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第六章
会議とは言葉の戦いである
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城塞都市サンサトローズ。
そこは過去に砦として建築され、防衛拠点として始まった。
大戦の後、人々はその砦の下に集い大きく繁栄することとなる。
しかしその繁栄も長くは続かなかった。
幾度と無く押し寄せる魔物の群れ。
その度に街は破壊され、人々の嘆きの上に新たな希望が造られ続けた。
破壊と再生。
それがこの街の歴史でもある。
だがその連鎖も終わりを迎えるときが来た。
先の領主が建築したのは大戦時をもしのぐ巨大な城壁。
北部の崖をぐるりと取り囲むようにして建築されたその巨大な壁は、魔物から生活をそして命を守り続けた。
その堅牢な城壁を見て後の人はこう呼ぶようになる。
城塞都市と。
著 アルベールアルバルト
「お待たせして申し訳ありません、どうぞこちらへ。」
俺は本を棚に戻しテナンさんの後をついていく。
ちなみに俺は一切文字が読めない。
これを読んだのは横にいる彼だ。
「ま、待ってください!」
出された香茶を慌てて流し込み俺の後ろをついてくるモア。
え、誰だって?
アレだよアレ、クレイの弟だよ。
クレイって誰かわからないって?
あー、うん。
過去に名前だけ出てきたんだけど、とりあえず時間を戻してみようか。
狼との(俺の中では)壮絶な鬼ごっこは騎士団の一斉掃射によって一瞬にして決着を見せることとなった。
騎士団を呼んできてくれたのがこのモアというわけだ。
モアと共に指揮官にお礼をに行くと、そこにいたのは騎士団副団長のカムリだった。
「大量のコボレートと聞いてきたんですが随分形が変わってしまったようですね。」
「犬であることは変わらないんですけど、おかげで助かりました。」
「大量の魔物をサンサトローズに近づけさせるわけには行きません、副団長として当然のことをしたまでです。決してあなたのためではありませんので御心配なく。」
相変わらずのようだ。
「昨日は大変だったようですね。」
「えぇそれはもう!あの後どれだけ大変だったか今すぐ貴方に御説明して差し上げたい所ですが、残念ながらお互いに時間は無さそうですのでまたの機会とさせていただきましょう。」
「そうしてもらえると非常に助かります。」
あの兄あってこの弟あり。
仕事は出来るが破天荒な兄?と仕事も出来て気苦労も耐えない弟。
あの後はさぞ大変だったのだろう。
その証拠に目の下にはくっきりとクマが出来ている。
にもかかわらずこのイケメンときたらかっこ良さが変わらないっていうね。
イケメン爆発しろ。
「モア、貴方はイナバ様と共に行きプロンプト様に事の詳細を報告してください。」
「そんな、自分もいきます!」
「南方への派兵に貴方の名前はありません。それに領主様からお借りしているその馬を一体誰が返すというのですか?」
「それはそうですが・・・。副団長自分はいつまでこのような遣い走りをしなければならないのですか?」
「兄の背中に追い付きたい気持ちはわかりますが、貴方にその実力は伴っていません。それに伝令も組織では重要な役割です、それがわからないのであれば戦場に出るなどまだまだ先の話です。」
「ですが!」
「くどい!これ以上は上官への反逆と捕らえるがかまわないな?」
温厚なカムリが声を荒げるなんて珍しい。
何か事情があるのだとは思うが俺がそれを聞くわけにも行かないし・・・。
「・・・申し訳ありませんでした。」
「わかれば結構です、今の貴方の発言は聞かなかった事としましょう。イナバ様そうですね?」
「私は何も聞いていませんよ?副団長様にお礼を言いに来ただけですから。」
そういうことにしろというご命令ですから、善良な領民としてはそれに従いますよ。
お互いに目を合わせてニヤリと笑う。
「では命令どおり、イナバ殿をプロンプト様の館まで護衛し拝借している馬を返還してきなさい。」
「畏まりました。」
「あ、イナバ様少しこちらへ。」
戻ろうとした所を呼び止められてしまった。
「どうしましたか?」
「先ほどは話をあわせていただき助かりました。」
