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30.隣国の王宮での生活
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王宮での生活が始まり、魔術学校に通いながらマリージュ様と交流する日が続いて、二週間がたっていた。
今日は魔術学校は休みなため特に予定は入っていなかった。
「それにしても魔術学校での活躍は聞いたわ。
学校長が泣いて感激していたらしいわね。」
「…あれは、どうしてもとお願いされて仕方なく…。」
マリージュ様は暇なのか、毎日のように私とお茶をしに部屋に来ていた。
その間は安全だからと言ってユリアスは騎士団の訓練に行っている。
護衛騎士として本来は毎日のように稽古する時間が必要なのだとか。
マリージュ様がいる間は、ベージェ王子が無理やり押しかけてくることも無く、マリージュ様の護衛騎士が何人もいるために他の危険も少ない。
ユリアスが私から離れられるタイミングはこの時間くらいしかなかった。
「光属性で評価されるのは当たり前だと思ってたわ。
だってこの国には光属性はほとんどいないのですもの。
でも、水属性での評価も高いなんて、
さすが叔父様の学校で講師になるだけのことはあるわね。」
「ほめていただけるのはうれしいのですが…。
この国には光属性がいないのですか?
めずらしがられている気はしていましたが、いないとは思ってませんでした。」
「ほら、光属性は王家の血と言ったでしょう。
アステカニア王国の王家の血なのよ。
今までアステカニアからルーニア国に嫁いだ王族はいない。
公爵家からも、私が初めてになるのではないかしら。
だからルーニアには光属性がいないのよ。」
「あぁ、なるほど。ルーニア国の王族は光属性とは関係ないのですね。」
「ルーニア国の王族は土属性が多いわ。
だから私が王妃になることに反対されないのだと思うけど。」
そう言ってマリージュ様が束ねていた髪を一房掴んでこちらに見せる。
綺麗な土の色の髪に緑がまざる。
土属性も葉属性も農耕がさかんなルーニア国では重宝されるだろう。
「ルーニアでは土、葉、水が大事にされる感じでしょうか。」
「ええ、そうね。
それでもやっぱり光属性をありがたがってしまうのは聖女のイメージが強いせいね。
アステカニア王国の初代は、
光属性の国王と聖女が結ばれたのが始まりだと言われているわ。
魔獣が多くて誰も住めなかったアステカニア王国は、
光属性の王族がいなければ生き残れなかっただけですけどね。」
「その一方で穏やかな気候のルーニア国では、
農耕の主導者としての王族というわけですか。
隣国でもかなり違いますものね。…いろいろと。」
そう、ルーニアではいろいろと違うようだ。
アステカニア王国とも前世の王国とも。特に礼儀作法が…。
「今朝もあの馬鹿が食事中に押しかけたと聞いたわ。
…ほんっとうに申し訳ないと思ってるの。
これ、差し上げるから好きに使って?」
渡されたのはマリージュ様が愛用している扇だった。
見た目は普通の扇のようだが、思ったよりも軽くできている。
「軽く、丈夫に作ってあるの。殴ってもすぐ壊れないように。
我慢できなくなったら、それで頭をスパーンとやってくれていいから。」
「スパーンと…ですね。わかりました。」
毎日のようにベージェ王子があらわれて、わけのわからないことを言われ、さすがにイライラしている。
おそらくユリアスが騎士団に訓練しに行ったのは、そのイライラをぶつける先が欲しかったのだと思う。
…うらやましい。私も何かぶつける先が欲しい…。
この扇、本当にスパーンしちゃっていいかしら。
「そう言えばユリアスはここの騎士団でも喜ばれていたわ。
とってもいい訓練になっているそうよ。
たまには見学しに行ってみない?
