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#10 異世界2日目の朝

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 朝の日差しが窓から入ってきて部屋の中を照らす。 

 その光を感じてショーマは目が覚め、体を起こして背中を伸ばしていく。


(体感では7時間から8時間くらいは寝ていただろうか?)


 窓の外の太陽の高さを見ておおよその時間の見当をつけた。

 さらに外には既に人が朝早くにも関わらず、ちらほら見かけられた。

 この世界は地球のように照明が発達しておらず、基本的に用がない限り寝るのは早く、その分朝も早いのだ。

 酒場や昨日行った領主邸などには魔道具として照明器具があるらしいが、値段がそれなりにするため庶民の家などには付いていない。 
 

 コンコンッ


 ベッドから降りて身だしなみを整えていると、部屋のドアがノックされた。


「ショーマお兄ちゃーん? 起きてますかー? 朝ごはんが用意できましたよー」


(この声はミラルちゃんか。 朝食が出来たことをわざわざ伝えにきてくれるのありがたいな)


「おはよう、ミラルちゃん」

「おはようございます!」


 ミラルに朝から元気な挨拶をニコニコ笑顔でしてもらえた。


「わざわざ知らせに来てくれてありがとね」

「いえいえ! 朝食が出来たことはお客さん全員に伝えることにしているんです! 食べ損ねてしまうのはもったいないので!」

「そうなんだ、早起きしてまでお手伝いして偉いね」


 そう言ってミラルちゃんの頭を撫でる。


「はわぁ…… い、いいんです、これがミラルの出来ることなのですからっ」


 若干照れた様子でミラルはそう答えた。


「じゃ、じゃあミラルはまだお手伝いするので! 食堂に行けばご飯は出てくるので座って待っていてください!」

「分かったよ。 気をつけてね」

「はーい!」


 ミラルはそう言いながらタタッと小走りで廊下を抜け、階段を降りていった。

 匠真はその後をゆっくりと追いかけ、食堂に向かう。

 食堂に入ると、既に何人かの宿泊客が食事をしていて、その中にゲイルもいた。


「おはようございます、ゲイルさん」

「おう、おはようショーマ。 俺も今来たところだ」


 ゲイルに挨拶をし、向かいの席に座る。


「ショーマは今日どうするつもりなんだ? 俺は飯食ったらギルドに行くつもりだが」

「そうですね…… 昼過ぎには僕もギルドに行くので、それまでは街を歩いたり、色々してみようかと思います。 なにか欲しいものがあったら買うのもいいかと思うので」

「そうか、まぁ、ショーマは強いし、一人でもなんとでもなるだろうから大丈夫だな!」

「買い被りすぎですよ…… 僕なんてまだまだです」

「そうかぁ? まぁ、この街は平和だからそこまでトラブルとかはないだろうが、一応気を付けろよ?」

「分かりました、気を付けておきます」

「おう! それじゃあ、俺は先に行くぜ」

「はい、ゲイルさんもお気をつけて」

「おうよ」


 ゲイルはそう言って席を立ち、食堂を出ていった。 


(少し急いでるみたいだったし、クラウスさん達と待ち合わせでもしてるのかな? 同じパーティーだし)


 少しして匠真も食事を食べ終わったので、食べ終わった食器を下げてくれたミラルにお礼を言って食堂を出た。

 そして、そのまま受付にいたミルドに鍵を預け、夕食までには帰ってくることを告げる。


「気を付けて行ってこいよー」

「はい、ありがとうございます。 行ってきますね」


 宿を出て、大きな通りに向かって少し歩いていると、冒険者っぽい格好をした人を何人か見かけた。 

 どうやら冒険者の朝は早いようだ。

 そんな事を考えながら歩いていると、いつの間にか大通りに出ていた。

 大通りの店は朝一番ということもあり、空いているところもあれば、閉まっている店もある。

 その辺りを周りを見ながらまた少し歩いていると、隣の通りからなにやら喧騒が聞こえた。 

 気になってそちらに足を運んでみると、そこは露天商が並んでいる市場になっていた。

 先程の大通り程ではないが、広めの通りには所狭しと出店が並んでいて、客寄せの声がここまで来るとうるさいぐらい聞こえてきた。

 食材を売っていたり、工芸品を売っていたり、売られているものはバラバラだったが、どの店もそれなりに儲かっているようで活気があった。

 ふと気になって野菜を売っている店を見てみると、なんと見覚えのある食材が沢山売られていた。

 トマトにピーマン、キャベツ、キュウリなどなど、地球と同じような食材が並んでいたが、違う点を挙げるとするならば、やたらとカラフルなところだろうか。 

 白いトマトや黒いピーマン、赤いキャベツに黄色いキュウリなど、実にカラフルだった。 


(どんな味なんだろう……? 今はお金に余裕がある訳ではないから買うことは出来ないけど、いずれ自分で買って料理をしてみたいな。 地球では父さんといた時も一人で暮らしていた時も、食事は自分で作っていたからな)


