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第10章
185話
しおりを挟む世にも珍しいピンクダイアモンドの瞳は、ずっと覗き込んでいると、その中に自分が吸い込まれてしまいそうになる。
……。
けれど、それだけだった。
「んー?」
「……?」
聖女はじーっと私を見据えたまま、不思議そうに小首を傾げてみせた。そんな聖女の様子に、私も内心首を傾げる。
今のところ、私の身体に変わったところはない、と思うのだが…。
首を傾げたままの聖女は、何やら考え込んでいるふうであったが、やがて一人で納得したかのようにポツリと呟いた。
「やっぱり、貴女は特別なんですね。」
「えっ」
それは一体どういう意味なのだろうか。
満足げに微笑んでくる聖女の意図が分からず、尋ねようとした。しかし、それよりも早く、聖女の方が先に声を上げた。背後に控えた大勢の人々に向かって。
「コニーせんせー!!ちょっとこっちに来てくださーい!」
聖女にそう呼ばれると、白ローブの団体の中から1人の人物が、祭壇の横まで歩み寄ってきた。
その深く被ったローブの中から、こちらを静かに見下ろしてくる顔には見覚えがある。確か、魔力保持者の校舎で、ユリウスの留学の手続きを手伝っていた……そう、コニー先生だ。 何故、学園の教師である彼がこんな所に……と思ったが、彼の濁った瞳を見て、既に正気ではないことに気付いた。
「急にお呼びしてすみません。ちょっとエリザベータ様に精神干渉魔法をかけて欲しくて。」
「―っ!?」
「仰せのままに。愛しの聖女様。」
「あ、心配しなくても大丈夫ですよっ!コニー先生は精神系の魔法が得意なんですっ!だから、安心して下さいね。」
何一つ安心できない状況に、顔からとことん血の気が引く。
そんな魔法にかかってしまったら私も皆のようになってしまう!
私は咄嗟に「待って頂戴!」と叫ぼうとした。しかしーーー
「これ以上、時間を稼ごうとしても無駄ですよ。」
静かに私を制する言葉に、ギクリと身体が強ばるのを感じた。目を見開き、聖女を見れば、にこりと微笑みかけられる。それを見て、私は察した。聖女は最初から、見抜いていたのだ。見抜いた上で、必死に足掻く私を、まるで目を細めて獲物を弄ぶ猫のように眺めていた…
急に、目の前が、真っ暗に、なった。
「さ、コニー先生。ちゃちゃっとお願いします!あ、でも、やり過ぎには気を付けて下さいね。脳への負担が魂にどれだけ影響するのか分からないので。」
「勿論、心得ております。愛しの聖女様。」
二人のやりとりが、やけに遠くに聞こえる。止めなくては、抵抗しなくては。なけなしの本能だか理性だかが、そう訴える。だが私の身体はピクリとも動かない。もっと深いところで、今更抵抗しても変わらないと気付き始めているからだ。
誰も助けに来ない。
帰る場所もない。
目的さえも失った。
こんな世界に留まり続ける必要なんて、あるのだろうか。
負の螺旋に陥っていると。ふいに頭の中に白いモヤがかかった。
「エリザベータ様。」
白く塗り潰された世界で、聖母のような優しい声が、私の名を呼ぶ。
まるで全てを許し、そして導いてくれるような声色に、私は身を投げ出してしまいたくなるほどの安堵感を覚えた。
「もう苦しむ必要なんてありません。幸福に満ち溢れた新しい世界が、私たちを待っているんですから。」
砂糖を煮詰めたような甘い声と、何処からか香る林檎を腐らせたような発酵臭が、思考をドロドロに溶かしていく。
