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29.陛下への報告
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「妹?宰相殿には長男のフレデリック殿とリアージュ嬢しかいなかったのでは?」
授業が終わり王宮に報告にあがると、
執務室には前回と同じように陛下と大公様が待っていた。
ジルから今日の昼に会ったことを報告すると、陛下が妹のことを知らなかったようだ。
大公様は知っているようで、私が説明するのを待ってくれていた。
「義妹は7歳の時に養女になりました。
先の国王の異母弟の娘です。」
「先の国王の異母弟?石榴姫が嫁いだ王弟の下に異母弟がいたということか?」
「はい。王妃が亡くなった後、女官との間に産まれたそうです。
女官は子爵家の者だったため異母弟は王族にはなれず、
子爵家で育てられることになりました。
異母弟が茶色の髪で緑目だったことも王族になれなかった一因だそうです。
その異母弟と平民の母親の間に産まれたのが義妹のカミーラです。
結婚していなかったことから産まれた後も放置されていたそうなのですが、
一人で育てていた母親が亡くなり、
孤児院に預けられた際に義妹の目が王家の色だったことで発覚しました。
でも、その時にはもうすでに子爵家の異母弟は亡くなっていて…。
王族の色を持っていても、異母弟自体が王族とは認められていなかったので、
義妹を王族にすることもできず。
かと言って王族の色を持つ者を市井に置いておくことも難しかったので、
父が引き取ったそうです。」
「なるほど…目が王家の色ね。だから魅了眼でもあるのか。」
「魅了眼についてはレミアスでは誰も気が付いておりませんでした。
今考えれば周りにいる男性はカミーラの言いなりになっているようでした。」
「ふむ。」
陛下が腕組みして何か悩み始めたようで、会話が止まった。
その隙に大公様が私に話しかけてきた。
「ところで、リアージュ?聞きたいことがあるのだが?」
「はい、お義父様?なんでしょう。」
婚約してすぐ大公夫妻にはお義父様、お義母様と呼んでほしいとお願いされ、
本邸で暮らしていた時には毎朝と毎夕の食事を必ず一緒にしていた。
最初に会ったときには挨拶もできなかったが、今では普通に話せるようになっている。
「リアージュはレミアス国での扱いは王族かい?」
「…はい。レミアスでは第一王女の扱いになっていました。
先代の国王から陛下、王子たち、王子たちの息子まで…王子だけなので。
王妃様や王子妃様たちには可愛がっていただいていました。」
「長男のフレデリック殿も王族だよね?」
「はい。兄は第三王子の扱いです。」
「その義妹は?王族扱いにはなっていない?」
「…なっていません。
何度かカミーラに王宮に連れて行くようにお願いされましたが、
私の判断で連れて行けるようなことではないので断っていました。
特に引き取った頃は貴族としての礼儀作法すら知らない状態でしたので…。
私が王宮で王族教育を受けているのを知ったカミーラは、
同じ教育を受けたがっていました。」
「そうか。いやね、報告が来たんだけど、
どうやらシャハルと結婚する気のようなんだ。」
「え?」
「しかも、シャハルが王太子だと誤解しているようでね?」
「…シャハル王子は第二王子でしたよね?
では、第一王子が王太子になるのですか?」
たしか病気だという第一王子がいらっしゃるはず。
シャハル王子が王太子にならないなら、第一王子か、それとも第一王女が女王に?
首をかしげていたら、お義父様も一緒に首をかしげている。
「ジル?…お前、ちょっと今から中庭に行ってリアージュと話してこい。
ついでにサハルにも会わせてこい。今日は話せるようだから。」
「…わかりました。リア、おいで。」
会話がよくわからなかったけど、ジルから何か聞かなきゃいけないのね。
そう思ってジルの手を取る。
少しだけ緊張しているジルに疑問は持つけど、黙ってついていくことにした。
授業が終わり王宮に報告にあがると、
執務室には前回と同じように陛下と大公様が待っていた。
ジルから今日の昼に会ったことを報告すると、陛下が妹のことを知らなかったようだ。
大公様は知っているようで、私が説明するのを待ってくれていた。
「義妹は7歳の時に養女になりました。
先の国王の異母弟の娘です。」
「先の国王の異母弟?石榴姫が嫁いだ王弟の下に異母弟がいたということか?」
「はい。王妃が亡くなった後、女官との間に産まれたそうです。
女官は子爵家の者だったため異母弟は王族にはなれず、
子爵家で育てられることになりました。
異母弟が茶色の髪で緑目だったことも王族になれなかった一因だそうです。
その異母弟と平民の母親の間に産まれたのが義妹のカミーラです。
結婚していなかったことから産まれた後も放置されていたそうなのですが、
一人で育てていた母親が亡くなり、
孤児院に預けられた際に義妹の目が王家の色だったことで発覚しました。
でも、その時にはもうすでに子爵家の異母弟は亡くなっていて…。
王族の色を持っていても、異母弟自体が王族とは認められていなかったので、
義妹を王族にすることもできず。
かと言って王族の色を持つ者を市井に置いておくことも難しかったので、
父が引き取ったそうです。」
「なるほど…目が王家の色ね。だから魅了眼でもあるのか。」
「魅了眼についてはレミアスでは誰も気が付いておりませんでした。
今考えれば周りにいる男性はカミーラの言いなりになっているようでした。」
「ふむ。」
陛下が腕組みして何か悩み始めたようで、会話が止まった。
その隙に大公様が私に話しかけてきた。
「ところで、リアージュ?聞きたいことがあるのだが?」
「はい、お義父様?なんでしょう。」
婚約してすぐ大公夫妻にはお義父様、お義母様と呼んでほしいとお願いされ、
本邸で暮らしていた時には毎朝と毎夕の食事を必ず一緒にしていた。
最初に会ったときには挨拶もできなかったが、今では普通に話せるようになっている。
「リアージュはレミアス国での扱いは王族かい?」
「…はい。レミアスでは第一王女の扱いになっていました。
先代の国王から陛下、王子たち、王子たちの息子まで…王子だけなので。
王妃様や王子妃様たちには可愛がっていただいていました。」
「長男のフレデリック殿も王族だよね?」
「はい。兄は第三王子の扱いです。」
「その義妹は?王族扱いにはなっていない?」
「…なっていません。
何度かカミーラに王宮に連れて行くようにお願いされましたが、
私の判断で連れて行けるようなことではないので断っていました。
特に引き取った頃は貴族としての礼儀作法すら知らない状態でしたので…。
私が王宮で王族教育を受けているのを知ったカミーラは、
同じ教育を受けたがっていました。」
「そうか。いやね、報告が来たんだけど、
どうやらシャハルと結婚する気のようなんだ。」
「え?」
「しかも、シャハルが王太子だと誤解しているようでね?」
「…シャハル王子は第二王子でしたよね?
では、第一王子が王太子になるのですか?」
たしか病気だという第一王子がいらっしゃるはず。
シャハル王子が王太子にならないなら、第一王子か、それとも第一王女が女王に?
首をかしげていたら、お義父様も一緒に首をかしげている。
「ジル?…お前、ちょっと今から中庭に行ってリアージュと話してこい。
ついでにサハルにも会わせてこい。今日は話せるようだから。」
「…わかりました。リア、おいで。」
会話がよくわからなかったけど、ジルから何か聞かなきゃいけないのね。
そう思ってジルの手を取る。
少しだけ緊張しているジルに疑問は持つけど、黙ってついていくことにした。
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