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7.俺は…

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側妃、ね。ホント頭が痛い。

「はぁぁぁぁ。いったい何を言ってるんだ?
 たしか伯爵だったな?ミリナ嬢の父親か?
 なぁ、俺の立場はなんだ?」

「え?」

「皆に聞く。俺の立場はなんだ?」


謁見室にいた貴族たちが一斉に話し始める。
殿下は…?陛下は?あれ、おかしいな?
貴族たちが悩み始めたのがわかる。

「俺は陛下じゃない。王弟だ。側妃を持つことなんて、できないぞ。」

「…え?」

ようやく気が付いたのか、周りの貴族たちまで真っ青になっている。
今まで何だと思っていたんだ。王弟にそんな権利なんかないぞ。
というか、俺は王位継承権もないんだが…。

「というわけで、側妃の話など、ありえない。
 俺は王弟だし、公爵になる予定だし、王位継承権もない。

 その上で、俺はあの日の夜は隣国の王太子ジョエルと会っていた。
 街の宿場で、朝まで一緒に飲んでいたんだ。
 これが証拠のジョエルからの手紙だ。」

「そ、そんな。では、本当にミリナの相手はあの男?」

「やだ…嘘でしょう?」

自分たちがいろいろと間違っていたことに気が付いたのか、
伯爵は今にも倒れそうだ。
だが、ここからが大事なんだ。まだ倒れるなよ?

「それで、俺がいない間の事として報告を受け、今まで調べていた。
 衛兵、入れ!」

廊下から衛兵に両腕をつかまれたまま、一人の侍女が入ってくる。
泣きはらした顔はひどいものだった。
侍女が入ってきたことで、伯爵は今にも逃げ出しそうだ。
衛兵に目で合図を送る。逃がすなよ?


「この侍女は俺とリリーの部屋に出入りしている侍女だ。
 伯爵に頼まれて、あの日媚薬を盛ったと自白している。
 俺と間違えてジョンに盛ったらしい。
 ジョンがミリナ嬢を抱いたのは、その薬のせいだと思われる。
 そのため、ジョンも責任を取る必要などない。」

「そんな!」

「それと、もう一つ。この侍女が自白してくれたよ。
 リリーに避妊薬をお茶に混ぜて飲ませ続けていたと。
 4年もの間だ。子どもができなかった理由はこれだろう。
 伯爵、もう言い逃れはできない。
 ジョンに媚薬を盛った件はなんとか誤魔化せても、
 王弟妃に薬を盛ったことは許されることではない。
 二人とも捕まえて、牢に連れていけ。」

「…いやっ。いやよ!…どうして?私は側妃になるはずじゃ…
 どうしてよっ!またあの女のせいでっ。」

父親の伯爵は気を失う寸前を捕らえられたが、
ミリナ嬢は最後まであきらめずに騒ぎ立てていた。
恨みによるもので間違いないだろう。リリーが悲しまなければいいが…。

それにしても…もう我慢の限界だ。

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