「こんな世界のことなんて、さっさと忘れてーーー」
手にしたナイフをぐっと振り上げた聖女は、シャンデリアの光を浴びて綺麗に微笑んだ。
「私と一緒に、幸せになりましょう。」
聖女がそう言い放った瞬間。
不気味にぎらつくナイフは、ぐさりと、鈍い音を立てながら、柔らかな肉の中へと食い込んだ。
ポタリ…と。
真っ赤な鮮血が祭壇の上に滴り落ちる。
「…どう、して…」
ナイフを振り上げたままの聖女は、信じられないと言いたげな面持ちで、私を凝視した。
聖女が驚くのも無理はない。
私がナイフを突き刺した先は、聖女の心臓でなく、己の太腿だった。
目が眩むほどの激痛に、額からは脂汗が吹き出す。自我を保つ為の咄嗟の行動だったとはいえ、やはり無謀だったかもしれない。だって私は、このスカートにジワジワと広がり続けている赤い染みを、止める方法を知らないのだから。
「…うっ、」
堪らず上げた私の呻き声に、ハッと我に戻った聖女は、その勢いを殺さぬまま、横に立つコニー先生を勢いよく見上げた。
「これは一体どういうことですかっ!コニー先生!」
「わ、私にも何が何だか……」
聖女の剣幕に気圧されて、コニー先生はすっかりたじたじとなっている。だが腐っても学園の教師。すぐに彼なりの見解を述べはじめた。
「おそらく…彼女は魔法を受けにくい体質なのかと…」
「受け、にくい…?」
「えぇ。ごく稀に、そういった体質の方が存在するのです。」
「つまり、これはエリザベータ様の意思ってことですか。貴方が裏切った、とかではなく。」
「お、おっしゃる通りでございます。愛しの聖女様。」
肯定された聖女は、顔を歪ませ、苦々しく唇を噛む。だが聖女は、すぐさま私に向き直り、「どうしてですかエリザベータ様っ!!」と悲痛な声を上げた。
「どうしてそこまでして幸せを拒もうとするんです!?貴女にとって一番の幸せは、新しい世界を受け入れることなのにっ!!」
ナイフを振り上げたままの聖女の身体がワナワナと震える。
思い通りにいかないことへの怒り。そして、私を理解できないことへの戸惑いだろう。
そんな彼女に返す言葉は、もう決まっていた。
「…私の幸せを勝手に決めないで頂戴。」
「―っ、」
額に脂汗を滲ませながら、真っ直ぐに聖女を見据えれば、その瞳は怯えたように大きく揺れた。
「確かに…苦しむことも悲しむこともない、幸せだけが約束された世界を夢見たことは、今まで何度もあったわ。」
「で、でしたら…!」
「けれど。そんな世界に居続けたら、きっと私は…目の前にある幸せすら、気付けなくなってしまう。」
誰かが言っていた。人は、いつかは慣れる生き物である、と。
それは人が生き抜く為に必要なことではあるが、同時にとても残酷なことでもある。
この世界に再び生を受けてから、毎日たくさんの幸せを貰っていたはずなのに、いつの間にか私の中では、その幸せは”当たり前にあるのも”に変わっていた。そして、もう苦しみたくない、傷つきたくないと言って、自分の殻に閉じこもるばかりで、手の隙間から零れていく幸せに気付けなかった。
お父様や邸の皆、殿下やビアンカにエーミール…彼らと過ごしてきた日々は、私にとって当たり前にあるものではなかったのに。
「悲しい日や苦しい日があるからこそ、見つけた幸せを守りたいと思うの。」
今にも飛びそうになる意識をぐっと堪え、私は精一杯に不敵に笑ってみせた。
「私の幸せは、この世界にあるわ。」
ーーーカキンッ!
