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第八章
三度目の正直
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連れて来られたのはいつもと変わらない村長の家。
にもかかわらずなんだろうこの重たい空気。
いつもは気楽に過ごせるこの家も、とある人物がいるだけでこの変わりよう。
ほんと、村長には苦労かけます。
「タクス様、イナバ様をお連れしましたわ。」
「遅かったなガスターシャ君、待ちくたびれたぞ。」
「申し訳ありません。良い報告と悪い報告どちらがお好みです?」
「そうだな、まずは良い報告から聞かせてもらおうか。」
「立ち話もなんですから皆さんどうぞ中へ。」
あの、そこ村長の家なんですけど。
自分の家と勘違いしていませんか?
とか何とか思いつつ、とりあえず案内されるがまま席に着く。
俺の横にメルクリア女史とニッカさん。
正面にタクスさんとガスターシャ氏。
あぁ、今すぐにこの場から逃げ出したい。
そのぐらいの威圧を感じる。
この人本当に人間か?
なんだかバロンと同じ空気を感じるんですが。
あ、バロンっていうのは俺の両手に大穴開けた彼ね。
今頃何してるんだろう。
また怪しげな実験を行っているんだろうか。
「それで、どんな感じだ?。」
「測量の結果、収穫増加量は約1.6倍となり追加課税は金貨6枚となる見込みです。」
「ほぅ、なかなかの数字のようだ。」
「この村特有の状況ですので全ての村というわけではありませんが、今年の気候を考えると半数以上の村で収穫増が見込まれるでしょう。これは同時に追加課税が可能な村がそれだけあると言えます。」
「つまり、今回の測量にそれだけの意義があったというわけだな。」
「税収のズレを正すという意味では有意義な結果だといえるでしょう。」
普段はオネェ言葉なのに報告の時は普通に戻るんだ。
なんだか違和感があるなぁ。
「それだけ聞けば十分だが、悪い報告も聞かねばならんのか?」
「もちろんです。それについてはイナバ様からご報告いただきます、お願いできますか?」
「改めましてイナバと申します。先ほどは無礼な物言い失礼いたしました。」
とりあえず謝っておく。
こうすればいきなり首を飛ばされることはない、はずだ。
「私の正体についてはもうガスターシャ君から聞いているだろう。先程の件は気にしておらん、仕方ない悪い報告とやらを聞かせてもらおうじゃないか。」
「では現在施行されております税制に関してですが、現状大きな問題を抱えており極めて不確かな状態であるという事をご報告いたします。測量の結果を追加課税に使用するようですが、残念ながらほとんどの村で追加の税を支払うことはできないでしょう。」
「ほほぅ、随分と悪い報告のようだ。」
「理由はいくつかございますが、現状の税制では翌年の収穫に支払いを左右されてしまい正確に徴収することが出来ません。また豊作だった場合に国中の穀物価格が下落してしまい、結果として豊作分の利益を得る事が出来ず、追加課税に対応する余裕は生まれません。『今までの』やり方であれば問題なく運用できたでしょうが、測量して税を徴収するという新しいやり方には対応することはできないでしょう。」
測量の結果導き出された答え。
それは、今までのやり方を変えるには大本が変わらないと無理だということだ。
追加課税をするのは簡単だが、支払えないのであれば意味がない。
また、追加課税が村々の負担になってしまい正しい運営ができなくなる可能性が高くなる。
「なるほどそれが測量から導き出された答えですか。随分と思っていた答えと違うようだ。」
「現実は想像よりも奇なりといいますから。」
「つまり、『追加課税は無駄であり今まで通りのやり方にしろ』と言いたいわけだな?」
「それは違います。測量の結果、今年の収穫増が見込まれるのは間違えようのない事実ですのでそれに対しては課税するべきです。」
「それは先ほどの発言と矛盾しているのではないか?」
「測量を行う事でそれぞれの村が持つ畑の収穫量を把握し、その年の収穫に応じて税の増減を行うようにします。そもそも税金を先延ばしにするから話がややこしくなるんです。豊作であれば課税を、不作であれば減税を。その年その年で支払いを完結させ、税収のズレを無くせば国も村々もどちらも幸せになれる。これが今回の測量から導き出された答えです。」
測量したデータを元に収穫量の基準を作り、その年の収穫が基準以上であれば追加の税金を、不作であれば逆に減免を行なう事で納税を年単位で完結させる。
基礎データは村々で違うのでそのあたりはしっかりと管理しなければならないが、3年に一度とかにすれば大きくずれることはないだろう。
欲を言えば毎年測量したいが、そこまでの人手を割くのは難しそうだ。
「ふむ、確かにそのやり方には一理ある。収穫量に応じた課税と減税を行なう事で村々の負担を減らすようだが、その基準はどう作るおつもりかな?」
「毎年課税の為に集めた記録があるではありませんか。豊作不作含めましてその村がどれだけ収穫してきたのか、その平均値を基準とすることで対応する事ができます。」
「この村のように畑を大きくしている場合はどうする。あっという間に不作でも豊作の量を収穫してしまうぞ。」
