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22.学校長の作戦
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「いや~大変なことをしてくれたようだな。」
のんびりした口調とは違って困った顔をしている学校長に、ただただ謝る。
「すみません。油断してました。
中庭だし、人気が無かったから大丈夫だと思って…。
泥だらけのドレスを綺麗にしたくて浄化をかけてました…。」
「あぁ、うん。だいたいは予想ついてる。
あれね、光が強過ぎて広間のほうまで見えてたから。
と言っても、王族以外は見えなかったと思うけどね。
王家の血が光属性だって言っただろう?
たとえ光属性を持っていなかったとしても、近くで使われるとわかるんだよ。」
あれを広間の中から見ていた?王族たちが?
だから第一王子が中庭まで見に来ちゃったってこと?
「学校長、とりあえずまずいと思って逃げてきましたけど…、
あの後はどうなったんですか?」
「ああ。王族以外のものは気が付いていないから、そのまま夜会は続けられたよ。
終わった後で陛下に呼び出されて、話を聞かれたけどね。
知らないなぁって誤魔化したら王宮の部屋に閉じ込められている。」
「え?閉じ込められている?学校長がですか?」
「うん。もちろん、こっそり抜け出してきてるけどね。
マイケルがロージーのことを聖女だって言い出してね、
結婚したいって言ってるんだ。
マイケルには婚約者がいなかったこともあるが、
聖女なら王族と結婚するべきだってね。」
「…そんな。」
「だが、ロージーにはそんな気は無いだろう?」
「ありません。」
「学校長、何か手はありませんか?」
「ある。まず、二人には早朝から旅に出てもらおう。
隣国の王宮に手紙を届けに行ってくれないか?」
学校長の手紙を隣国の王宮に届ける?
それが王子との結婚をしなくて済む手なの?
「それは、隣国の王族に助けを求めるってことですか?
それじゃあ、結婚相手が隣国の王族に変わるだけだと思うんですけど。
ロージーの嫌は、そういうことじゃないでしょう!」
「あぁ、もちろん知ってる。心配しなくていい。
君たちには駆け落ちをしてもらう。」
「「え?」」
学校長がそう言って出して見せたのは、旅装束に魔術師のローブ、野宿用の一式だった。
私とユリアスの分、二人分がそろっているように見える。
これは学校長が用意してくれたのだろうか。
「聖女と騎士という本では、
聖女は王子との結婚を嫌がって騎士と駆け落ちをするんだ。
今、巷ではこの本がかなり流行っている。
そんな中、君たちが馬で隣国に向かえば駆け落ちしたと噂が流れるだろう。
王子との結婚を嫌がった聖女を無理やり帰国させて婚約者にしたら…
ただでさえ第二王子のせいで評判が落ちている王家が、
もっとひどいことになるだろうね。」
「本当に、それであきらめてくれると思います?」
「もちろん。俺がそう説得してあきらめさせる予定だから。
だから隣国にお使いに行って、一月位あちらの魔術学校の研修を受けておいで。
実際には魔術師学校の研修で行ってるけれど、駆け落ちだと思わせればいいんだ。
はい、これが手紙ね。
明日の朝には王宮から使いが来るかもしれないから、日の出とともに向かって。
街中を抜けるまではローブを被らないで素顔を見せて行くように。いいね?」
「わかりました。」
「あぁ、ユリアス。ロージーは俺の養女という肩書で隣国に行かせる。
たとえ隣国の王族でも嫁には出さないと言っていいから。
護衛騎士として王弟が任命する。必ずロージーを守るように。」
「はっ!」
学校長はそれを言うと、また王宮へと戻って行った。
部屋の中に閉じ込められているはずの学校長が、どうやって抜け出してきたのか気になるけれど、まずは王宮からの使者が来る前に出発しなければいけない。
あまり荷物は持てないので最低限の旅の準備を整えて日の出を待った。
もう少しで朝陽が見え始めるという頃、馬に荷物を括り付け、ユリアスに抱えられるように乗せられて出発した。
のんびりした口調とは違って困った顔をしている学校長に、ただただ謝る。
「すみません。油断してました。
中庭だし、人気が無かったから大丈夫だと思って…。
泥だらけのドレスを綺麗にしたくて浄化をかけてました…。」
「あぁ、うん。だいたいは予想ついてる。
あれね、光が強過ぎて広間のほうまで見えてたから。
と言っても、王族以外は見えなかったと思うけどね。
王家の血が光属性だって言っただろう?
