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4章 王妃と側妃

28.未来へ

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「全部片付いたかな…。」

「そんなこと言ってる場合じゃないですよ。
 覚えていないんですか?
 ミランダ王女が正妃候補だったから、側妃選びは一時中断していただけです。
 王女が帰ったら側妃候補とのお茶会してもらいますよ?」

「あぁ、そういえばそうだった。
 ミランダ王女は王妃にも側妃にもならなそうだしなぁ。
 公爵家の三人の中から二人だけ選ぶとなるともめるかな…。
 いや、もしかしたら公爵家の三人だって、
 恋人がいるから辞退したいものがいるかもしれない。
 お茶会で会って聞いてみたら三人とも拒否するかもしれないぞ?」

「陛下…そうなったら、間違いなく侯爵家の二人が候補になりますよ?
 いいんですか?エリーゼ様とアンジェリーナ様だけは嫌なのでしょう?」

「嫌というか、わざわざ問題起こしそうなのを妃にするのは嫌だろう?
 いいのか?宰相の仕事だって増えるんだぞ?」

「だから言ってるんじゃないですか。
 公爵家の三人のうち、せめて一人だけでも娶ってもらわないと困ります。
 レンメール国の方たちが帰国したら、すぐ予定いれますからね?」

「…仕方ないな。わかった。」


そんな風に宰相から叱られつつ今後の予定を考えていたのだが、
ミランダ王女からの留学ではなく編入したいとの申し出によって、
側妃候補との予定がすべてが白紙になった。
次の学年が最終学年になるので、
これから卒業までの一年を帰国せずに王宮で過ごしたいという。
それだけでなく、妃候補として見定めてほしいとの申し出があった。

どうやらミランダ王女としても迷っているようだが、
それでもレンメール国に帰って恋人のもとへ降嫁する気はなくなったようだ。
留学に来た時と違い、目の色が違う気がするのは気のせいじゃないだろう。
留学当初は学園の教育の違いに苦労していたようだが、
今では慣れたようでまずまずの成績をとっている。
このまま卒業まで学び続けられれば、王妃としてもやっていけるほどの器に思える。
学園の教師たちの報告書には当初とは違って、見違えるような成績の王女に、
ぜひ卒業まで残ってほしいとのことだった。


「このまま一年、しっかりとこの国について学びます。
 その上で、私が妃にふさわしいと思われたら、
 形だけじゃなく正式に妃として娶っていただけますか?」

留学生ではなく編入して、最終学年の学生として通い始めた日に、
ミランダ王女は侍女を連れて執務室までそのことを告げに来た。
凛とした姿とはうらはらに、頬が真っ赤に染まってしまっているのを見て、
思わぬ言葉を告げられて動揺してしまった。

あぁ、もう恋したらダメだってわかってるんだけどな。
不覚にもミランダ王女のことを可愛いと思ってしまった。




「あーあ。側妃は…無理かもしれませんね。」

ミランダ王女が出て行った後の、宰相のつぶやきは聞かなかったことにする。


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