「騎士団内のことに関して私は部外者ですのでそちらのやり方にあわせるまでです。差し支えなければですが彼について聞いてもかまいませんか?一応ここまで護衛してくれた恩もありますので。」
「彼はモアといいまして騎士団に配属されてまだ日の浅い新兵です。クレイという兄が団に所属していたんですが先日魔物討伐の際に討ち死にしましてね、それから兄の背を追いかけようと必死になっているんです。今は頭を冷やすように前線から離れた任を与えている所なんですよ。」
「なるほど、そういうわけですか。」
弔いの為に戦いに出たい新兵とそれを守りたい指揮官というわけだな。
怒りに支配されたまま戦場に出ればいつか身を滅ぼす。
一人で死ぬ分にはかまわないが騎士団の場合周りの団員にも危険が及ぶ可能性がある。
カムリは他の団員を守るためにもわざと損な役回りをしてるんだろう。
シルビア様の教えは着実に伝わっているわけだ。
「お願いがあるのですが、彼を貴方の護衛につけますのでひとまず面倒を見ていただけませんか。」
「彼を護衛に?」
「これからイナバ様も危険な場所に行く可能性があるとのことですので、新兵とはいえ我が騎士団の団員です貴方お一人でしたらお守りできると思います。」
「私はあくまでも呼ばれてきただけでそういった場所に行くかどうかは・・・。」
「分団長たっての願いでもありますので・・・。」
あー、なるほど。
シルビア様の事だから俺がまた何か危険ことに顔を突っ込むと思っているんだろうな。
俺は別に好き好んでそういう場所に行っているわけではないんだけど。
でもまぁ、可能性は無いわけではないし、ここはありがたく護衛をつけてもらうべきだろうか。
「わかりました、こちらこそ宜しくお願いします。」
「こちらとしても助かります、どうか彼を育ててやってください。」
育てるっていわれても、俺はただの商人なんですけど。
そんな荷が重いこと勘弁して欲しいなぁ。
「モア、ちょっと来なさい。」
「はい!」
カムリに呼ばれ駆け足でやってくるモア君。
年下みたいだしモア君でいいか。
「命令を追加します。プロンプト様への拝借していた馬を返還後、当分の間イナバ様の護衛を命じます。イナバ様の下でしっかりと勉強してきなさい。」
「イナバ様の下でですか!」
「これから先危険な場所へ赴く事もあるでしょう。いついかなる状況でもイナバ様をお守りし、任務を遂行しなさい。大きく成長して戻ることを期待しています。」
「イナバ様の護衛だなんて・・・!命を賭けてお守りします!」
いや命賭けないでいいから。
平和に行こう平和に。
「宜しくお願いしますモアさん。」
「モアで結構ですイナバ様!」
モア君改めモアに変更。
やめて、そんなにキラキラした目で俺を見ないで!
そんな純粋な目を向けられるような綺麗な男じゃないんです。
心の汚れきった奴なんです。
「新兵ですが実力は私が保証します、こき使ってやってください。」
「宜しくお願いします!」
こうして俺に護衛がついたというワケだ。
ここまではオッケー?
じゃあ話を戻そうか。
テナンさんに連れられて館をどんどんと進んでいく。
それにしてもでかい館だなぁ。
壁は分厚いしさすが元砦、いや要塞か?
「こちらでございます。」
館の最奥だろうか、通路の一番奥には巨大な扉が待ち構えていた。
あ、俺知ってる。
ラスボスのいる扉だ。
ここを開ければバラ○スとかデス○サロとかいるんだよな。
あ、ドラクエ派ではないのでそこのところ宜しく。
「プロンプト様、イナバ様と御付の方をお連れしました。」
ノックをして中に声をかける。
が、中からは返事は無い。
無視でしょうか。
それとも俺みたいな小者はお呼びでないという事でしょうか。
それならそれで帰るだけだからむしろありがたいんですけど。
「中では随分と議論が紛糾しているようですね。」
「え、そうなんですか?」
何でわかるの?
「中から争うような声が聞こえます。」
何故聞こえるんだろうか。
人間歳を取ると高音も含めて聞こえにくくなるはずなんだけど。
地獄耳という奴でしょうか。
「返事が無いようですので入りましょうか。」
え、入っちゃうの?
「いいんですか?」
「イナバ様が来なければそもそも話は始まらなかったはずですから。プロンプト様は首を長くしてお待ちになっておられましたよ。」
「そうですか。」
えー、俺無しで話、進めちゃってもいいのに。
でも話を進めたから怒鳴りあっているのか?
