
悪夢だと思って気持ちが病んでしまったら、そこが弱みになってしまう。」
「きちんと思い出させる方法があるんですか?」
「あるよ。ここまで封印が解けかけてたら簡単だ。
全部外してしまえばいい。心を守る術をかけた上でね。
そうしてきちんと向き合えれば、リリー自身が封印できるようになるはずだ。」
魔女レベッカとレオの会話にもうついていけていない。
自分の話をしているようなのに、何一つわからない。
「リリー。これから俺が言うことを信じてくれる?」
隣に座ってるレオが私の両手を握りしめるようにする。
いつでも信じているけど、どうしてだろう。レオの手が少し震えている。
「レオ、信じるよ?話してくれる?」
「ああ。俺とリリーは、いや俺たち四人は前世で出会ったんだ。」
山盛りになっている焼き菓子をもしゃもしゃと食べている。
「おはよう…何かあった?こんな朝早くに。」
「うん、大変なことになっているようだから、
そろそろ腹をくくった方がいいって言いに。」
「腹をくくる?」
「ああ、リリーじゃないよ。残り三人の方だね。全員座って話しを聞くんだ。」
私は首をかしげているのに、三人は何も言わずにおとなしく座った。
腹をくくるというのはどういうことなんだろう。
「さて、リリー。ここ何度も悪夢を見続けているね?」
「えっ。どうして知ってるの?」
「それは、悪夢だと思うかい?」
あの閉じ込められた部屋、何度も何度も刺された感触。
悪夢以外には考えられない。
「ええ…ひどい悪夢だわ。知らない場所に閉じ込められて、老人に刺されるの。
お腹を何度も何度も。その後は息絶えるまで放置されていたわ。」
悪夢の内容を話すと、シーナとシオンが青ざめていくのが見えた。
レオはさっき話したあったからか、そこまでの反応は見えない。
「レオ、リリーの魔女の魂が起き始めている。
何かの条件がそろってしまったのだろう。何か心当たりは無いか?」
「おそらく…年齢だと思う。二十歳になってしまったからだ。」
レオが私の悪夢の理由を知っている?
魔女の魂が起きたって、仮の魔女の魂だったものが起きるの?
起きるって…何か表現がおかしい気がするけど…。
「年齢か。それもあるだろうが…。
こうなってしまったら、一度きちんと思い出させた方が良い。
下手に少しずつ思い出させると曲がった解釈をしてしまいかねない。
悪夢だと思って気持ちが病んでしまったら、そこが弱みになってしまう。」
「きちんと思い出させる方法があるんですか?」
「あるよ。ここまで封印が解けかけてたら簡単だ。
全部外してしまえばいい。心を守る術をかけた上でね。
そうしてきちんと向き合えれば、リリー自身が封印できるようになるはずだ。」
魔女レベッカとレオの会話にもうついていけていない。
自分の話をしているようなのに、何一つわからない。
「リリー。これから俺が言うことを信じてくれる?」
隣に座ってるレオが私の両手を握りしめるようにする。
いつでも信じているけど、どうしてだろう。レオの手が少し震えている。
「レオ、信じるよ?話してくれる?」
「ああ。俺とリリーは、いや俺たち四人は前世で出会ったんだ。」
66
お気に入りに追加
5,548
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
求職令嬢は恋愛禁止な竜騎士団に、子竜守メイドとして採用されました。
待鳥園子
恋愛
グレンジャー伯爵令嬢ウェンディは父が友人に裏切られ、社交界デビューを目前にして無一文になってしまった。
父は異国へと一人出稼ぎに行ってしまい、行く宛てのない姉を心配する弟を安心させるために、以前邸で働いていた竜騎士を頼ることに。
彼が働くアレイスター竜騎士団は『恋愛禁止』という厳格な規則があり、そのため若い女性は働いていない。しかし、ウェンディは竜力を持つ貴族の血を引く女性にしかなれないという『子竜守』として特別に採用されることになり……。