「その為に測量を行なうんです。三年に一度ぐらいで測量を行なえば大きなズレはおきませんが、この村のように拡張中の村は毎年測量するべきですね。」
「ガスターシャ君、毎年の測量は可能か?」
「数を絞れば可能ですわ。イナバ様の言うように順番に村々をまわり測量を行なうのであれば、ちょうど三年程で国中を回れるでしょう。」
つまりは測量できる人間はそんなに多くないという事か。
「現在は昨年の収穫にかけられた税金を翌年に請求しており、翌年が不作だった場合もしくは先日の集団暴走などの不慮の事態に対応できておりません。今の所二年連続での不作は記録にないということですが、集団暴走は何時起きるかわからず、もし仮に不作の年に発生すれば国力が一気に低下してしまうことでしょう。」
プレゼンを行なう上で大切なのは順番だ。
現状を確認し、問題を定義する。
原因を探し出し改善する方法を提案し、 結果どう解決するかの道順を示す。
起承転結。
物語りもそうだが、順番がずれてしまうと話が薄くなってしまう。
逆を言えば順番さえ間違えなければ、失敗は少ないといえる。
「疲弊した国民を救うのが国の勤め、的確な援助は国力低下を防ぎ国民の信頼はより強固な地盤を作り上げます。」
「だがその金はどこから出す。元手が無ければ話しにならん。」
「その為の税金です。余っている時に多く徴収しておけばいざという時の助けになります。余剰があるかどうかを確認する為に、測量を行なうのではありませんか?」
「それはそうだが、本当に足りるのか?」
「と、いいますと?」
「国民の腹はどうやって満たす。金は減らせば済むがそれでは腹は満たされん。不作の年に飯を食わせようものならそれこそ高くつくぞ。」
待っていました。
そこに気づく辺りさすが上に立つ人間だ。
だが、今の俺にはそれにこそ気づいて欲しかった。
それがわかっている人間なら次の提案がいかに重要かわかってくれるはずだ。
「ちょうどそれについて御提案しようと思っていたところです。仰るように不作の年にいくら税金を減らした所で穀物が不足し食糧難になるのは明白です。飢えは翌年の収穫にも影響します、お腹が空けばどれだけ豊饒な土地でも耕す事ができなくなりますから。」
「良くわかっているではないか。餓死者こそ出ないが、不作の年にはそれなりの身売りが発生する。奴隷が増えれば治安は悪化し国力が疲弊する。お前はその問題も解決できるというのか?」
「根本的な解決にはなりませんが先程の税金の問題と合わせて非常に有効な方法がございます。」
「面白い、聞かせてみろ。」
「先程お話したように豊作時に課税しようにも、穀物価格が下落しており課税分の代金を確保できません。そこで、収穫を一度国に買い上げていただき、それから市場に流すようにしていただきたいのです。そうする事で穀物価格は一定になり収穫が増えた分に課税をしても十分に支払う事ができるでしょう。」
穀物価格が変動するのは需要と供給のバランスが崩れるからだ。
収穫期にまとめて穀物が売りに出される事により、過剰になった在庫を値段を下げてでも売り切ろうとする輩が出てくる。
それが起きると、今度はその価格よりも下げようとする輩が出てくる。
そうなればもう値下げ競争だ。
目先の金にくらみそこから生じるマイナスなど気にもしない。
結果穀物全体の価格が下落し、作り手が損をしてしまう。
だが、需要と供給のバランスが取れていれば過剰な値下げは起きず一定の価格で推移するだろう。
「何故国が買取る必要がある。そもそもその金を何処から出そうというのだ。」
「別に全額を即金で渡す必要はありません。収穫の何割かは備蓄用に村に残され、残ったものに課税されます。仮に金貨20枚分の穀物を買取る事になってもそこにかけられる税金が金貨15枚であれば支払うべき金額は金貨5枚で済みます。」
「結局金は出て行くではないか。」
「出て行きますが、そうする事で市場の穀物価格は安定し豊作であれば追加の税を徴収できます。また買取った穀物は国の備蓄にすることで不作時に国民に放出できます。そうすれば飢えて身売りをする国民が減るのでは無いですか?」
「うぅむ、確かにそうだがそれでは金は出て行ったままだ。しかも買取った物を無料で放出すればいずれ国庫が枯渇するぞ。」
確かにそれは考えられる。
税金で買取った穀物を国民に提供し続ければいずれ無くなってしまう。
もちろんずっと不作である可能性は少ないが、今回はそういった不慮の事態にも対応できるようにするという話しだ。
「緊急の場合は無償で提供しますが、そうでない場合は市場に流します。不作時は価格が高騰しますから、その時を見計らって国が備蓄を放出すれば、市場価格は安定して国民は高いお金で食糧を買わなくて済む。また、国としても買い上げた時よりも高く売ることが出来るので結果として国庫が潤います。」
「それを繰り返せば減る分も取り返せるというワケか。」
「また、他国で食糧難が起きた時に輸出すればそれなりの利益を稼ぐ事ができるでしょう。備蓄を増やすというのは非常時に備えるだけでなくお金を稼ぐ上でも重要な事だと考えています。ですが、問題が一つ・・・。」
「話だけ聞いていれば問題ないように聞こえるけど、ダメなの?」
ダメなんですよ。
っていうか俺とタクスさんしか話しをしていないから、同じ部屋に居るはずなのに他の三人の存在感が薄いんですけど。
発言してくださっていいんですよ?
「私達のような商家から文句が出るのね。」
「そうか、今のやり取りは全て貴族や大商人が行なっておるのだな。」
「これまでは貴族や大商人が資産に物を言わせて安い穀物を買い込み、先程のやり方で利益を上げていました。もちろん、豊作時に安く買い上げた穀物を不作時に売る。これは商売として至極当然のやり方ですのでそれに文句を言うのはおかしな話しです。しかしながら国が自分達のやり方をまねて利益を奪ってしまえば、文句の一つも出てくるでしょう。」
「でも彼等は私腹を肥やすだけで、国民には何も還元されていないわ。」
「ですので国が主導して買取を行い利益を上げ、そうして得られた利益は様々な方法で『平等』に国民へ還元するんです。それに、一部の商人にだけ利益が集まっている現状を由と思っていない国民も多いはず、そういった人たちへの慰めにもなるのでは無いでしょうか。」
資本主義社会ではお金はお金のあるところに集まるようになっている。
一部の人間だけが多くの富を独占し、その他大勢は残りを分け合うことしか出来ない。
これはこの世界でも元の世界でも起きているし、ある意味致し方ない状況なのかもしれないな。
「国民感情を良くする為にも買い取りは有効である。ただの商人が政治にまで口を出すとは、自分が何を言っているのかわかっているのか?」
「差し出がましい事を言っているのは理解しております。ですが、何らかの形で『国が自分達の事を考えてくれている』という事がわかるのは、国民の一人としてとてもありがたいことです。」
「国民の一人、そもそもこの話はそのための話であったか?」
「そもそもは村づくりのために測量をするという話でした。しかしながらそれを行うためには税金の話を、税金の話をするためには税金の問題の解決を、税金の問題を解決するためには何をどうすればいいのかを話す必要があったのです。これも全て国民一人一人が幸せにい暮らしていくため、全てはそこに結びつくのだと思います。」
「何かを為すというのは大変なものだな。」
「それで誰かが幸せになるのであれば私はそれで構いません。」
1をなす為には5の準備と10の工程を要する。
準備の準備は大変だってそういえば一番最初に話をしたっけ。
それはどこに行っても変わらないんだな。
「残った問題は、私達商人をどう封じるかね。」
そう、そこが問題だ。
今回の話は国の税金を潤せるほどに巨額の富を生み出している。
それだけのものを手放す事ができるのかどうか。
もちろん商人や貴族も黙って従う事は無いだろう。
見返りを求めて抗議をしたり、反抗したりするかもしれない。
それをどうやって沈めるのかが、買取を成功させる為の重要なポイントになる。
「そこに関しては申し訳ありませんが私の手に余るお話です。後はアーシャ様にお願いいたします。」
「えぇ、ここまで話しを盛り上げておいて私に押し付けるの?」
「餅は餅屋といいますから。」
「なんだそれは。」
「私の世界の言葉です。専門の事は専門家にお任せするのが一番だと言う意味ですね。」
「お前に商売の事を聞くようにか?」
「私はただの商人ですのでメルクリア様にお願いします。」
俺は政治家でも役人でもない、ただの商人だ。
畑違いの事は偉い人にお任せするよ。
「ふはははは、ここまで偉そうに話しをしておきながらただの商人と言い切るとは噂以上に無欲な男だ。ガスターシャ君、面白い男を見つけてきたな。」
「えぇ、商人にしておくのは勿体無い程の人材です。」
「どうだ、商人など辞めて私の下で働かないか?今よりも面白い世界を見せてやれるぞ。」
「ありがたいお話ではございますが、私はまだこの世界に来て日も浅く世界の事もよく知らないただの商人です。それに、商店で成し遂げなければならないことがまだまだございます。それを成し遂げた時にまだ興味を持って頂ける様であればもう一度お誘いいただけますでしょうか。」
俺には商店がある。
それもまだまだ道半ば、いやまだ入口に入ったばかりだ。
その道を捨てて別の事に手を出す余裕はまだ無い。
「タクス様、彼は商店連合、いえメルクリア家としても無くてはならない存在です。どうか今回は見逃していただけませんでしょうか。」
突然メルクリア女史が立ち上がりタクスさんに向かって頭を下げた。
「・・・メルクリア家の娘風情が母親を差し置いて私に意見するのか?」
「『銅貨一枚は銀貨十枚を生み金貨百枚を稼ぎ出す』。彼は我が家に富をもたらす金の卵、それを手放す事は母も良しとはしないでしょう。私の言葉は母の言葉と同じであると思っていただいて構いませんわ。」
「メルクリア家の家訓ですね。」
「我がメルクリア家はこの家訓の元、この地位まで登りつめました。お金を稼ぐ為には相手も手段も選ばない、それは母上も私も同じです。」
利になることは例え相手が強くても一歩も引かない。
そんな信念が入った家訓のようだ。
メルクリア家家訓、カッコイイな!
「あの母あってこの娘有り、まだまだメルクリア家は安泰のようだ。」
先程までの鋭い目つきとは違い、年齢相当の柔らかい目に変わった。
「面白い人材が手に入ると思ったが、残念だったなガスターシャ君。」
「まだ二回フラれただけですもの、まだまだ諦めませんわ。」
「君もなかなか懲りないな。」
「これぐらいしぶとくなければタクス様の下で働けませんもの。」
確かにこの上司の下で働くのなら図太い神経じゃないと無理そうだ。
俺にはメルクリア女史で十分です。
部下の為に頭を下げる事ができる人間。
そういう人は実は中々少ない。
正直に言ってさっきのはちょっと感動してしまった。
「私からもお願いいたします。今イナバ様に旅立たれては村の皆が寂しがりますので・・・。」
「彼女だけじゃなく村中の人に引き留められるか、ますます惜しい男だ。」
「ありがたい話です。」
「そこを鼻にかけない所もまた噂通り。しかしあれだな、もう少し遊んでも良いのではないか?」
「日々の仕事で十分楽しませていただいております。家族に仕事、これ以上望めば罰が当たりますよ。」
「はっはっは、まったく無欲な男だ。」
美人の奥さんに美人の仲間。
これ以上一体何を望むというのだろうか。
え、ハーレムはどうしたって?
そこはほら、おいおい・・・。
せめて一夜を共にしないとね。
「タクス様よろしいのですか?」
「あぁ、十分に見せてもらった。イナバ様先ほどの話上に持ち帰ってもよろしいか?」
「可能であればどうぞご検討ください。」
「検討する価値のある話だ、無駄にはせんよ。」
ガスターシャ氏が立ち上がりタクスさんを誘導する。
結構な年齢だとおもうのだが、そう感じさせない堂々とした動きでこちらへ向かって来る。
「イナバ様またお会いしましょう。」
「ニッカ様、急に押しかけて済まなかった。」
「こちらこそ、貴重なお話をお聞かせいただき勉強になりました。」
「メルクリアの娘よ、この男無駄にするなよ。」
「お任せください。」
その返事に満足そうにうなずくと二人は足早に村長の家を後にした。
ドアが閉まるその瞬間まで緊張が続く。
そして、ドアがバタンと音を立てて閉まったその瞬間三人同時に大きな息を吐いた。
「緊張しました・・・。」
「緊張ってものじゃないわよ、あの人にあんな口をきいてさっきの私はどうかしていたわ。」
ちょっとまって、俺の感動は気の迷いなの?
「お二人は緊張で済んでしまわれるのですね、私など老い先短い寿命がさらに縮んでしまいましたよ。これは可愛い孫の顔を見なければ戻りませんな。」
「あはは、がんばります。」
まさかこのタイミングで下ネタを返してくるとは思わなかった。
いや、それほどにニッカさんも緊張していたのだろう。
そりゃあ冗談も言いたくなるよね。
「帰った時にお母様に何を言われるか・・・。」
「タスクさん相手にやりあったと自信をもって言えばいいじゃないですか。」
「貴方はお母様の怖さを知らないからそんなこと言えるのよ。そんなこと言おうものなら、ものなら・・・それはありね。」
ありなんだ。
メルクリア女史のお母様。
いったいどんな人なのか、いやこんなこと言っていたら会う事になりそうだやめておこう。
「ここで仕事を忘れて休みたいところではありますがエミリア達が待っています。もうひと頑張りと行きましょうか。」
「部下が働いているのに上司が休んでいるわけにはいかないわよね。」
「えぇ、がんばりましょう。」
「終わりましたらこちらにお戻り下さい、腕によりをかけて昼食を御準備しておきます。結果はその時に教えていただければ結構です。」
「ありがとうございます。」
そういえば昼食がまだだっけ。
エミリア達と合流して美味しい昼食としゃれ込むとしよう。
測量の話が上がってこれで三度目のプレゼン。
二回の敗北を喫したが無事に三度目の正直で勝利を勝ち取れた。
この測量が誰かの幸せにつながりますように。
とりあえずは、俺達の未来がうまく行けばそれでいいや。
にもかかわらずなんだろうこの重たい空気。
いつもは気楽に過ごせるこの家も、とある人物がいるだけでこの変わりよう。
ほんと、村長には苦労かけます。
「タクス様、イナバ様をお連れしましたわ。」
「遅かったなガスターシャ君、待ちくたびれたぞ。」
「申し訳ありません。良い報告と悪い報告どちらがお好みです?」
「そうだな、まずは良い報告から聞かせてもらおうか。」
「立ち話もなんですから皆さんどうぞ中へ。」
あの、そこ村長の家なんですけど。
自分の家と勘違いしていませんか?
とか何とか思いつつ、とりあえず案内されるがまま席に着く。
俺の横にメルクリア女史とニッカさん。
正面にタクスさんとガスターシャ氏。
あぁ、今すぐにこの場から逃げ出したい。
そのぐらいの威圧を感じる。
この人本当に人間か?
なんだかバロンと同じ空気を感じるんですが。
あ、バロンっていうのは俺の両手に大穴開けた彼ね。
今頃何してるんだろう。
また怪しげな実験を行っているんだろうか。
「それで、どんな感じだ?。」
「測量の結果、収穫増加量は約1.6倍となり追加課税は金貨6枚となる見込みです。」
「ほぅ、なかなかの数字のようだ。」
「この村特有の状況ですので全ての村というわけではありませんが、今年の気候を考えると半数以上の村で収穫増が見込まれるでしょう。これは同時に追加課税が可能な村がそれだけあると言えます。」
「つまり、今回の測量にそれだけの意義があったというわけだな。」
「税収のズレを正すという意味では有意義な結果だといえるでしょう。」
普段はオネェ言葉なのに報告の時は普通に戻るんだ。
なんだか違和感があるなぁ。
「それだけ聞けば十分だが、悪い報告も聞かねばならんのか?」
「もちろんです。それについてはイナバ様からご報告いただきます、お願いできますか?」
「改めましてイナバと申します。先ほどは無礼な物言い失礼いたしました。」
とりあえず謝っておく。
こうすればいきなり首を飛ばされることはない、はずだ。
「私の正体についてはもうガスターシャ君から聞いているだろう。先程の件は気にしておらん、仕方ない悪い報告とやらを聞かせてもらおうじゃないか。」
「では現在施行されております税制に関してですが、現状大きな問題を抱えており極めて不確かな状態であるという事をご報告いたします。測量の結果を追加課税に使用するようですが、残念ながらほとんどの村で追加の税を支払うことはできないでしょう。」
「ほほぅ、随分と悪い報告のようだ。」
「理由はいくつかございますが、現状の税制では翌年の収穫に支払いを左右されてしまい正確に徴収することが出来ません。また豊作だった場合に国中の穀物価格が下落してしまい、結果として豊作分の利益を得る事が出来ず、追加課税に対応する余裕は生まれません。『今までの』やり方であれば問題なく運用できたでしょうが、測量して税を徴収するという新しいやり方には対応することはできないでしょう。」
測量の結果導き出された答え。
それは、今までのやり方を変えるには大本が変わらないと無理だということだ。
追加課税をするのは簡単だが、支払えないのであれば意味がない。
また、追加課税が村々の負担になってしまい正しい運営ができなくなる可能性が高くなる。
「なるほどそれが測量から導き出された答えですか。随分と思っていた答えと違うようだ。」
「現実は想像よりも奇なりといいますから。」
「つまり、『追加課税は無駄であり今まで通りのやり方にしろ』と言いたいわけだな?」
「それは違います。測量の結果、今年の収穫増が見込まれるのは間違えようのない事実ですのでそれに対しては課税するべきです。」
「それは先ほどの発言と矛盾しているのではないか?」
「測量を行う事でそれぞれの村が持つ畑の収穫量を把握し、その年の収穫に応じて税の増減を行うようにします。そもそも税金を先延ばしにするから話がややこしくなるんです。豊作であれば課税を、不作であれば減税を。その年その年で支払いを完結させ、税収のズレを無くせば国も村々もどちらも幸せになれる。これが今回の測量から導き出された答えです。」
測量したデータを元に収穫量の基準を作り、その年の収穫が基準以上であれば追加の税金を、不作であれば逆に減免を行なう事で納税を年単位で完結させる。
基礎データは村々で違うのでそのあたりはしっかりと管理しなければならないが、3年に一度とかにすれば大きくずれることはないだろう。
欲を言えば毎年測量したいが、そこまでの人手を割くのは難しそうだ。
「ふむ、確かにそのやり方には一理ある。収穫量に応じた課税と減税を行なう事で村々の負担を減らすようだが、その基準はどう作るおつもりかな?」
「毎年課税の為に集めた記録があるではありませんか。豊作不作含めましてその村がどれだけ収穫してきたのか、その平均値を基準とすることで対応する事ができます。」
「この村のように畑を大きくしている場合はどうする。あっという間に不作でも豊作の量を収穫してしまうぞ。」
「その為に測量を行なうんです。三年に一度ぐらいで測量を行なえば大きなズレはおきませんが、この村のように拡張中の村は毎年測量するべきですね。」
「ガスターシャ君、毎年の測量は可能か?」
「数を絞れば可能ですわ。イナバ様の言うように順番に村々をまわり測量を行なうのであれば、ちょうど三年程で国中を回れるでしょう。」
つまりは測量できる人間はそんなに多くないという事か。
