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26.回想 10日間の闘い
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「やられたよ…。予想外だった。」
その日の夜にレオとジョエルから連絡が入った。
緊急だと言うのですぐに会うことにしたが、寮に呼ぶのは難しい。
仕方なく外泊届を出して魔女の森に戻った。
ジョエルは初めて見たマジックハウスに驚いてはいたが、
すぐに気持ちを切り替えた。
それどころではないらしい。
「何があったの?」
「第一王子が、魅了にかかった。」
「ええ!?大問題じゃないの!」
「そのせいで、王宮も安全な所では無くなってしまった。
第一王子が許可を出したら、王族エリア内にも入ってこれてしまう。
おそらく明日以降、王宮内をうろつくつもりだろう。」
「どうして第一王子に?レオを狙ってたわけじゃないの?」
「いや、レオ狙いだと思うよ。伯爵家では王妃になれない。
おそらく王弟妃狙いだろう。それなら伯爵家でも問題ない。
レオを教室まで探しに来て僕たちに声をかけたのと同じで、
第一王子のところにも聞きに行ったのだろう。
午後から来ると思っていたレオがいないし、僕たちも全員いなくなったから。
おかげで第一王子の他、側近候補たちまで軒並みやられている。」
「そんな…。
魔女が言うには私が10日間修行すれば何とかなるだろうと。
その間は…マジックハウスに隠れているしかないかな。
それでいい?レオ?どうかした?」
ここに着いた時からレオの様子が少しおかしかった。
会話に参加せずに、何か考えているようだ。
その令嬢に会ったわけじゃないと思うけど、どうしたのだろう。
「あぁ、大丈夫だ。
ちょっと兄貴と話してみたんだが、
いろいろ魅了の影響なのか変わってて。
一応は血のつながった兄貴だからな…考えてしまったんだ。
10日間はここにいさせてもらえるか?
その間みんなはどうするんだ?」
「誰か学園の様子を見てきたほうがいいですよね?
姫様は修行だし、男性はダメでしょうから、
私が通いましょうか?」
話を聞いていたシーナが手をあげた。
「そうだな、レオとシオンはダメ。
僕も魅了に抵抗できるとは言え、かなりキツイ。
ここにいさせてもらっていいかな?」
「なぁ、ジョエル。その抵抗するのって、俺でもできるか?」
「それなりに大変だけど、できなくないと思うよ?
ただ10日では無理だろうな…。」
「やり方だけ教えてもらっていいか?
今回は無事だったけど、またそんな令嬢が現れるかもしれないし。
ここにいるだけじゃ暇だろう?」
「わかった。じゃあ、シオンもやろうか。」
「あーめんどくさいけど、しかたないか。わかった。俺もやる。」
話は決まったようだ。
シーナは学園に偵察に行ってもらう。
男性三人は魅了に抵抗する修行を。
私はご飯とお菓子を作って、午後は魔女に修行を見てもらう。
10日間の勝負。負けるわけにはいかない。
その日の夜にレオとジョエルから連絡が入った。
緊急だと言うのですぐに会うことにしたが、寮に呼ぶのは難しい。
仕方なく外泊届を出して魔女の森に戻った。
ジョエルは初めて見たマジックハウスに驚いてはいたが、
すぐに気持ちを切り替えた。
それどころではないらしい。
「何があったの?」
「第一王子が、魅了にかかった。」
「ええ!?大問題じゃないの!」
「そのせいで、王宮も安全な所では無くなってしまった。
第一王子が許可を出したら、王族エリア内にも入ってこれてしまう。
おそらく明日以降、王宮内をうろつくつもりだろう。」
「どうして第一王子に?レオを狙ってたわけじゃないの?」
「いや、レオ狙いだと思うよ。伯爵家では王妃になれない。
おそらく王弟妃狙いだろう。それなら伯爵家でも問題ない。
レオを教室まで探しに来て僕たちに声をかけたのと同じで、
第一王子のところにも聞きに行ったのだろう。
午後から来ると思っていたレオがいないし、僕たちも全員いなくなったから。
おかげで第一王子の他、側近候補たちまで軒並みやられている。」
「そんな…。
魔女が言うには私が10日間修行すれば何とかなるだろうと。
その間は…マジックハウスに隠れているしかないかな。
それでいい?レオ?どうかした?」
ここに着いた時からレオの様子が少しおかしかった。
会話に参加せずに、何か考えているようだ。
その令嬢に会ったわけじゃないと思うけど、どうしたのだろう。
「あぁ、大丈夫だ。
ちょっと兄貴と話してみたんだが、
いろいろ魅了の影響なのか変わってて。
一応は血のつながった兄貴だからな…考えてしまったんだ。
10日間はここにいさせてもらえるか?
その間みんなはどうするんだ?」
「誰か学園の様子を見てきたほうがいいですよね?
姫様は修行だし、男性はダメでしょうから、
私が通いましょうか?」
話を聞いていたシーナが手をあげた。
「そうだな、レオとシオンはダメ。
僕も魅了に抵抗できるとは言え、かなりキツイ。
ここにいさせてもらっていいかな?」
「なぁ、ジョエル。その抵抗するのって、俺でもできるか?」
「それなりに大変だけど、できなくないと思うよ?
ただ10日では無理だろうな…。」
「やり方だけ教えてもらっていいか?
今回は無事だったけど、またそんな令嬢が現れるかもしれないし。
ここにいるだけじゃ暇だろう?」
「わかった。じゃあ、シオンもやろうか。」
「あーめんどくさいけど、しかたないか。わかった。俺もやる。」
話は決まったようだ。
シーナは学園に偵察に行ってもらう。
男性三人は魅了に抵抗する修行を。
私はご飯とお菓子を作って、午後は魔女に修行を見てもらう。
10日間の勝負。負けるわけにはいかない。
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