王宮の部屋にばかりいるのもあきるでしょう。」
たしかに王宮内は部屋か中庭くらいしか行っていない。
下手な所に行ってベージェ王子にからまれたくなかったからだ。
でも今ならマリージュ様がいてくださるし、ユリアスの訓練も見てみたかった。
「そうですね。騎士団に行ってみたいです。
見学させてください。」
「ふふふ。驚くわよ~。」
驚くってなんだろう?首をかしげてしまった私に、
マリージュ様は見たらわかるわよと言うばかりだった。
今日は魔術学校は休みなため特に予定は入っていなかった。
「それにしても魔術学校での活躍は聞いたわ。
学校長が泣いて感激していたらしいわね。」
「…あれは、どうしてもとお願いされて仕方なく…。」
マリージュ様は暇なのか、毎日のように私とお茶をしに部屋に来ていた。
その間は安全だからと言ってユリアスは騎士団の訓練に行っている。
護衛騎士として本来は毎日のように稽古する時間が必要なのだとか。
マリージュ様がいる間は、ベージェ王子が無理やり押しかけてくることも無く、マリージュ様の護衛騎士が何人もいるために他の危険も少ない。
ユリアスが私から離れられるタイミングはこの時間くらいしかなかった。
「光属性で評価されるのは当たり前だと思ってたわ。
だってこの国には光属性はほとんどいないのですもの。
でも、水属性での評価も高いなんて、
さすが叔父様の学校で講師になるだけのことはあるわね。」
「ほめていただけるのはうれしいのですが…。
この国には光属性がいないのですか?
めずらしがられている気はしていましたが、いないとは思ってませんでした。」
「ほら、光属性は王家の血と言ったでしょう。
アステカニア王国の王家の血なのよ。
今までアステカニアからルーニア国に嫁いだ王族はいない。
公爵家からも、私が初めてになるのではないかしら。
だからルーニアには光属性がいないのよ。」
「あぁ、なるほど。ルーニア国の王族は光属性とは関係ないのですね。」
「ルーニア国の王族は土属性が多いわ。
だから私が王妃になることに反対されないのだと思うけど。」
そう言ってマリージュ様が束ねていた髪を一房掴んでこちらに見せる。
綺麗な土の色の髪に緑がまざる。
土属性も葉属性も農耕がさかんなルーニア国では重宝されるだろう。
「ルーニアでは土、葉、水が大事にされる感じでしょうか。」
「ええ、そうね。
それでもやっぱり光属性をありがたがってしまうのは聖女のイメージが強いせいね。
アステカニア王国の初代は、
光属性の国王と聖女が結ばれたのが始まりだと言われているわ。
魔獣が多くて誰も住めなかったアステカニア王国は、
光属性の王族がいなければ生き残れなかっただけですけどね。」
「その一方で穏やかな気候のルーニア国では、
農耕の主導者としての王族というわけですか。
隣国でもかなり違いますものね。…いろいろと。」
そう、ルーニアではいろいろと違うようだ。
アステカニア王国とも前世の王国とも。特に礼儀作法が…。
「今朝もあの馬鹿が食事中に押しかけたと聞いたわ。
…ほんっとうに申し訳ないと思ってるの。
これ、差し上げるから好きに使って?」
渡されたのはマリージュ様が愛用している扇だった。
見た目は普通の扇のようだが、思ったよりも軽くできている。
「軽く、丈夫に作ってあるの。殴ってもすぐ壊れないように。
我慢できなくなったら、それで頭をスパーンとやってくれていいから。」
「スパーンと…ですね。わかりました。」
毎日のようにベージェ王子があらわれて、わけのわからないことを言われ、さすがにイライラしている。
おそらくユリアスが騎士団に訓練しに行ったのは、そのイライラをぶつける先が欲しかったのだと思う。
…うらやましい。私も何かぶつける先が欲しい…。
この扇、本当にスパーンしちゃっていいかしら。
「そう言えばユリアスはここの騎士団でも喜ばれていたわ。
とってもいい訓練になっているそうよ。
たまには見学しに行ってみない?
王宮の部屋にばかりいるのもあきるでしょう。」
たしかに王宮内は部屋か中庭くらいしか行っていない。
下手な所に行ってベージェ王子にからまれたくなかったからだ。
でも今ならマリージュ様がいてくださるし、ユリアスの訓練も見てみたかった。
「そうですね。騎士団に行ってみたいです。
見学させてください。」
「ふふふ。驚くわよ~。」
驚くってなんだろう?首をかしげてしまった私に、
マリージュ様は見たらわかるわよと言うばかりだった。
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