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4章 王妃と側妃
15.忍び寄るものたち
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レンメール国から使者が来たのは、
王女たちを留学で受け入れてから一月が過ぎた頃だった。
書簡を読んだ宰相が渋い顔をしているのを見て、何かあったなと感じた。
「何かまずいことがおきたか?」
「まずいというか、内容が気になります。
新しく3名のものを留学させてほしいと。
その中にレーンガル公爵家の嫡男もいるんです。」
「は?レーンガル公爵家の嫡男ってあれだろう?」
「そうです。魅了にかかってるという公爵家の長男です。」
「それが留学してくるって言うのか?
…もしかして、魅了をつかう令嬢も一緒か?」
「それは確認してみないとわかりませんね…。
王女たちと面会して話を聞いてみますか?」
「ああ。早急に場を設けてくれ。」
詳しい事情は本人たちに聞いてみなければわからない。
書簡の内容だと留学の申込みだが、
王女たちが来た時も許可を出す前に向こうを出ている。
今回も許可を出す前に出発してしまっていると考えたほうが良い。
こちらにつく前に何か対策を考えなければいけない。猶予はあまりなかった。
「お久しぶりですわ、陛下。」
学園に通ってる王女たちと会うのは久しぶりだった。
来た当初は晩餐などに誘うこともあったが、
学園生活は思ったよりも留学生に厳しかったらしい。
天才と言われるロードンナ国の王太子は平気そうだったが、
レンメール国の4人はそれぞれに苦手分野があるらしく苦戦していた。
そのため試験期間でもあるここ二週間ほどは、ゆっくり会うことも無かった。
王女の他に公爵家、そして初めて会う侯爵家の令息がいた。
侯爵家の令息を見て、少しだけ違和感を感じる。
銀髪紫目なこともそうだが、長身で大人びた印象を受ける。
顔つきが王女に似ている…?
「ああ、久しぶりだね、王女。
ところで、そちらの令息は初めて会うね。
紹介してくれるかい?」
「…ええ。デッセンルク侯爵家のフレッドですわ。」
「フレッドです。お会いできて光栄です、陛下。」
うーん。やっぱり違和感があるな。
普通ならこのまま見逃してもいいんだけど、今回はそれはできないな。
「ねぇ、ミランダ王女。
嘘は嫌いなんだ。誤魔化さないでくれないか?」
「…。」
「少なくとも君を妃にしなくても同盟は維持できると思っている。
その信用を裏切らないでほしいんだけど。ねぇ、君はどう思う?」
黙ってしまったミランダ王女の代わりに、侯爵令息だと名乗る男に質問する。
少しの沈黙の後、静かに話し始めた。
「もうしわけありません、陛下。」
「うん、話してくれる?君は誰だ?」
王女たちを留学で受け入れてから一月が過ぎた頃だった。
書簡を読んだ宰相が渋い顔をしているのを見て、何かあったなと感じた。
「何かまずいことがおきたか?」
「まずいというか、内容が気になります。
新しく3名のものを留学させてほしいと。
その中にレーンガル公爵家の嫡男もいるんです。」
「は?レーンガル公爵家の嫡男ってあれだろう?」
「そうです。魅了にかかってるという公爵家の長男です。」
「それが留学してくるって言うのか?
…もしかして、魅了をつかう令嬢も一緒か?」
「それは確認してみないとわかりませんね…。
王女たちと面会して話を聞いてみますか?」
「ああ。早急に場を設けてくれ。」
詳しい事情は本人たちに聞いてみなければわからない。
書簡の内容だと留学の申込みだが、
王女たちが来た時も許可を出す前に向こうを出ている。
今回も許可を出す前に出発してしまっていると考えたほうが良い。
こちらにつく前に何か対策を考えなければいけない。猶予はあまりなかった。
「お久しぶりですわ、陛下。」
学園に通ってる王女たちと会うのは久しぶりだった。
来た当初は晩餐などに誘うこともあったが、
学園生活は思ったよりも留学生に厳しかったらしい。
天才と言われるロードンナ国の王太子は平気そうだったが、
レンメール国の4人はそれぞれに苦手分野があるらしく苦戦していた。
そのため試験期間でもあるここ二週間ほどは、ゆっくり会うことも無かった。
王女の他に公爵家、そして初めて会う侯爵家の令息がいた。
侯爵家の令息を見て、少しだけ違和感を感じる。
銀髪紫目なこともそうだが、長身で大人びた印象を受ける。
顔つきが王女に似ている…?
「ああ、久しぶりだね、王女。
ところで、そちらの令息は初めて会うね。
紹介してくれるかい?」
「…ええ。デッセンルク侯爵家のフレッドですわ。」
「フレッドです。お会いできて光栄です、陛下。」
うーん。やっぱり違和感があるな。
普通ならこのまま見逃してもいいんだけど、今回はそれはできないな。
「ねぇ、ミランダ王女。
嘘は嫌いなんだ。誤魔化さないでくれないか?」
「…。」
「少なくとも君を妃にしなくても同盟は維持できると思っている。
その信用を裏切らないでほしいんだけど。ねぇ、君はどう思う?」
黙ってしまったミランダ王女の代わりに、侯爵令息だと名乗る男に質問する。
少しの沈黙の後、静かに話し始めた。
「もうしわけありません、陛下。」
「うん、話してくれる?君は誰だ?」
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