たとえ光属性を持っていなかったとしても、近くで使われるとわかるんだよ。」
あれを広間の中から見ていた?王族たちが?
だから第一王子が中庭まで見に来ちゃったってこと?
「学校長、とりあえずまずいと思って逃げてきましたけど…、
あの後はどうなったんですか?」
「ああ。王族以外のものは気が付いていないから、そのまま夜会は続けられたよ。
終わった後で陛下に呼び出されて、話を聞かれたけどね。
知らないなぁって誤魔化したら王宮の部屋に閉じ込められている。」
「え?閉じ込められている?学校長がですか?」
「うん。もちろん、こっそり抜け出してきてるけどね。
マイケルがロージーのことを聖女だって言い出してね、
結婚したいって言ってるんだ。
マイケルには婚約者がいなかったこともあるが、
聖女なら王族と結婚するべきだってね。」
「…そんな。」
「だが、ロージーにはそんな気は無いだろう?」
「ありません。」
「学校長、何か手はありませんか?」
「ある。まず、二人には早朝から旅に出てもらおう。
隣国の王宮に手紙を届けに行ってくれないか?」
学校長の手紙を隣国の王宮に届ける?
それが王子との結婚をしなくて済む手なの?
「それは、隣国の王族に助けを求めるってことですか?
それじゃあ、結婚相手が隣国の王族に変わるだけだと思うんですけど。
ロージーの嫌は、そういうことじゃないでしょう!」
「あぁ、もちろん知ってる。心配しなくていい。
君たちには駆け落ちをしてもらう。」
「「え?」」
学校長がそう言って出して見せたのは、旅装束に魔術師のローブ、野宿用の一式だった。
私とユリアスの分、二人分がそろっているように見える。
これは学校長が用意してくれたのだろうか。
「聖女と騎士という本では、
聖女は王子との結婚を嫌がって騎士と駆け落ちをするんだ。
今、巷ではこの本がかなり流行っている。
そんな中、君たちが馬で隣国に向かえば駆け落ちしたと噂が流れるだろう。
王子との結婚を嫌がった聖女を無理やり帰国させて婚約者にしたら…
ただでさえ第二王子のせいで評判が落ちている王家が、
もっとひどいことになるだろうね。」
「本当に、それであきらめてくれると思います?」
「もちろん。俺がそう説得してあきらめさせる予定だから。
だから隣国にお使いに行って、一月位あちらの魔術学校の研修を受けておいで。
実際には魔術師学校の研修で行ってるけれど、駆け落ちだと思わせればいいんだ。
はい、これが手紙ね。
明日の朝には王宮から使いが来るかもしれないから、日の出とともに向かって。
街中を抜けるまではローブを被らないで素顔を見せて行くように。いいね?」
「わかりました。」
「あぁ、ユリアス。ロージーは俺の養女という肩書で隣国に行かせる。
たとえ隣国の王族でも嫁には出さないと言っていいから。
護衛騎士として王弟が任命する。必ずロージーを守るように。」
「はっ!」
学校長はそれを言うと、また王宮へと戻って行った。
部屋の中に閉じ込められているはずの学校長が、どうやって抜け出してきたのか気になるけれど、まずは王宮からの使者が来る前に出発しなければいけない。
あまり荷物は持てないので最低限の旅の準備を整えて日の出を待った。
もう少しで朝陽が見え始めるという頃、馬に荷物を括り付け、ユリアスに抱えられるように乗せられて出発した。
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