なるほどわからん。
もういいや、いくとしよう。
「これから先何があっても驚かないようにお願いします。」
「わかりました!」
元気だなぁモア君は。
テナンさんが観音開きのドアをゆっくりと開けていく。
重厚な扉が開くと同時に中のやりとりが耳に飛び込んできた。
「ですから、早急に冒険者を派遣しなければ新たな犠牲者が出るといっているんです。なぜ上級冒険者を派遣してはならないのですか!」
「上級冒険者には南方の集団暴走に対処してもらう予定だ、こんな素性もわからぬ事件に派遣できるわけが無いだろう!」
「中級冒険者ですら犠牲になっているんですよ?犠牲者が増えるだけです!」
「そもそもこの失踪は本当に魔物のせいなのか?犯罪に巻き込まれたという可能性は0ではないのであろう?もし魔物が相手でなければ冒険者ではなく騎士団や自警団の管轄ではないのか?」
おーおー、やってるやってる。
情報が少なすぎて議論が紛糾するって言うのはよくある話だが、ティナさんが俺を迎えに来たときからまったく話が進んでいないような感じだ。
大きなテーブルを挟んで左が冒険者ギルド関係で、右が騎士団とかそっちの集まりかな?
それでもって一番正面奥で腕を組んだまま黙り込んでいるのがププト様っと。
あれ寝てない?
起きてる?
いや、絶対寝てるでしょ。
「イナバ様、奥にいる方寝ていませんか?」
モア君も同じような意見らしい。
寝ているという事でファイナルアンサー。
「失礼します、イナバ様と御付の方をお連れしました。」
テナンさんがププト様に向かってお辞儀をするのを見て、慌てて頭を下げる。
作法とかあったら教えてほしいんですけど、テナンさん。
「イナバ?聞いたこと無いなどこの誰だ?」
「それよりも今後の対策の方が大事だ、今は失踪事件より先に南方の防衛強化について話し合う必要があるのではないか?」
「いや、今回の失踪が他国の陰謀だったらどうする。防衛が手薄になった所を強襲してくるつもりなのかもしれん、そもそも隣国の奴らはだな・・・。」
とりあえずもう顔あげていい?
おけ?
あまりにも反応が無いので顔を上げるも部屋の誰もが俺に興味無さそうだ。
ほら、俺要らない子みたいだし、帰っていい?
じゃなくて帰ろう?
「皆さん気付きませんね。」
「議論が白熱しているのはいいことですが、あまり先に進んでいる感じは無いですねぇ。」
色んな人間がいろんなところで話をしているので収拾がついていない感じだ。
普通は議長とか司会がいて議論をコントロールするんだけど、議長寝てるしなぁ。
緊張して中に入ったもののちょっと拍子抜けしてしまった。
俺の緊張を返して欲しい。
領主様の緊急招集だからって来たのにさ。
犬にまで追われてきたのにさ。
と、少しすねていたとき横に控えていたテナンさんがやっと顔を上げた。
そして、
「皆様お静かに願います!!」
鼓膜が破れるかと思うぐらいの音圧で室内の議論を中断させる。
突然の事に全員の視線がこちらに集まった。
もちろん、ププト様の視線も。
「テナンご苦労だった、下がっていいぞ。」
「突然の大声失礼致しました。」
テナンさんは恭しくお辞儀をするとそのまま部屋を出て扉を閉めた。
「それで皆のもの、結論は出たのか?」
「いえ、それは、その。」
ププト様が先ほどまで熱い議論を交わしていた冒険者ギルド側の人間に質問をするも答えることは出来なかった。
それもそうだ、そんな目でにらまれたら何も言えないよ。
今にも殺しますって感じだし。
「ふむ、これだけの人間が雁首合わせて話し合ってこの様か。貴様らは一体何をしにここに集められたのだ?」
「そ、それは失踪事件と南方の集団暴走に関して話し合うために・・・。」
「私が寝ている間話し合って答えが出ない集まりに一体何の価値があるというのだ。」
言っちゃったよ。
この人自分が寝てたって言っちゃったよ!
「恐れながらい、いくつかまとまった意見は出ております。」
「ほぉ、申してみよ。」
「今回の集団暴走と集団事件に因果関係が無いとしてひとまず南方の集団暴走に注目して対応すべきであると判断いたします。」
「それで?」
「また、集団失踪事件においては実力のある冒険者を派遣し再度調査させる予定です。」
「なるほどなるほど。」
「仮に因果関係があった場合には各種関係機関と連携し、最小の被害に抑えるべく・・・。」
「それで、その各種関係機関とはどこの話だ?」
「冒険者ギルドならびに騎士団、自警団となっております。」
ププト様の質問に間髪いれず答える騎士団関係者。
質問にしっかりと頷くププト様の反応に少々ドヤ顔のようなものも見える。
「そうか、わかった。」
「以上になります!」
自信満々に着席し、先ほどまで遣り合っていた冒険者ギルドの関係者の方をみてニヤリと笑う。
やってやったった感たっぷりだな。
腕を組みうんうんと頷くププト様。
だがその顔は笑っていない。
あー、俺この顔知ってる。
これってアレだよね、ひとまず話は聞くけど後々で完膚無きまでに叩き潰すような奴だよね。
だってさ、どうやって伸びた鼻をへし折ってやろうかって考えている顔してるもん。
「お前の言う事はわかった。」
顔をあげ得意げな関係者の方を見る。
「それで、案というのはどこにあるんだ?」
「はい・・・?」
「具体的な案というのはどこにあるのだと聞いているのだ。」
「そ、それは先ほど申し上げたような・・・。」
「それはあくまでも先ほど話し合っていた中で出た意見であって案といえるようなものではないだろう。私が聞いているのはそれを踏まえてどのように今後動いていくのかという話を聞いているのだ。お前の話はただの感想であって何の答えも出ていないではないか!」
ほら、雷が落ちた。
先ほどまでのにこやかな顔と違い、怒髪天を突く勢いで烈火の如く怒っておられる。
ようはむっちゃ怒ってるというワケだ。
オコですね。
激オコです。
ムカチャッカファイアーです。
「因果関係が無いのであれば南方に注目して対応する?だからどうやって対応するのかと聞いているのだ。」
確かにどうするかは言ってないな。
「集団失踪に関して冒険者を再度派遣する?具体的にどの実力を持った冒険者を派遣するつもりなのかまったくわからぬ。中級冒険者を派遣すれば同じような事になると先ほどギルド側が抗議していたではないか。」
うんうん、言ってた。
ベテランをよこさないと二の舞だぞっていう感じで脅してた。
「因果関係があった場合は関係機関と連携してだと?その関係機関が連携してこの様ではないのか!」
あー、うん。
そうです。
自警団がいるかはわからないけど全くまとまっておりません。
さっきまでドヤ顔をしていた関係者が顔面蒼白を通り越して真っ白になってしまっている。
もう消えてしまうんじゃないかな。
怒られるというレベルを超えてしまった。
ようはこの集まりには何の結果も出す能力がないとバッサリ切り捨てられたわけだ。
なんだ、寝てなかったんだ。
そうだよな、さすがに寝てないよな。
「それで、お前達は今後どうするつもりなのだ?」
「・・・・・・・・・。」
「どうした?先ほどまで飛び交っていた議論で答えは出たのではないか?」
「そ、それは・・・。」
「どうするのかと聞いているのだ!」
怒りMAXで全体への威圧攻撃発動しちゃってるよ。
この勢いで来たら誰もレジストできるわけないよなぁ。
シンと静まり返った室内に荒々しいププト様の息遣いだけが聞こえる。
「まったくお前達の知恵はこの程度というワケか情けない。」
誰も何も反論できない。
今反論をすれば針のむしろだ。
言いたくてもいえないのだろう。
まぁ仕方ないよな。
元の世界でもこんな無駄な会議たくさんあったし。
話し合うと答えが出たような気分になるんだよな、うん。
だから司会とかリーダーがいるって言ったんだよ。
それさえいればひとまず一つぐらいは答え出ただろうし。
まぁいまさらそれ言っても仕方ないよな。
「ここにいる無能に聞いても意味が無い、イナバ殿そなたの意見を聞かせてもらおうか。」
え、俺?
ちょ、まって、何で?
何でいきなり俺に意見聞くの?
