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第33話 デメキンにゃんこ囮だにゃ~作戦の戦果

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「こほん、では今後の予定を話し合いましょうか」

 我輩達は当初の予定通り今後の話し合いをすることにした。

「うむ」
「ああ、頼むぜ」
「は~い」

 今度はお調子者の妹羊も我輩に絡んでくることはなかった。

「まず、改めて現状をお話しします。現在我々の3隻の宇宙船はドッキングして、敵移動要塞デメキンの横を並走中です。距離を十分取ってステルスモードを起動しておりますので、攻撃されるリスクは限りなく低いです。そして、先の戦いでの戦果は、黄鬼が40機と1000m級の小鬼の宇宙船が2隻になります。こちらは設置したブースターにより惑星アルファに向けて加速中、私達のサポートメンバーと共に惑星アルファに帰還中です。また、妖精軍、ハンターギルド両方に向けて、黄鬼が亜空間脱出機能を使用していたことなど、本作戦でもたらされた情報を送信済みです。また、もし証拠が欲しい場合は、帰還中のサポートメンバーに接触するように連絡しました」

 うむ、流石めめさんだ、仕事が早いな。特に妖精軍やハンターギルドにしっかり連絡を入れるあたり、めめさんのしっかり者っぷりが良く出てる。

「次に被害状況になります。私達の2隻の船、親羊と子羊は、小鬼の1000m級との交戦時に敵BPSによる反撃で多少の被害を受けました。ですが、被害は極めて軽微です。今日明日中に完全修復可能です。また、私達のBPSにも多少の被害が出ておりますが、こちらも同様に被害は軽微ですので今日明日の修理でほぼ100%復旧可能です」

 少し引っかかる言い方だね。ほぼ100%と100%では全然違う気がする。

「めめさん、ほぼ100%ということは、100%に戻らない部分があるということか?」
「はい、黄鬼達への妨害工作をしておりました工作部隊のBPSが、1機やられました。ですが、搭乗員は亜空間脱出機能により無事ですし、工作部隊のBPSはある程度壊されることを前提にしておりますので、予備機がございます。そのため、一度に動員可能な戦力という意味では100%おります」
「なるほど、それなら心配いらないか」
「うむ」

 まあ、めめさんが大丈夫って言ってるわけだから、きっと大した問題ではないんだろうね。

「んじゃ、次は俺達だな。俺達のBPSもめめさんのところ同様、軽微な損傷を負った。ただ、こっちは本当に軽微な損傷だけだ、全機今日中に修復可能だ」
「修理期間という意味では我輩達も同じだな。ぴぴのBPSがちょっと頑張りすぎて一部パーツの修理中だが、最低限の修理は今日中に終わるそうだ」
「では、次に仕掛けるのは2日後ということでいいでしょうか? それか、3日後には妖精軍の本隊が来る予定ですので、それに合わせて仕掛けましょうか?」
「そうだな。ハンター達の動き次第だが、3日後でいいんじゃないか」
「承知した」
「では、3日後に妖精軍と共に仕掛けましょう」

 次回はこの戦いの山場になるわけか、気を引き締めないとだね。

「熊太郎さん。少しお伺いしたいことがあるのですが、いいでしょうか?」
「おう、何でも聞いてくれ」
「黄鬼の強さなのですが、どの程度のものでしたか? それによっては当初用意していた作戦を練り直したいのですが」

 そうだね、そこは重要だよね。ぴぴとぷうはサクッと倒したらしいけど、ハンター達も苦戦していたみたいだし、めめさんの工作部隊のBPSを1機落としてるんだ。油断ならない相手のはずだ。

「そうだな。作戦の練り直しは必要だろう、悔しいが、黄鬼は当初の予想よりもだいぶ強かった。今回は待ち伏せ作戦ってことで、めめさん達が足止め用のトラップを仕掛けてくれていたから良かったが、普通にやっていたらかなり厳しい相手だったと思う。まず、小鬼どもと違って個々の強さが桁違いに強い。小鬼なら10対1でも余裕で対処出来るが、黄鬼とはせいぜい2対1がいいところだろうな」
「熊太郎さん達でさえ、そのレベルなのですか?」
「ああ、悔しいがな」
「ぴぴとぷうにも話を聞こうか?」
「いえ、あの二人は強すぎてあまり参考にならないので」

 あう、断られちゃった。まあ、確かにぴぴとぷうはそこまで参考にならないか。

 ちなみに今回、敵の黄色いのと戦うにあたり採用した細かな作戦は、めめさん達による投網作戦だ。待ち伏せポイントに熊さん達だけじゃなく、めめさん達の工作部隊も一緒に隠れて、ミニぴぴぷちゃ号を追いかけてきた黄色いの目がけて、工作部隊が投網を投げつけて動きを拘束、その隙に工作部隊、熊さん達、それと反転したぴぴとぷうによる連携で倒すというものだった。

 作戦は完璧に決まって、取りこぼしも無く倒せたんだけど、倒すの最優先だったから、ちょっと味方がやられちゃったんだよね。

 ちなみに作戦が終わって、親羊とのドッキングのために戻っている最中に、ミニぴぴぷちゃ号がその辺にぷかぷか浮いてた投網の残骸に引っ掛かったのは内緒だ。あの投網、敵に見つかりにくいような細工がしてあるのは良いんだけど、そのせいでこっちからも見にくいんだよね。

「幸か不幸か、投網を切断して罠から抜けてきた黄鬼と交戦出来たんだが、まず、すべての能力が小鬼とは比べ物にならんほど高かった。BPSの大きさは2倍程度だが、スペックは10倍以上ありそうな感じだったぜ。特に、背中のブースターのせいか速度は脅威だな。俺が全力を出しても追いつくのにだいぶ苦戦した。ただ、速度全振りなのか、火力は並みだし、防御力は低めって感じだったな」
「なるほど、そこはある意味事前情報通りなのですね」
「ああ、だが一番の脅威は知能的な面だろうな。小鬼どもみたいにちょっとやそっとの攻撃であっさりパニックになる連中じゃなかった。仲間が倒れようがどれだけ自機がダメージを受けようが、決して動じない、かなり高度な指揮系統がありそうな感じだったな。まあ、亜空間脱出機能があるからって言い方も出来るがな。俺達もそうだろ?」
「なるほど、確かに亜空間脱出機能により、死の恐怖がまるでないというのは精神的に有利に立てますからね」
「ただ、今回はぴぴさんとぷうさんが亜空間攻撃をして、キッチリ止めを刺してくれたからな。そういう意味じゃあ直接の戦果以上にプレッシャーを与えられたと思うぜ」
「そうですね。ただ、亜空間脱出機能といい、想定以上の強さといい、これは本格的に当初の予定を修正しないといけませんね」
「ああ、頼むぜ」
「とりあえず、今回の熊太郎さんの話を、黄鬼との戦闘データと共にギルドや軍に提供しますが、よろしいですか?」
「もちろんだ。妖精軍の連中なら黄色いのが相手でも弾幕で追い払えるとは思うが、奇襲なんかへの警戒は絶対に必要だしな」
「では、そのように致します。それでは、最後に3日後の妖精軍との連携行動に関する作戦の話し合いをさせていただいてもよろしいでしょうか?」
「うむ」
「ああ、頼むぜ」

 さ~って、我輩も頑張って知恵を出して、良い作戦を考えないとだね!



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