と、聖女が手にしていたナイフが、床に落ちる。
そして、その音と同時に、私の意識が限界を迎えた。何かに引きずられるかのように、意識が急激に遠のきはじめる。
太腿を刺したぐらいでは死なないとは思うが、聖女がここに存在する限り、私の運命はあの世だろう。
私なりに精一杯抗ってみたけれど、やっぱり無理だったみたいーーーー
そう全てを諦めかけたその時ーーー突然、心臓がドクンと激しく脈を打った。
「うっ!?」
遠のいていたはずの意識が、一気に帰ってくる。
身体が、血管が、血が、熱い。
まるで沸騰した血液がグツグツと音を立てながら、全身を駆けずり回っているかのよう。思わず、心臓を抑え前屈みになる。呼吸も乱れ、息が思うようにできない。苦しい、苦しい…!!けれど、この終わりのみえない苦しみには、覚えがあった。
確かこれはあの時のーーー
「エリザベータ様!?」
私の異変に気が付いた聖女はハッと我に返り、苦しむ私の肩を掴んだ。
「大丈夫ですか!?いったいどう…」
不自然に言葉を切った聖女は、ガッ!と私の両頬に手を当て、俯く私の顔を無理やり上にあげた。
「どうして!!」
至近距離で聖女が叫ぶ。
「どうして貴女の目がサファイア瞳なんかに…」
震えた声でそう呟く聖女の見開かれた瞳は、絶望の色に染まっていた。
サファイアの瞳…。それは皇族だけが持つ…
脳裏に何故か、楽しそうにカモミールティーを淹れるユリウスの姿が過った、その瞬間、ナイフが突き刺さった太腿から、目が眩むほどの眩い青い光が放ち始めた。その光の中、ナイフはまるで意識を持ったかもように、私の太腿からずるりと抜け、カランっと音を立てながら床に落ちていった。その光景に驚いている間に、傷口は瞬く間に塞がれてゆく。
一体何が起きて…そう思う私の頭に、あの時の少女の言葉が浮かんだーーー
ーーー『血は魔力、魔力は血。たとえ魔力保持者でなくとも、その体内に魔力を取り入れれば一時的に魔法は使えるのよ。』
まさか…
私の中で点と点が繋がり始めたその時。
「よく頑張ったな。」
この世に存在しないはずの声が聖堂に響いた。
聖堂中の視線が、一点に集中する。
その鋭い視線を一身に受けるその男は、顔にこびりついた血を手で拭い、にやりと笑ってみせた。
「ピーチクパーチクうっせぇから、起きちまったじゃねーか。どうしてくれるんだ?聖女サマ。」
「・・・どうして貴方が生きているんですか。テオドール殿下。」
聖女が冷たく睨む先には、私が知っている、記憶通りの殿下が、不敵な笑みを浮かべながら気だるそうに立っていた。
「そもそも俺は死んでねーよ。」
「そんなはずはありません。確かに貴方の心臓は止まっていました。」
「そりゃあ、そうだろ。俺は頭がイカれたサイコ野郎が用意した怪しい薬を飲んで、一時的に仮死状態になってたんだからな。」
「仮死…?」
「あぁ、そうだ。その薬を飲むと一瞬で冷凍人間の出来上がりってわけ。俺は青の魔力のおかげで生きてっけど、普通の人間が飲めば即凍死だ。な、これを作った奴、相当頭イカれてんだろ。」
自分の頭を指差し、「因みに、この血はニワトリの血だ。」と言って、いつものようにケラケラと笑う殿下。いつも通りすぎて、困惑する。殿下が生きていて嬉しいはずなのに、理解が追い付かない。
「…その怪しい薬を飲んだ貴方の頭も、相当イカれていると思いますよ。」
「お褒めいただき光栄だな。聖女サマ。」
「…。」
殺気が込められた聖女の視線を受けても殿下がどこ吹く風だ。二人のやりとりを半ば混乱を通りこして呆然と眺めていると、ふいに殿下が「エーリザ。」と私の名を楽し気に呼んできた。
「俺が生きてて嬉しい?」
こちらをからかうような口調に、時差でカッと怒りの炎が上がる。思わず「何を馬鹿なことを言っているんですか!」と言おうとした。しかし、言葉が喉に詰まって出てこない。何度かパクパクと口を動かしていると、じわじわと喉と目と鼻に熱が帯び始めた。
俺が生きてて嬉しいですって?そんなの…
「嬉しいに決まっているじゃないですか…!」
ぶわりと目から涙が溢れ出す。頬を伝う温かな涙は嬉し涙だ。
私の言葉が意外だったのか、殿下は驚いたように目を見開いたが、すぐに嬉しそうに笑った。もう見れないと思っていた笑顔に、よりいっそう、涙が溢れた。
「…私も生きてて嬉しいですよ。丁度、殿下に聞きたいことがあったので。」
全てを凍てつくすような声を発しながら祭壇の上で立ち上がった聖女は、冷たい眼差しで殿下を見下ろした。
「その不愉快な面をぶら下げている貴方は、一体誰なのですか?」
聖女の問いに殿下は、にやりと笑ってこう答えた。
「俺は俺だ。それ以上でもそれ以下でもねぇ。あと、この面は不本意だ。」
「…。」
二人はしばらく睨み合っていたが、やがて聖女は「そうですか。」と言って、にこりと可愛らしく笑ってみせた。
「それで?死んだふりがお上手は殿下は、これから何をするつもりなのですか?みたところ…だいぶ魔力を消耗なさっているご様子ですが…。」
「おえっ、相変わらずぶっさいくな猫かぶりだな。」
「口の利き方には気をつけた方がいいですよ。ここに貴方を皇太子殿下として崇める者は誰もいません。私の一声で、貴方の命を奪えることをお忘れなく。」
「口の利き方に気を付けるのはテメェの方だろうが。と、言いたいところだが…今の状況じゃぁ、完全アウェーな俺の方が分が悪いな。」
頭をボリボリ掻きながら、殿下は白フードの団体に視線をやった。
殿下が生きていたことは嬉しいが、彼の言う通り、今の状況が最悪なのは変わらない。
聖女側には、皇宮を守っていた上位の魔力保持者や警備隊など大勢の実力者が揃っている。一方、殿下は強力な青の魔力を持つ魔力保持者ではあるが、聖女のが言っていたように、仮死状態から回復する過程で、相当魔力を消耗したのだろう。飄々としているが、この危機を切り抜く力は残っていないはず。まさに絶体絶命。
それなのに、なぜ殿下は余裕そうな笑みを浮かべているのだろうか。
死んだふりをしていたことと何か関係が…?
