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23.精霊の怒り
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「嘘よ!嘘、嘘だわ!私が公爵家を継ぐんだから!!」
ひときわ大きな声で叫んだブランカの頭上に、小さな雲がいくつも現れる。
こちら側からはそれがはっきり見えるけれど、
ブランカとお父様は気がつかない。
「陛下が認めてくださればいいのよ!だって、私はお父様の娘ですもの!
あの家は私の家。公爵家は私のものなのよ!!」
ババババリィィィィィと激しい音がして、ブランカの上に雷が落ちた。
ボロボロのドレスが発火したが、その後の豪雨によって火は消された。
数分の雨の後、倒れたブランカと腰をぬかして座り込むお父様が残る。
「ひぃぃぃぃ」
呆然としてた陛下が、それを見て悲鳴をあげた。
まさか、謁見室の中で雷が落ちるとは思わなかったのだろう。
「陛下、おそらく命は助かっていると思います。
誰か、医務室にまで運んで治療させてください」
「さ、宰相!」
「は、っはい。
お前たち、あの二人を医務室に連れていけ!すぐにだ!」
「「「「はっ」」」」
廊下にいた騎士たちがバラバラと謁見室に入ってきて、
動かない二人を担ぎ上げて連れて行く。
騎士達も疲れているのか、動きが緩慢になっている。
一度目の警告だろうから、命は取らないと思うけれど大丈夫だろうか。
ブランカはもうすでに精霊に嫌われている。
そのうえ、あんな発言をしたので雷が落ちたのだ。
「陛下、今見たとおりです。
精霊はブランカを認めませんでした」
「あ、あれは認めないものが当主になると、ああなるのか?」
「なります。お父様に雷が落ちなかったのは、
お父様自身がなりたいと言わなかったからではないでしょうか?」
お父様は精霊に嫌われてはいるが、
俺が当主になるのが当然だなどと私に言うことはなかった。
一応は常識というか、国法くらいは理解しているのだと思う。
陛下が言っていることがめちゃくちゃだということはわかっていた。
「……では、どうあっても、エルヴィラが当主でなければならないと?」
「他になれる方がいるのであればお任せしてもいいのですが、
決まるまでは何度も当主の儀を行わなければいけません。
今の王都はそれに耐えられないと思うのですが……」
「また、あれを繰り返すというのか……」
「そうでなければ、当主は交代できませんので……」
陛下は国王ならばなんでも意見が通ると思っている。
今までそうしてきたから、これからもそうできると思ってしまっている。
だが、精霊に関しては人間の権力は無意味だ。
「認めたくない……ううん。認めたくない……」
ついにうなり出してしまった陛下の上に雲ができ始める。
「あ」
「あ?」
ばしゃぁぁぁぁぁと陛下と宰相の上に雨が降り始めた。しかもかなり強い。
あの小さな雲でよくあんな量の雨を降らせられると思う。
ひとしきり降った後、雲は消えた。
「……陛下、今のは軽い警告だと思います。
次は雷かもしれませんので、お気をつけください」
「はぁ?雷が落ちるだと!?国王なのにか!?」
「精霊にとっては、すべて人間は同じに見えます。
国王陛下だとしても容赦しませんので」
ここではっきり言っておかないと、本当に雷が落ちる。
陛下と宰相に落ちてしまうと、話し合いがうやむやになってしまう。
そうなる前になんとか話を終えて帰りたい。
「わ、わかった。だが、ちょっと待て。着替えてくる!
話はその後にしよう!」
さすがにずぶぬれで話を続けるのが嫌なのか、
そそくさと陛下と宰相は謁見室から出て行ってしまう。
また待たされるのかとため息をついたら、
なぜかアロルドまで出て行くところだった。
「アロルド?」
「ちょっと覗いてくる。絶対に何か企んでるだろう」
どうやら陛下のあとを追うらしい。
まだあきらめてくれないのかと思うとうんざりする。
十数分後、アロルドが先に戻って来た。
何か怒っているような顔をしている。
「……大丈夫?」
「あいつら、ベッティル王子を連れてくるつもりだ」
ベッティル様を?今さらどうして?