俺まだ何も話し合ってないんだけど。
いきなりの無茶振りにどうすればいいのだろうか。
ハードルが高すぎて挫折しそうだ。
そこは過去に砦として建築され、防衛拠点として始まった。
大戦の後、人々はその砦の下に集い大きく繁栄することとなる。
しかしその繁栄も長くは続かなかった。
幾度と無く押し寄せる魔物の群れ。
その度に街は破壊され、人々の嘆きの上に新たな希望が造られ続けた。
破壊と再生。
それがこの街の歴史でもある。
だがその連鎖も終わりを迎えるときが来た。
先の領主が建築したのは大戦時をもしのぐ巨大な城壁。
北部の崖をぐるりと取り囲むようにして建築されたその巨大な壁は、魔物から生活をそして命を守り続けた。
その堅牢な城壁を見て後の人はこう呼ぶようになる。
城塞都市と。
著 アルベールアルバルト
「お待たせして申し訳ありません、どうぞこちらへ。」
俺は本を棚に戻しテナンさんの後をついていく。
ちなみに俺は一切文字が読めない。
これを読んだのは横にいる彼だ。
「ま、待ってください!」
出された香茶を慌てて流し込み俺の後ろをついてくるモア。
え、誰だって?
アレだよアレ、クレイの弟だよ。
クレイって誰かわからないって?
あー、うん。
過去に名前だけ出てきたんだけど、とりあえず時間を戻してみようか。
狼との(俺の中では)壮絶な鬼ごっこは騎士団の一斉掃射によって一瞬にして決着を見せることとなった。
騎士団を呼んできてくれたのがこのモアというわけだ。
モアと共に指揮官にお礼をに行くと、そこにいたのは騎士団副団長のカムリだった。
「大量のコボレートと聞いてきたんですが随分形が変わってしまったようですね。」
「犬であることは変わらないんですけど、おかげで助かりました。」
「大量の魔物をサンサトローズに近づけさせるわけには行きません、副団長として当然のことをしたまでです。決してあなたのためではありませんので御心配なく。」
相変わらずのようだ。
「昨日は大変だったようですね。」
「えぇそれはもう!あの後どれだけ大変だったか今すぐ貴方に御説明して差し上げたい所ですが、残念ながらお互いに時間は無さそうですのでまたの機会とさせていただきましょう。」
「そうしてもらえると非常に助かります。」
あの兄あってこの弟あり。
仕事は出来るが破天荒な兄?と仕事も出来て気苦労も耐えない弟。
あの後はさぞ大変だったのだろう。
その証拠に目の下にはくっきりとクマが出来ている。
にもかかわらずこのイケメンときたらかっこ良さが変わらないっていうね。
イケメン爆発しろ。
「モア、貴方はイナバ様と共に行きプロンプト様に事の詳細を報告してください。」
「そんな、自分もいきます!」
「南方への派兵に貴方の名前はありません。それに領主様からお借りしているその馬を一体誰が返すというのですか?」
「それはそうですが・・・。副団長自分はいつまでこのような遣い走りをしなければならないのですか?」
「兄の背中に追い付きたい気持ちはわかりますが、貴方にその実力は伴っていません。それに伝令も組織では重要な役割です、それがわからないのであれば戦場に出るなどまだまだ先の話です。」
「ですが!」
「くどい!これ以上は上官への反逆と捕らえるがかまわないな?」
温厚なカムリが声を荒げるなんて珍しい。
何か事情があるのだとは思うが俺がそれを聞くわけにも行かないし・・・。
「・・・申し訳ありませんでした。」
「わかれば結構です、今の貴方の発言は聞かなかった事としましょう。イナバ様そうですね?」
「私は何も聞いていませんよ?副団長様にお礼を言いに来ただけですから。」
そういうことにしろというご命令ですから、善良な領民としてはそれに従いますよ。
お互いに目を合わせてニヤリと笑う。
「では命令どおり、イナバ殿をプロンプト様の館まで護衛し拝借している馬を返還してきなさい。」
「畏まりました。」
「あ、イナバ様少しこちらへ。」
戻ろうとした所を呼び止められてしまった。
「どうしましたか?」
「先ほどは話をあわせていただき助かりました。」
「騎士団内のことに関して私は部外者ですのでそちらのやり方にあわせるまでです。差し支えなければですが彼について聞いてもかまいませんか?一応ここまで護衛してくれた恩もありますので。」