 そんな風に思いながら歩いていると、通りの終わりに差し掛かった頃に気になる店を見つけた。


「お! いらっしゃい兄ちゃん! なんか欲しいもんあるかい?」

「えっと、ここは鉱石屋ですかね?」


 その店には様々な鉱石が並べられており、鍛冶師のスキルを持つ匠真にはうってつけの店だった。


「ああ、そうだぜ! 色んなところで取れた鉱石を売ってんだ! 値段もお手頃だぞ?」

「そうなんですね。 えっと、この赤い鉱石はなんですか?」

「おう、それは魔熱石って言って魔力を流すと高熱を出す鉱石だな。 武器職人が鉄を溶かしたりする時に使ったりするぜ」


(おぉ、異世界鉱石だ。 地球では見たこともない性質がある物も沢山あるんだな)


 出来るならば全て買ってみたいところではあるが、いかんせん財布の中身が心許ない。


「すいません、普通の鉄鉱石って売ってないですか?」

「もちろんあるぞ。 買うかい?」


 そう言って見せてもらった鉄鉱石は地球にあったものと大差ない物だった。 

 ただ、一つ銀貨一枚するので、匠真の所持金からするとちょっと手が出しにくかった。


「おや、兄ちゃん手持ちが無いのかい?」

「そうなんです。 まだこちらの方に来たばかりなのであまり持ち合わせがなくて…… ん? その奥の樽に入った物はなんですか?」


 残念だが買うのを断ろうとした匠真の目に、樽に入った赤みがかっている鉱石が目に入った。


「ん? ああ、あれはかなり酸化しちまった鉄鉱石で買い手が付かないんだよ。 上の方の見えてる部分は辛うじて鉄鉱石だが、下の方はもう完全に錆びちまってる」

「あの、良ければそれをもらえませんか?」

「ん? これをか? 構わねぇが、これを欲しがるなんて兄ちゃん変わってんなぁ」


(確かに、あそこまで錆びてたら普通使い道は無いけど、僕のスキルを使えば恐らく有用な物に変えることが出来るかもしれない)


「えっと、それでいくらですか?」

「んー、処分しようと思ってたから代金はいいわ。 むしろ処分する手間と金がかからないからありがてぇ」

「ほんとですか! ありがとうございます!」

「だが、どうやって運ぶんだ? かなり重いぞ?」

「あ、それは大丈夫です」


 なにが大丈夫なのか分からない店主が首をひねる中、匠真は収納魔法を発動した。

 発動先は樽のすぐ下にすると、樽は地面に吸い込まれるようにして消えた。 


(うん、思った通り僕からそう離れてなかったら収納魔法の穴は作れるみたいだな)


 その光景を見た店主が驚きに目を見開いてこちらを見てきた。


「に、兄ちゃんなにしたんだ?」

「僕、収納魔法が使えるんです」

「はぁー、珍しい魔法持ってるんだな! 商人からすると喉から手が出るほど欲しい魔法だぜ?」

「確かに便利ですね」

「まぁ、何はともあれ、ありがとな! 良くこの辺に店出してるからまた来てくれよ!」

「はい、見かけたらまた来させてもらいます」


 店主に別れを告げ、市場を抜けた。


(思わぬ収穫もあったし、来てよかったな)



 *



 匠真はあれから場所を移動し、この世界に降り立った時にいた森に来ている。 

 何故ここかというと、鍛冶師のスキルを試すためだ。

 あまり人前で使えるものではないので、人目が少ないであろうこの場所にやってきたのだ。

 それに、ゲイルから聞いたことなのだが、この森の街道付近は魔物除けのアイテムが効いているため、魔物も近寄ってこないらしい。 

 たまに、近寄ってくる魔物もいるそうだが、冒険者などにその都度倒されているそうだ。


(それじゃあ、早速やってみようかな)


 匠真は先程貰った酸化した鉄が大量に入った樽を取り出し、地面に置いた。

 その中からまずは一つ大きめの塊を樽から出して切り株の上に乗せる。


(鍛冶師のスキルである『分離』。 これを使えばこの酸化した鉄鉱石から純粋な鉄の部分だけを分離させる事もできるかもしれない)


 早速匠真は酸化した鉄鉱石に向かってスキルを発動してみた。

 するとステータス画面がヴォンっと出現し、この酸化した鉄鉱石に含まれている成分が大まかに記載されていた。

 その中から鉄と炭素の項目をタッチし、更には配分量も設定できるようなので少し炭素を多めにする事にした。


(確か、鋼の炭素含有量は多くて2%くらいだったよね)