子竜守として働くことになった没落貴族令嬢が、不器用だけどとても優しい団長と恋愛禁止な竜騎士団で働くために秘密の契約結婚をすることなってしまう、ほのぼの子竜育てありな可愛い恋物語。
※完結まで毎日更新です。
好きだと言ってくれたのに私は可愛くないんだそうです【完結】
須木 水夏
恋愛
大好きな幼なじみ兼婚約者の伯爵令息、ロミオは、メアリーナではない人と恋をする。
メアリーナの初恋は、叶うこと無く終わってしまった。傷ついたメアリーナはロメオとの婚約を解消し距離を置くが、彼の事で心に傷を負い忘れられずにいた。どうにかして彼を忘れる為にメアが頼ったのは、友人達に誘われた夜会。最初は遊びでも良いのじゃないの、と焚き付けられて。
(そうね、新しい恋を見つけましょう。その方が手っ取り早いわ。)
※ご都合主義です。変な法律出てきます。ふわっとしてます。
※ヒーローは変わってます。
※主人公は無意識でざまぁする系です。
※誤字脱字すみません。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】今世も裏切られるのはごめんなので、最愛のあなたはもう要らない
曽根原ツタ
恋愛
隣国との戦時中に国王が病死し、王位継承権を持つ男子がひとりもいなかったため、若い王女エトワールは女王となった。だが──
「俺は彼女を愛している。彼女は俺の子を身篭った」
戦場から帰還した愛する夫の隣には、別の女性が立っていた。さらに彼は、王座を奪うために女王暗殺を企てる。
そして。夫に剣で胸を貫かれて死んだエトワールが次に目が覚めたとき、彼と出会った日に戻っていて……?
──二度目の人生、私を裏切ったあなたを絶対に愛しません。
★小説家になろうさまでも公開中
殿下が恋をしたいと言うのでさせてみる事にしました。婚約者候補からは外れますね
さこの
恋愛
恋がしたい。
ウィルフレッド殿下が言った…
それではどうぞ、美しい恋をしてください。
婚約者候補から外れるようにと同じく婚約者候補のマドレーヌ様が話をつけてくださりました!
話の視点が回毎に変わることがあります。
緩い設定です。二十話程です。
本編+番外編の別視点
大好きな旦那様はどうやら聖女様のことがお好きなようです
古堂すいう
恋愛
祖父から溺愛され我儘に育った公爵令嬢セレーネは、婚約者である皇子から衆目の中、突如婚約破棄を言い渡される。
皇子の横にはセレーネが嫌う男爵令嬢の姿があった。
他人から冷たい視線を浴びたことなどないセレーネに戸惑うばかり、そんな彼女に所有財産没収の命が下されようとしたその時。
救いの手を差し伸べたのは神官長──エルゲンだった。
セレーネは、エルゲンと婚姻を結んだ当初「穏やかで誰にでも微笑むつまらない人」だという印象をもっていたけれど、共に生活する内に徐々に彼の人柄に惹かれていく。
だけれど彼には想い人が出来てしまったようで──…。
「今度はわたくしが恩を返すべきなんですわ!」
今まで自分のことばかりだったセレーネは、初めて人のために何かしたいと思い立ち、大好きな旦那様のために奮闘するのだが──…。
麗しの王子殿下は今日も私を睨みつける。
スズキアカネ
恋愛
「王子殿下の運命の相手を占いで決めるそうだから、レオーネ、あなたが選ばれるかもしれないわよ」
伯母の一声で連れて行かれた王宮広場にはたくさんの若い女の子たちで溢れかえっていた。
そしてバルコニーに立つのは麗しい王子様。
──あの、王子様……何故睨むんですか?
人違いに決まってるからそんなに怒らないでよぉ!
◇◆◇
無断転載・転用禁止。
Do not repost.
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる