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18.魔力交換するということ

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「リア、魔力を扱う際の注意点は覚えているよね?
 その中に婚約者以外の異性の魔力の受け渡し禁止があっただろう。
 あれは魔力の受け渡しを異性間で行うことができるのは一度だけだからだ。
 婚姻するときにお互いの魔力の半分ずつを交換するんだ。」

「え?」

「今、リアの中に俺の魔力の半分以上が入っている。
 つまり、俺はこの先リア以外の異性に魔力を流すことはできない。」

「…は?」

「勝手に魔力を流してしまってごめん。
 でも、俺以外リアを助けられるほどの魔力量の持ち主もいないと思う。」

「…私を助けるためにしたのよね?」

「それはそうだけど、俺のせいでリアを危険にしてしまってごめん。
 どうしてもリアにいなくなってほしくなかった。
 だから、俺のわがままでごめん…。」

「じゃあ、今は婚約者じゃなくて結婚してることになるの?」

「いや、まだ。
 俺からリアに流しただけだから、俺はリア以外とは結婚できないけど、
 リアは俺以外と結婚することが可能だ。」

「…ジルの魔力はその状態で不安定にならないの?」

「…なるよ。リアから魔力をもらって、正常な状態に戻るんだ。
 リアからもらわなかったら、以前の俺の半分とは言わないけど、
 それなりに少なくなると思う。
 でも、俺の魔力量は半端なく多いから、それでも生きてくうえで困らない。
 リアは多すぎて発散させるのが少し苦労するかもしれないけど、
 俺以外の誰かに魔力を渡しても問題はないよ。
 あぁ、今はダメだよ。
 リアの魔力がきちんと回復して、リアの魔力に戻ってからじゃないと無理だから。
 今のリアに入ってる魔力は全部俺の魔力だからね。属性も違うんだ。」

「…そうなんだ。いつくらいに回復するの?」

「二週間はかかる。
 だから、その間は周りに気が付かれないように、
 リアの魔力が元に戻るまでは別邸に籠れっていう指示なんだと思う。
 父上も母上も、中途半端な状態のリアを人に見せるのは嫌なんだろう。
 今は何も考えずに休んで回復することを考えて。」

「うん。」

話が終わって、少し寝乱れた髪を直すようになでていると、
落ち着いた寝息が聞こえてきた。
俺も少し寝ておくかな。ここまでずっと寝ないでいたせいか、限界が近かった。
それでも魔力を流すのを止めないように意識して目を閉じた。



今何時だろうか、魔力回復薬の3本目も飲み終えてるから、
そろそろ八割回復しててもいいころだ。
別邸に移動する前にリアは湯あみして着替えないとな…。

その前に気になっていたことを終わらせてしまうか。

「リア、腕を出して。」

「腕?はい。」

寝ころんだまま両腕を出して俺に見せてくれる。
その腕を確認して、左腕を手に取った。

「このあざは、シャハル王子に掴まれた?」

「そう。」

「じゃあ、治してしまおう。」

リアの腕に俺の手をそえて、治癒魔術を展開させる。
あまり得意ではないが、あざを消すくらいなら出来なくもない。
数分間かけて、ゆっくりとあざは消えて行って。

「リア、他にもあざがあるよね?」

「…?」

「魔力を流していると、怪我している場所も少しわかるんだ。
 右胸、どうしたのか教えて?」
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