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21.嫌な出会い

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「…仕方ない…浄化するわ。」

そう言ってロージーは光属性と水属性の両方を使って浄化していく。
ドレスや手についた泥を洗浄して、少しのほこりすら見えないほどに綺麗にしていく。
頭の先からつま先までが、細かな水滴に反射して光り輝くのをユリアスはただ見惚れていた。

こんなに近くで浄化しているのを見るのは初めてだった。
制服の時とはまた違って、金色の髪で眼鏡もかけず、ドレス姿のロージー。
ゆっくりとキラキラ光り輝いて綺麗になっていく様は神々しいくらいで、天使ではなく女神のように見えると思っていた。


「…聖女か?」

浄化が終わりかけた頃に後ろから知らない声がして、ロージーとユリアスが振り返ると、礼服にマント姿の男性が立っていた。
銀色の髪を一つでまとめた緑目の細身の男性が、驚いた顔でこちらを見ている。
しまった見られたんだと思って青ざめていていると、ユリアスが絞り出すような声で言った。


「…マイケル王子…。」

マイケル王子!?第一王子の?どうしてこんなところに!
しかも王族なら私にかかっている認識阻害の術が効いていない。
完全に今の浄化しているところを見られてしまった。どうしよう。


あまりのことに動けずにいると、ユリアスが状況を理解したようで動き出した。

「ロージー、少しの間我慢していて。」

そう言うと、私を縦に担ぎ上げて走り出した。
お姫様抱っこなどではなく、荷物を運ぶような担ぎ上げ方で、お腹が圧迫されてかなり苦しかったがそれどころではなかった。
王宮から逃げているのに気が付いてからは一言も出さずに、ただユリアスにしがみついていた。

「おい!待て!」

後ろから王子の声が聞こえてきたが、ユリアスの足は止まらず、そのまま走り続けた。
中庭の迷路のような通路を通って、外壁の外に出る頃には、周りに人はいなくなっていた。


「どこに行くの!」

「抜け道があるんだ。王族が何かあった時に逃げる用の。
 護衛たちは知っていても、王子が実際に使ったことは無いはずだから。
 あのままあの場で話し続けるのはまずい。一度逃げて、学校長に相談するぞ。」

誰にも見つからないように逃げて、なんとか学校に戻る頃には数時間が経っていた。
研究室に入ると、中には困った顔をした学校長が待ち構えていた。

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