詳しく聞こうと思ったのに、陛下と宰相が謁見室に戻って来た。
本当にベッティル様を連れて来ている。いったい何を?
「いや、待たせたな。では、話の続きをしようか」
何事も無かったように陛下は話し始めるが、やけに機嫌がいい。
着替える前とは違い、私に向かってにこにこしている。
「それでは、精霊が認めるエルヴィラを当主として認めよう」
「ありがとうございます」
「エミールと愛人、その娘についてはどうする?」
そうか。当主として認められたのであれば、もうお父様は必要ない。
どっちにしても、その三人は公爵家の敷地内に入ることはできない。
もう見捨ててもかまわないだろう。
「私が当主として認められましたので、当主代理は必要なくなりました。
エミール・アーンフェは籍から外し、平民として出て行ってもらいます」
「父親なのにか?」
「精霊王の前でお母様だけを唯一愛すると誓ったのも関わらず、
愛人との間に娘をつくるようなかたは公爵家に置いておけません。
それに、ブランカに罪はないのかもしれませんが、
お母様が亡くなった原因はあの子のせいです」
「ブランカのせい?」
「何も知らないお母様に向かって、お父様はブランカのものだから返してと」
「ふむ……なるほど。エルヴィラが嫌うのも仕方ないか」
「愛する人と娘が大事だというのであれば、
親子三人で仲良く暮らしていけばよいと思います」
「そうだな。エミールを籍から外すことも許そう」
「ありがとうございます」
貴族家の当主が籍から外すと決めたのなら、陛下の許可はいらないのだけど。
ここでもめる必要もないので、素直にお礼を言っておく。
「それで、だ。エルヴィラが当主になると言うのなら、話しは違う。
ベッティルと婚約解消したことは無かったことにする」
「え?」
ひときわ大きな声で叫んだブランカの頭上に、小さな雲がいくつも現れる。
こちら側からはそれがはっきり見えるけれど、
ブランカとお父様は気がつかない。
「陛下が認めてくださればいいのよ!だって、私はお父様の娘ですもの!
あの家は私の家。公爵家は私のものなのよ!!」
ババババリィィィィィと激しい音がして、ブランカの上に雷が落ちた。
ボロボロのドレスが発火したが、その後の豪雨によって火は消された。
数分の雨の後、倒れたブランカと腰をぬかして座り込むお父様が残る。
「ひぃぃぃぃ」
呆然としてた陛下が、それを見て悲鳴をあげた。
まさか、謁見室の中で雷が落ちるとは思わなかったのだろう。
「陛下、おそらく命は助かっていると思います。
誰か、医務室にまで運んで治療させてください」
「さ、宰相!」
「は、っはい。
お前たち、あの二人を医務室に連れていけ!すぐにだ!」
「「「「はっ」」」」
廊下にいた騎士たちがバラバラと謁見室に入ってきて、
動かない二人を担ぎ上げて連れて行く。
騎士達も疲れているのか、動きが緩慢になっている。
一度目の警告だろうから、命は取らないと思うけれど大丈夫だろうか。
ブランカはもうすでに精霊に嫌われている。
そのうえ、あんな発言をしたので雷が落ちたのだ。
「陛下、今見たとおりです。
精霊はブランカを認めませんでした」
「あ、あれは認めないものが当主になると、ああなるのか?」
「なります。お父様に雷が落ちなかったのは、
お父様自身がなりたいと言わなかったからではないでしょうか?」
お父様は精霊に嫌われてはいるが、
俺が当主になるのが当然だなどと私に言うことはなかった。
一応は常識というか、国法くらいは理解しているのだと思う。
陛下が言っていることがめちゃくちゃだということはわかっていた。
「……では、どうあっても、エルヴィラが当主でなければならないと?」
「他になれる方がいるのであればお任せしてもいいのですが、
決まるまでは何度も当主の儀を行わなければいけません。