「そう言うわりには、随分と余裕そうですね。」
「そう見えるか?」
「えぇ、憎たらしいほどに。先に言っておきますが、逃げようとしても無駄ですよ。殿下は大切な神様へのお供物なんですから。ここに居る全員が貴方を逃がしません。因みに、この聖堂には皇宮と同じ結界を張ってもらっています。外部からの助けも期待しないで下さいね。」
笑顔で答える聖女に対し、殿下もまた笑顔で返した。
「俺一人に対して随分と厚いおもてなしだな。ーーーここまでしてもらっちゃぁ、俺もお前らの期待に応えねぇとなぁ!」
そう言って、殿下は聖女に向かって拳を突き出した。何の変哲もない拳に、青薔薇の紋章が浮かぶ。
あっと思った次の瞬間。その紋章から、青い炎が激しく噴き出した。
咄嗟に腕で顔を覆うが、それよりも早く聖女が私の前に立った。まるで私を炎から庇うかのように。その華奢な背中を見て、私はますます彼女のことが分からなくなった。
石像のように動かなかった白フードの集団から悲鳴が上がる中、噴き出した青い炎は渦を巻く登り龍の如く、豪華なシャンデリアと”世界誕生の日”のモザイク画が描かれたドーム状の天井を貫いた。
ガシャーン!!と硝子が割れる音が、聖堂に響き渡る。
突然の出来事に皆パニックを起こし、明かりが消えた聖堂のあちらこちらから悲鳴が上がった。統率が乱れ、誰もが迫りくる炎から逃れようと、押し合いへし合いになっている。
目の前にいる聖女が、混乱を鎮めようと「皆さん!落ち着いて下さい!!」と叫んだが、その声は轟々と唸り声を上げ続ける業火に搔き消されてしまう。
祭壇の下で展開される光景は、まさに阿鼻叫喚の地獄絵図。あまりの恐ろしさに、私は言葉を失った。
しかし。
その終わりは唐突にやってきた。
「お集りの皆さま、こんばんは。」
場違いなほど穏やかな声が、地獄に響く。
ここに居る全員の視線が向けられた先には、ドーム状の天井の下、渦を巻く炎の中から1人の少年が悠然と現れた。
誰もが迫りくる炎の存在を忘れ、突然の来訪者に息を吞む中、少年が空気を切るように腕を下におろすと、荒々しく燃え盛っていた青い炎は波が引くかのように消え去った。
すると、そんな彼の訪れを待っていたかのように。
いつの間にか雲に隠れていた月が、ゆっくりと顔を出し始めた。
穴の開いた天井から降り注ぐ月の光は、パラパラと舞い落ちる硝子の破片と少年を照らす。その光景はまるで、少年が光の粒を纏っているかのよう。
―――今も昔も、彼は月に愛されている。
「今宵の月は綺麗ですね。」
そう言って、淡い月明かりに照らされた少年ーーーユリウス=アシェンブレーデルは、煌めくサファイアの瞳を細めながら、蠱惑的に微笑んだ。
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