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23.旅路

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「目立つ…ね。」

「ああ、間違いなく目立ってるな。」

金色の髪で青い目、それでいて旅装束の私と、金色の髪に緑目の騎士が同じ馬に乗って守っているように見えるユリアス。
街の人は日の出とともに朝市場の準備をしているようで、意外と人が多かった。
準備している横を通り抜けると、私たちを見る人たちは目を見張って驚いている。
その後はまるで宗教画でも見たような顔になってお祈りを始めているのを見て、思わず目をそらした。


「聖女と騎士に見えてるのよね?」

「ロージーはどこから見ても聖女にしか見えないだろう。
 俺も帯剣してるから騎士にしか見えないだろうしな…。」

ユリアスの剣は学校長から授かったもので、王弟の紋章が入っている。
身分を示すためのものでもあるので、とても目立つ。
騎乗しているせいで人の目の高さに剣があるために目に入りやすいだろう。


「これは街壁の外に出るまではこんな感じかしら。
 仕方ないけれど、視線がいたい…。」

「もしかしたら俺たちのことが王宮の方に知らせが行ってるかもしれないから、
 少し足を速めて行こう。
 こんなとこで止められたら困る。」

「そうね。」

人に見せるようにゆっくりと進めていた馬の足を速め、街壁の外に出る。
出る際には検査がないので、そのまま馬に乗ったままで進む。
検査をしている衛兵がこちらをちらっと見た気がしたが、ユリアスは一気に馬を駆けらせて森の奥へと入って行った。


「少しの間、飛ばして進むから。
 しっかり掴まっていてくれ。」

「ええ。」

なんだかユリアスに掴まっていることが多い気がする。倒れたり、担がれたり…。
護衛騎士だからそんな浮ついたことは無いとわかるんだけど、それでも気にはなる。
こんなに男性に近付いたのは、前世合わせてもユリアスしかいない。
顔が赤くなりそうなのを必死に平気なふりをしてやり過ごす。
二人旅なのに、変に気まずくならないように、こういう時こそ王太子妃教育なのにと思った。


それから何度か休憩をはさみ、夕方に近くなる前に道から少し入った森で野宿の用意をし始めた。
街道沿いにはいくつか宿屋があるらしいが、王宮から誰かが探しに来ていると困ると、野宿することにしていた。枯れ木や枯れ草を集めて戻ると、ユリアスが簡易の寝床を作ってくれているところだった。

「…手際が良いのね。」

「ああ。騎士団で遠征に何度も行ってるからな。
 簡易寝床でも、寝る場所があるだけましなほうだよ。
 その辺に寝転がって休憩だけ取っていることだってある。」

「騎士団ってすごいのね。」

本当にすごいと思って褒めたのに、ユリアスの顔はちっともうれしそうじゃなかった。
そういえば騎士になりたくないって言っていた。何かあるのだろうか。
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