「現在は昨年の収穫にかけられた税金を翌年に請求しており、翌年が不作だった場合もしくは先日の集団暴走などの不慮の事態に対応できておりません。今の所二年連続での不作は記録にないということですが、集団暴走は何時起きるかわからず、もし仮に不作の年に発生すれば国力が一気に低下してしまうことでしょう。」
プレゼンを行なう上で大切なのは順番だ。
現状を確認し、問題を定義する。
原因を探し出し改善する方法を提案し、 結果どう解決するかの道順を示す。
起承転結。
物語りもそうだが、順番がずれてしまうと話が薄くなってしまう。
逆を言えば順番さえ間違えなければ、失敗は少ないといえる。
「疲弊した国民を救うのが国の勤め、的確な援助は国力低下を防ぎ国民の信頼はより強固な地盤を作り上げます。」
「だがその金はどこから出す。元手が無ければ話しにならん。」
「その為の税金です。余っている時に多く徴収しておけばいざという時の助けになります。余剰があるかどうかを確認する為に、測量を行なうのではありませんか?」
「それはそうだが、本当に足りるのか?」
「と、いいますと?」
「国民の腹はどうやって満たす。金は減らせば済むがそれでは腹は満たされん。不作の年に飯を食わせようものならそれこそ高くつくぞ。」
待っていました。
そこに気づく辺りさすが上に立つ人間だ。
だが、今の俺にはそれにこそ気づいて欲しかった。
それがわかっている人間なら次の提案がいかに重要かわかってくれるはずだ。
「ちょうどそれについて御提案しようと思っていたところです。仰るように不作の年にいくら税金を減らした所で穀物が不足し食糧難になるのは明白です。飢えは翌年の収穫にも影響します、お腹が空けばどれだけ豊饒な土地でも耕す事ができなくなりますから。」
「良くわかっているではないか。餓死者こそ出ないが、不作の年にはそれなりの身売りが発生する。奴隷が増えれば治安は悪化し国力が疲弊する。お前はその問題も解決できるというのか?」
「根本的な解決にはなりませんが先程の税金の問題と合わせて非常に有効な方法がございます。」
「面白い、聞かせてみろ。」
「先程お話したように豊作時に課税しようにも、穀物価格が下落しており課税分の代金を確保できません。そこで、収穫を一度国に買い上げていただき、それから市場に流すようにしていただきたいのです。そうする事で穀物価格は一定になり収穫が増えた分に課税をしても十分に支払う事ができるでしょう。」
穀物価格が変動するのは需要と供給のバランスが崩れるからだ。
収穫期にまとめて穀物が売りに出される事により、過剰になった在庫を値段を下げてでも売り切ろうとする輩が出てくる。
それが起きると、今度はその価格よりも下げようとする輩が出てくる。
そうなればもう値下げ競争だ。
目先の金にくらみそこから生じるマイナスなど気にもしない。
結果穀物全体の価格が下落し、作り手が損をしてしまう。
だが、需要と供給のバランスが取れていれば過剰な値下げは起きず一定の価格で推移するだろう。
「何故国が買取る必要がある。そもそもその金を何処から出そうというのだ。」
「別に全額を即金で渡す必要はありません。収穫の何割かは備蓄用に村に残され、残ったものに課税されます。仮に金貨20枚分の穀物を買取る事になってもそこにかけられる税金が金貨15枚であれば支払うべき金額は金貨5枚で済みます。」
「結局金は出て行くではないか。」
「出て行きますが、そうする事で市場の穀物価格は安定し豊作であれば追加の税を徴収できます。また買取った穀物は国の備蓄にすることで不作時に国民に放出できます。そうすれば飢えて身売りをする国民が減るのでは無いですか?」
「うぅむ、確かにそうだがそれでは金は出て行ったままだ。しかも買取った物を無料で放出すればいずれ国庫が枯渇するぞ。」
確かにそれは考えられる。
税金で買取った穀物を国民に提供し続ければいずれ無くなってしまう。
もちろんずっと不作である可能性は少ないが、今回はそういった不慮の事態にも対応できるようにするという話しだ。
「緊急の場合は無償で提供しますが、そうでない場合は市場に流します。不作時は価格が高騰しますから、その時を見計らって国が備蓄を放出すれば、市場価格は安定して国民は高いお金で食糧を買わなくて済む。また、国としても買い上げた時よりも高く売ることが出来るので結果として国庫が潤います。」
「それを繰り返せば減る分も取り返せるというワケか。」
「また、他国で食糧難が起きた時に輸出すればそれなりの利益を稼ぐ事ができるでしょう。備蓄を増やすというのは非常時に備えるだけでなくお金を稼ぐ上でも重要な事だと考えています。ですが、問題が一つ・・・。」
「話だけ聞いていれば問題ないように聞こえるけど、ダメなの?」
ダメなんですよ。
っていうか俺とタクスさんしか話しをしていないから、同じ部屋に居るはずなのに他の三人の存在感が薄いんですけど。
発言してくださっていいんですよ?
