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14.新しい部屋

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新しい部屋はジルの私室の隣の部屋だった。
王弟妃の部屋だから、当然ではあるけれど。
以前は王弟も側妃をもてたらしいが、お父様が国王の側妃を廃止するのと同時に、
王族の側妃もすべて廃止している。
そのため、本来は王弟の私室の両隣は妃の部屋だった。
改築していたのは、側妃の部屋を無くして、執務室を作ったらしい。

「どうして執務室?」

「ここで仕事するから。ルヴィもね。
 国王の宮は、今の宮とこの宮と交互に使用することになっている。
 今の宮は兄上が使っているから、
 俺が国王になる時はこの宮が王の宮に変わるんだ。」

「そうなんだ。知らなかった。」

「兄上が国王になった時は、ルヴィは産まれてすぐだったからね。
 覚えていなくても仕方ないよ。
 謁見室と宰相室は別に作るとして、ここは俺だけの執務室なんだ。
 あまり大きな執務室はいらないから、私室の横に作った。
 これなら何かあればすぐにルヴィの所に行けるからね。」

「そうじゃないでしょ?
 何かあってもすぐ対応できるから、私室の横に作ったんでしょう?」

「もちろん、それもあるよ。ルヴィは王政をよく理解してるね。」

そんなことはない。だって、お父様は王政に関わらせてくれなかったもの。
今思えば、私を女王にする気が無いから、
誰と結婚してもいいようにしてくれたんだろう。
王政に関われば、たとえば他国に嫁がせることはできなくなる。
…そういうことなんだ。私が他国に嫁ぐ可能性はあったんだ。

「お父様は、私をどうするつもりだったのかしら。」

思わず言葉がこぼれてしまっていた。
はっと気が付いて口を押えたけど、ジルには聞こえていたようだ。
ジルのことだから、私が何を考えていたのかなんて、すぐわかるだろう。

「ルヴィ、この机はルヴィのだよ。」

本棚に囲まれているような執務室の中、
ジルの机に向き合うように置いてある、ジルの机よりも一回り小さい机。
宰相の机だと思っていたけど、私の?

「私の机?」

「そう。学園の休みは俺と一緒にって、約束したよね?」

確かに約束した。隣国の留学生に休日関わらないで済むようにって。

「うん。じゃあ、ここで王妃になる勉強するの?」

「ルヴィの家庭教師に聞いたけど、もうほとんどやることないって。
 俺がいない間もちゃんと頑張っていたんだね。」

「…令嬢としての勉強しかさせられていないわ。」

「うん、それが王妃の勉強だったみたいだよ。
 9歳から家庭教師が何人もついていただろう?」

「え!そうなの?私、何も聞いてないわ。」

「ちょっと座って、ゆっくり話そうか。こっちにおいで。」


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