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第11話
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案内された部屋は辺り一面真っ白な部屋だった。
神秘的ではあったが私は何処か寂しさや懐かしさを感じていた。
まるで遥か昔にここに訪れたことがあるかのように……
突然頭に映像が流れ込んできた。
『お願い、あの子を助けてあげて……』
あたり一面、血で真っ赤に染っていた。そんな中に顔ははっきりと見えないが腹部から血を流している女性が男性に向かって何かを必死に伝えている光景がぼんやりと見えた。
今のは一体……どうして私は今こんなに悲しいんだ。
「…エル、ノエル!!大丈夫?」
エルは心配そうに私を見ていた。私は知らないうちに歩みを止めていたみたいだ。急に歩みを止めた私を心配して、エルは私に声をかけたのだろう。私はエルに心配かけないように誤魔化した。
「大丈夫だよ。ちょっと考え事してただけだから」
私はそう答えた。
「そっか、それならいいんだ」
エルはどこか腑に落ちない顔をしたが私がこれ以上、何を聞かれても話さないことを察したのか深く追求してくることはなかった。
こういう時にエルは私のことをわかってくれているなぁと実感する。いつもエルに甘えてしまっている。ほんと情けないな……エルには本当に感謝してもしきれない。
「さあ、行きましょう」
私はエルの手を引き、歩き出した。
クロード様が部屋の中央へと移動すると突然短刀を取り出し指を切った。床に血を垂らすと、突如魔法陣が現れた。
今まで見た事ないぐらいの膨大な魔法陣だった。あまりの大きさに私が驚いているとエルが魔法陣について説明をしてくれた。
「そういえば、ノエルはこの魔法陣を初めて見るんだったんね。この魔法陣は、僕たち精霊の王族の登録された血に反応して起動されるようになっているんだ。他の者が血を垂らしても全然反応はしないし、逆に攻撃魔法が発動するように作られているんだ」
なるほど。だから血を垂らす必要があったのね。
「でもこのような大きい魔法陣を作ったのは、一体誰なの?このような魔法陣はかなり高度な技術が必要となるはず……」
「その質問は私が答えよう。でもまずはさっきの話の続きを聞いて欲しい」
「わかりました」
クロード様はどこか懐かしむように話し始めた。
「亡くなった私の妻には人間の親友がいた。実を言うと私を妻に巡り合わせてくれたのはこの子なんだ。感謝してもしきれないよ。二人は種族をこえて、本当の姉妹であるかのようだった。でもこの楽しい時間はある日突然消え去ることになったよ……」
神秘的ではあったが私は何処か寂しさや懐かしさを感じていた。
まるで遥か昔にここに訪れたことがあるかのように……
突然頭に映像が流れ込んできた。
『お願い、あの子を助けてあげて……』
あたり一面、血で真っ赤に染っていた。そんな中に顔ははっきりと見えないが腹部から血を流している女性が男性に向かって何かを必死に伝えている光景がぼんやりと見えた。
今のは一体……どうして私は今こんなに悲しいんだ。
「…エル、ノエル!!大丈夫?」
エルは心配そうに私を見ていた。私は知らないうちに歩みを止めていたみたいだ。急に歩みを止めた私を心配して、エルは私に声をかけたのだろう。私はエルに心配かけないように誤魔化した。
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私はそう答えた。
「そっか、それならいいんだ」
エルはどこか腑に落ちない顔をしたが私がこれ以上、何を聞かれても話さないことを察したのか深く追求してくることはなかった。
こういう時にエルは私のことをわかってくれているなぁと実感する。いつもエルに甘えてしまっている。ほんと情けないな……エルには本当に感謝してもしきれない。
「さあ、行きましょう」
私はエルの手を引き、歩き出した。
クロード様が部屋の中央へと移動すると突然短刀を取り出し指を切った。床に血を垂らすと、突如魔法陣が現れた。
今まで見た事ないぐらいの膨大な魔法陣だった。あまりの大きさに私が驚いているとエルが魔法陣について説明をしてくれた。
「そういえば、ノエルはこの魔法陣を初めて見るんだったんね。この魔法陣は、僕たち精霊の王族の登録された血に反応して起動されるようになっているんだ。他の者が血を垂らしても全然反応はしないし、逆に攻撃魔法が発動するように作られているんだ」
なるほど。だから血を垂らす必要があったのね。
「でもこのような大きい魔法陣を作ったのは、一体誰なの?このような魔法陣はかなり高度な技術が必要となるはず……」
「その質問は私が答えよう。でもまずはさっきの話の続きを聞いて欲しい」
「わかりました」
クロード様はどこか懐かしむように話し始めた。
「亡くなった私の妻には人間の親友がいた。実を言うと私を妻に巡り合わせてくれたのはこの子なんだ。感謝してもしきれないよ。二人は種族をこえて、本当の姉妹であるかのようだった。でもこの楽しい時間はある日突然消え去ることになったよ……」
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