「私達のような商家から文句が出るのね。」
「そうか、今のやり取りは全て貴族や大商人が行なっておるのだな。」
「これまでは貴族や大商人が資産に物を言わせて安い穀物を買い込み、先程のやり方で利益を上げていました。もちろん、豊作時に安く買い上げた穀物を不作時に売る。これは商売として至極当然のやり方ですのでそれに文句を言うのはおかしな話しです。しかしながら国が自分達のやり方をまねて利益を奪ってしまえば、文句の一つも出てくるでしょう。」
「でも彼等は私腹を肥やすだけで、国民には何も還元されていないわ。」
「ですので国が主導して買取を行い利益を上げ、そうして得られた利益は様々な方法で『平等』に国民へ還元するんです。それに、一部の商人にだけ利益が集まっている現状を由と思っていない国民も多いはず、そういった人たちへの慰めにもなるのでは無いでしょうか。」
資本主義社会ではお金はお金のあるところに集まるようになっている。
一部の人間だけが多くの富を独占し、その他大勢は残りを分け合うことしか出来ない。
これはこの世界でも元の世界でも起きているし、ある意味致し方ない状況なのかもしれないな。
「国民感情を良くする為にも買い取りは有効である。ただの商人が政治にまで口を出すとは、自分が何を言っているのかわかっているのか?」
「差し出がましい事を言っているのは理解しております。ですが、何らかの形で『国が自分達の事を考えてくれている』という事がわかるのは、国民の一人としてとてもありがたいことです。」
「国民の一人、そもそもこの話はそのための話であったか?」
「そもそもは村づくりのために測量をするという話でした。しかしながらそれを行うためには税金の話を、税金の話をするためには税金の問題の解決を、税金の問題を解決するためには何をどうすればいいのかを話す必要があったのです。これも全て国民一人一人が幸せにい暮らしていくため、全てはそこに結びつくのだと思います。」
「何かを為すというのは大変なものだな。」
「それで誰かが幸せになるのであれば私はそれで構いません。」
1をなす為には5の準備と10の工程を要する。
準備の準備は大変だってそういえば一番最初に話をしたっけ。
それはどこに行っても変わらないんだな。
「残った問題は、私達商人をどう封じるかね。」
そう、そこが問題だ。
今回の話は国の税金を潤せるほどに巨額の富を生み出している。
それだけのものを手放す事ができるのかどうか。
もちろん商人や貴族も黙って従う事は無いだろう。
見返りを求めて抗議をしたり、反抗したりするかもしれない。
それをどうやって沈めるのかが、買取を成功させる為の重要なポイントになる。
「そこに関しては申し訳ありませんが私の手に余るお話です。後はアーシャ様にお願いいたします。」
「えぇ、ここまで話しを盛り上げておいて私に押し付けるの?」
「餅は餅屋といいますから。」
「なんだそれは。」
「私の世界の言葉です。専門の事は専門家にお任せするのが一番だと言う意味ですね。」
「お前に商売の事を聞くようにか?」
「私はただの商人ですのでメルクリア様にお願いします。」
俺は政治家でも役人でもない、ただの商人だ。
畑違いの事は偉い人にお任せするよ。
「ふはははは、ここまで偉そうに話しをしておきながらただの商人と言い切るとは噂以上に無欲な男だ。ガスターシャ君、面白い男を見つけてきたな。」
「えぇ、商人にしておくのは勿体無い程の人材です。」
「どうだ、商人など辞めて私の下で働かないか?今よりも面白い世界を見せてやれるぞ。」
「ありがたいお話ではございますが、私はまだこの世界に来て日も浅く世界の事もよく知らないただの商人です。それに、商店で成し遂げなければならないことがまだまだございます。それを成し遂げた時にまだ興味を持って頂ける様であればもう一度お誘いいただけますでしょうか。」
俺には商店がある。
それもまだまだ道半ば、いやまだ入口に入ったばかりだ。
その道を捨てて別の事に手を出す余裕はまだ無い。
「タクス様、彼は商店連合、いえメルクリア家としても無くてはならない存在です。どうか今回は見逃していただけませんでしょうか。」
突然メルクリア女史が立ち上がりタクスさんに向かって頭を下げた。
「・・・メルクリア家の娘風情が母親を差し置いて私に意見するのか?」
「『銅貨一枚は銀貨十枚を生み金貨百枚を稼ぎ出す』。彼は我が家に富をもたらす金の卵、それを手放す事は母も良しとはしないでしょう。私の言葉は母の言葉と同じであると思っていただいて構いませんわ。」
「メルクリア家の家訓ですね。」
「我がメルクリア家はこの家訓の元、この地位まで登りつめました。お金を稼ぐ為には相手も手段も選ばない、それは母上も私も同じです。」
利になることは例え相手が強くても一歩も引かない。
そんな信念が入った家訓のようだ。
メルクリア家家訓、カッコイイな!
