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46.マリージュ様のおすすめ

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「え?景色のいい場所を知りたい?」

「はい。できれば人の少ない安全な場所で。」

「…ロージーといちゃいちゃしたいなら、好きなとこ行けばいいじゃない。」

「…いちゃいちゃ。」

「まったく、学園時代からユリアスがロージーを好きだったのはわかるけど、
 ようやくロージーを恋人にできたからって浮かれ過ぎよ。
 侍女たちが見てる方が恥ずかしいって言ってたわ。
 未婚の侍女たちばかりなのだから、少しは手加減してよ。」

「マリージュ様…俺とロージーは恋人ではありません…。」

「はぁ?あんだけいちゃついておきながら?
 もう婚約してるんじゃないの?
 だって、先日は寝室で二人きりだったって報告来ているわよ!?」

「…あれはロージーが魔力切れで、魔力の補充してただけです。
 あのままだと三日は起き上がれなかったので…。」

「…何してたの?今まで。
 二人旅でここまで来たんじゃないの?」

「…王弟殿下にも帰ってくるまでに告白しろと…。
 だから、マリージュ様にいい場所知らないか聞いたんですけど…。」

「はぁああああ。ユリアスって、意外と女慣れしてなかったのね…。
 っていうか、告白もしないであんだけいちゃついてたことに驚きだわ。
 ロージーもユリアスに抱き着いてたわよね?」

「あれは王子から逃げてるだけです。
 俺が守るって約束してるので、
 俺のそばにいれば大丈夫だと思ってるんでしょう。」

「…無自覚なの?この二人…。
 はぁぁ。わかった、良い場所あるわ。教えてあげる。
 私もそこで陛下から求婚受けた大事な場所。
 ユリアスとロージーには幸せになってもらいたいから。」


マリージュ様にそんな頼みごとをした結果、
アステカニア王国の始まりの場所、聖なる滝を教えてもらった。
ロージーを後ろから支えるように馬に二人乗りして山道を進むと、
開けた場所に大きな湖があった。
その湖にそそぐように滝が流れている。
湖をのぞき込むとあまりの透明度に、
人が立ち入っていい場所なのかためらってしまうほどだった。

同じように驚いているロージーを馬からおろすと、恐る恐る湖に近付いていく。
水属性のロージーを連れて行くならと、
マリージュ様から教えてもらった情報を伝えてみる。



「ロージー、マリージュ様が水属性のものなら願いを叶えられるって言ってた。
 水の精霊が宿っている場所らしい。
 ロージーが願えば聞いてもらえるんじゃないか?」

「…願い事ねぇ。」

軽く首をかしげて考え込んでいるロージーに、願い事は何か聞いてみたくなる。
願ったら後で聞いてみようかなと思っていると、
ロージーが湖のすぐ近くまで行って跪いて祈りだした。
そよ風で震えている金色の髪に光が反射して、
同じように光る湖と一体化しているように見えた。
神々しいくらいの美しさに見とれていると、
大きな手のように見える水のかたまりがロージーに降り注いだ。
次の瞬間には、ロージーに水が巻き付いて捕まえられていた。

しまったと思った時にはもう遅かった。
水の中にロージーが引きずり込まれていくのが見えて、慌てて後を追って飛び込んだ。
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