 炭素の量が多い方が鉄もとい鋼は硬度が上がるので、そのように設定して決定すると、ピカーッと鉄鉱石が光り輝き、その数秒後には酸化した鉄鉱石は2つに分かれていた。

 結果、元の酸化した鉄鉱石の3分の1くらいのサイズではあるものの、見事に光り輝く鉄の塊を手に入れることができた。


(うん、思った通りだ! こんなに上手くいくとは思わなかったな)


 匠真はそれから次々に樽の中身を分離させていき、更には途中で分離させた鉄をもう一つの『合成』スキルを使って、この世界に来た時に持っていた鉄のインゴットのサイズにしていった。

 結果、あの大きな樽から鉄のインゴットを5個ほど手に入れることができた。


(無料で貰ったものがこんな良いものになるなんてね。 これでまた武器とか作れるよ)


 分離作業もひと段落ついたところで、匠真はステータス画面を閉じて一休みしようと思ったが、チラッと見えたステータスに変化がある事に気づいた。


(レベルが上がってる!)


 ショーマ=ケンモチ   Lv3  男   18歳

 種族
  →ヒト種

 ユニークスキル
  →鍛冶師 Lv2
   ウェポンマスター Lv1
   運命神の加護 Lv10


 スキル
  →魔導師  Lv2
  →言語理解 Lv10
     

 HP:1210/1210
 MP:450/600
 力:120
 速:60
 技:120
 守:60
 魔:120
 運:12100


 スキルポイント:2


(スキルとかを結構使ったからかな? 戦闘しなくてもレベルって上がるのか…… あ、確か運命神の加護の説明に必要経験値が少なくなるみたいな効果もあるし、もしかしたらそれのおかげもあるかもしれない)


 とりあえず鍛冶師と魔導師のスキルレベルが上がったので、何か新しいことができるようになってないか確認してみる。

 すると、鍛冶師は武具に付与できる効果の数が1から2になり、魔導師の方は消費魔力の軽減効果がさらに高まったそうだ。


(効果付与の数が増えたのはありがたいな。 魔導師の方も地味に嬉しい。 ステータスの伸びはレベルが1上がる毎に1.1倍ってところかな?)


 スキルとステータスの変化はこれくらいなのだが、もう一つ気になる項目があった。


(スキルポイントを初めて貰った訳だけど、どうしようかな?)


 あまり使うのを渋るものでもないと思うので、匠真はスキルポイントで取得できるスキル一覧を開いてみた。

 現状でもかなりの量があって確認するだけでも一苦労だが、自分の力量に関わる事なのでしっかりと確認していく。


(スキルポイントを1使ってレベル1のスキルが手に入るのか。 そのスキルは使い込む事でレベルを上げる事も出来るが、スキルポイントを2使えばレベル2にする事も可能……と)


 単純なシステムだが、この先どのくらいの頻度でレベルが上がるかも分からないので、どうしても慎重になってしまうが、ひとまずここで取るスキルは一つ決めた。


(スキル一覧から『気配察知』のスキルを取得!)



『気配探知』
  ↓
・発動型のスキル

・対象を指定し、その気配を探知する

・所有者に害意を持つ、もしくは危険性のある生物の気配は判別が可能

・現在の効果範囲は半径100m



 匠真が選んだのは気配探知というスキルで、文字通り生物の気配を探知するという事が可能なスキルだ。

 一度に使うMPも少なく、一度使うだけで周囲の索敵が可能なため、かなり有用なスキルだと言えるだろう。


(早速使ってみようかな? 対象は虫とか探知しても嫌だから、手のひらより大きい生物とかにして…… よし、『気配探知』!)


 試しにスキルを使ってみると、周囲にエコーのような魔力が広がっていき、鳥などの気配を複数探知することができた。

 どうやら空や地中にも範囲内になっているようで、地面の中の恐らくモグラのような生物も探知することができた。


(頭の中に周囲の状況が入ってくる! うん、これは便利だな…… って、あれ?)


 すると、探知範囲の外側からかなりの勢いで複数の気配が入ってきた。

 その気配は現在進行形で動いており、先頭の気配の後ろに複数の気配が追いかけるように動いていた。


(これ、追われてるのか? 複数まとまっている方はなんか嫌な気配だから、僕に対して危険性のある生物って事だよな…… もしかしたら誰か襲われてるのかもしれない!)


 そう思った匠真は一目散に駆け出し、先頭の気配が向かう方へ先回りしていく。


 ガサガサっ!


(この先だ!)


 森の草木をかき分けて進んだ先には少し開けた空間があり、そこにはこの世界で初めて見る、恐らく魔物と思われる青い色をした狼が3匹、何かを取り囲んでいた。

 狼の魔物は後ろの匠真に気づくと、グルルッと鳴いて姿勢を低くした。

 どうやら敵認定されたようである。


 
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