「あの母あってこの娘有り、まだまだメルクリア家は安泰のようだ。」
先程までの鋭い目つきとは違い、年齢相当の柔らかい目に変わった。
「面白い人材が手に入ると思ったが、残念だったなガスターシャ君。」
「まだ二回フラれただけですもの、まだまだ諦めませんわ。」
「君もなかなか懲りないな。」
「これぐらいしぶとくなければタクス様の下で働けませんもの。」
確かにこの上司の下で働くのなら図太い神経じゃないと無理そうだ。
俺にはメルクリア女史で十分です。
部下の為に頭を下げる事ができる人間。
そういう人は実は中々少ない。
正直に言ってさっきのはちょっと感動してしまった。
「私からもお願いいたします。今イナバ様に旅立たれては村の皆が寂しがりますので・・・。」
「彼女だけじゃなく村中の人に引き留められるか、ますます惜しい男だ。」
「ありがたい話です。」
「そこを鼻にかけない所もまた噂通り。しかしあれだな、もう少し遊んでも良いのではないか?」
「日々の仕事で十分楽しませていただいております。家族に仕事、これ以上望めば罰が当たりますよ。」
「はっはっは、まったく無欲な男だ。」
美人の奥さんに美人の仲間。
これ以上一体何を望むというのだろうか。
え、ハーレムはどうしたって?
そこはほら、おいおい・・・。
せめて一夜を共にしないとね。
「タクス様よろしいのですか?」
「あぁ、十分に見せてもらった。イナバ様先ほどの話上に持ち帰ってもよろしいか?」
「可能であればどうぞご検討ください。」
「検討する価値のある話だ、無駄にはせんよ。」
ガスターシャ氏が立ち上がりタクスさんを誘導する。
結構な年齢だとおもうのだが、そう感じさせない堂々とした動きでこちらへ向かって来る。
「イナバ様またお会いしましょう。」
「ニッカ様、急に押しかけて済まなかった。」
「こちらこそ、貴重なお話をお聞かせいただき勉強になりました。」
「メルクリアの娘よ、この男無駄にするなよ。」
「お任せください。」
その返事に満足そうにうなずくと二人は足早に村長の家を後にした。
ドアが閉まるその瞬間まで緊張が続く。
そして、ドアがバタンと音を立てて閉まったその瞬間三人同時に大きな息を吐いた。
「緊張しました・・・。」
「緊張ってものじゃないわよ、あの人にあんな口をきいてさっきの私はどうかしていたわ。」
ちょっとまって、俺の感動は気の迷いなの?
「お二人は緊張で済んでしまわれるのですね、私など老い先短い寿命がさらに縮んでしまいましたよ。これは可愛い孫の顔を見なければ戻りませんな。」
「あはは、がんばります。」
まさかこのタイミングで下ネタを返してくるとは思わなかった。
いや、それほどにニッカさんも緊張していたのだろう。
そりゃあ冗談も言いたくなるよね。
「帰った時にお母様に何を言われるか・・・。」
「タスクさん相手にやりあったと自信をもって言えばいいじゃないですか。」
「貴方はお母様の怖さを知らないからそんなこと言えるのよ。そんなこと言おうものなら、ものなら・・・それはありね。」
ありなんだ。
メルクリア女史のお母様。
いったいどんな人なのか、いやこんなこと言っていたら会う事になりそうだやめておこう。
「ここで仕事を忘れて休みたいところではありますがエミリア達が待っています。もうひと頑張りと行きましょうか。」
「部下が働いているのに上司が休んでいるわけにはいかないわよね。」
「えぇ、がんばりましょう。」
「終わりましたらこちらにお戻り下さい、腕によりをかけて昼食を御準備しておきます。結果はその時に教えていただければ結構です。」
「ありがとうございます。」
そういえば昼食がまだだっけ。
エミリア達と合流して美味しい昼食としゃれ込むとしよう。
測量の話が上がってこれで三度目のプレゼン。
二回の敗北を喫したが無事に三度目の正直で勝利を勝ち取れた。
この測量が誰かの幸せにつながりますように。
とりあえずは、俺達の未来がうまく行けばそれでいいや。
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