今の王都はそれに耐えられないと思うのですが……」
「また、あれを繰り返すというのか……」
「そうでなければ、当主は交代できませんので……」
陛下は国王ならばなんでも意見が通ると思っている。
今までそうしてきたから、これからもそうできると思ってしまっている。
だが、精霊に関しては人間の権力は無意味だ。
「認めたくない……ううん。認めたくない……」
ついにうなり出してしまった陛下の上に雲ができ始める。
「あ」
「あ?」
ばしゃぁぁぁぁぁと陛下と宰相の上に雨が降り始めた。しかもかなり強い。
あの小さな雲でよくあんな量の雨を降らせられると思う。
ひとしきり降った後、雲は消えた。
「……陛下、今のは軽い警告だと思います。
次は雷かもしれませんので、お気をつけください」
「はぁ?雷が落ちるだと!?国王なのにか!?」
「精霊にとっては、すべて人間は同じに見えます。
国王陛下だとしても容赦しませんので」
ここではっきり言っておかないと、本当に雷が落ちる。
陛下と宰相に落ちてしまうと、話し合いがうやむやになってしまう。
そうなる前になんとか話を終えて帰りたい。
「わ、わかった。だが、ちょっと待て。着替えてくる!
話はその後にしよう!」
さすがにずぶぬれで話を続けるのが嫌なのか、
そそくさと陛下と宰相は謁見室から出て行ってしまう。
また待たされるのかとため息をついたら、
なぜかアロルドまで出て行くところだった。
「アロルド?」
「ちょっと覗いてくる。絶対に何か企んでるだろう」
どうやら陛下のあとを追うらしい。
まだあきらめてくれないのかと思うとうんざりする。
十数分後、アロルドが先に戻って来た。
何か怒っているような顔をしている。
「……大丈夫?」
「あいつら、ベッティル王子を連れてくるつもりだ」
ベッティル様を?今さらどうして?
詳しく聞こうと思ったのに、陛下と宰相が謁見室に戻って来た。
本当にベッティル様を連れて来ている。いったい何を?
「いや、待たせたな。では、話の続きをしようか」
何事も無かったように陛下は話し始めるが、やけに機嫌がいい。
着替える前とは違い、私に向かってにこにこしている。
「それでは、精霊が認めるエルヴィラを当主として認めよう」
「ありがとうございます」
「エミールと愛人、その娘についてはどうする?」
そうか。当主として認められたのであれば、もうお父様は必要ない。
どっちにしても、その三人は公爵家の敷地内に入ることはできない。
もう見捨ててもかまわないだろう。
「私が当主として認められましたので、当主代理は必要なくなりました。
エミール・アーンフェは籍から外し、平民として出て行ってもらいます」
「父親なのにか?」
「精霊王の前でお母様だけを唯一愛すると誓ったのも関わらず、
愛人との間に娘をつくるようなかたは公爵家に置いておけません。
それに、ブランカに罪はないのかもしれませんが、
お母様が亡くなった原因はあの子のせいです」
「ブランカのせい?」
「何も知らないお母様に向かって、お父様はブランカのものだから返してと」
「ふむ……なるほど。エルヴィラが嫌うのも仕方ないか」
「愛する人と娘が大事だというのであれば、
親子三人で仲良く暮らしていけばよいと思います」
「そうだな。エミールを籍から外すことも許そう」
「ありがとうございます」
貴族家の当主が籍から外すと決めたのなら、陛下の許可はいらないのだけど。
ここでもめる必要もないので、素直にお礼を言っておく。
「それで、だ。エルヴィラが当主になると言うのなら、話しは違う。
ベッティルと婚約解消したことは無かったことにする」
「え?」
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