「彼はモアといいまして騎士団に配属されてまだ日の浅い新兵です。クレイという兄が団に所属していたんですが先日魔物討伐の際に討ち死にしましてね、それから兄の背を追いかけようと必死になっているんです。今は頭を冷やすように前線から離れた任を与えている所なんですよ。」
「なるほど、そういうわけですか。」
弔いの為に戦いに出たい新兵とそれを守りたい指揮官というわけだな。
怒りに支配されたまま戦場に出ればいつか身を滅ぼす。
一人で死ぬ分にはかまわないが騎士団の場合周りの団員にも危険が及ぶ可能性がある。
カムリは他の団員を守るためにもわざと損な役回りをしてるんだろう。
シルビア様の教えは着実に伝わっているわけだ。
「お願いがあるのですが、彼を貴方の護衛につけますのでひとまず面倒を見ていただけませんか。」
「彼を護衛に?」
「これからイナバ様も危険な場所に行く可能性があるとのことですので、新兵とはいえ我が騎士団の団員です貴方お一人でしたらお守りできると思います。」
「私はあくまでも呼ばれてきただけでそういった場所に行くかどうかは・・・。」
「分団長たっての願いでもありますので・・・。」
あー、なるほど。
シルビア様の事だから俺がまた何か危険ことに顔を突っ込むと思っているんだろうな。
俺は別に好き好んでそういう場所に行っているわけではないんだけど。
でもまぁ、可能性は無いわけではないし、ここはありがたく護衛をつけてもらうべきだろうか。
「わかりました、こちらこそ宜しくお願いします。」
「こちらとしても助かります、どうか彼を育ててやってください。」
育てるっていわれても、俺はただの商人なんですけど。
そんな荷が重いこと勘弁して欲しいなぁ。
「モア、ちょっと来なさい。」
「はい!」
カムリに呼ばれ駆け足でやってくるモア君。
年下みたいだしモア君でいいか。
「命令を追加します。プロンプト様への拝借していた馬を返還後、当分の間イナバ様の護衛を命じます。イナバ様の下でしっかりと勉強してきなさい。」
「イナバ様の下でですか!」
「これから先危険な場所へ赴く事もあるでしょう。いついかなる状況でもイナバ様をお守りし、任務を遂行しなさい。大きく成長して戻ることを期待しています。」
「イナバ様の護衛だなんて・・・!命を賭けてお守りします!」
いや命賭けないでいいから。
平和に行こう平和に。
「宜しくお願いしますモアさん。」
「モアで結構ですイナバ様!」
モア君改めモアに変更。
やめて、そんなにキラキラした目で俺を見ないで!
そんな純粋な目を向けられるような綺麗な男じゃないんです。
心の汚れきった奴なんです。
「新兵ですが実力は私が保証します、こき使ってやってください。」
「宜しくお願いします!」
こうして俺に護衛がついたというワケだ。
ここまではオッケー?
じゃあ話を戻そうか。
テナンさんに連れられて館をどんどんと進んでいく。
それにしてもでかい館だなぁ。
壁は分厚いしさすが元砦、いや要塞か?
「こちらでございます。」
館の最奥だろうか、通路の一番奥には巨大な扉が待ち構えていた。
あ、俺知ってる。
ラスボスのいる扉だ。
ここを開ければバラ○スとかデス○サロとかいるんだよな。
あ、ドラクエ派ではないのでそこのところ宜しく。
「プロンプト様、イナバ様と御付の方をお連れしました。」
ノックをして中に声をかける。
が、中からは返事は無い。
無視でしょうか。
それとも俺みたいな小者はお呼びでないという事でしょうか。
それならそれで帰るだけだからむしろありがたいんですけど。
「中では随分と議論が紛糾しているようですね。」
「え、そうなんですか?」
何でわかるの?
「中から争うような声が聞こえます。」
何故聞こえるんだろうか。
人間歳を取ると高音も含めて聞こえにくくなるはずなんだけど。
地獄耳という奴でしょうか。
「返事が無いようですので入りましょうか。」
え、入っちゃうの?
「いいんですか?」
「イナバ様が来なければそもそも話は始まらなかったはずですから。プロンプト様は首を長くしてお待ちになっておられましたよ。」
「そうですか。」
えー、俺無しで話、進めちゃってもいいのに。
でも話を進めたから怒鳴りあっているのか?
なるほどわからん。
もういいや、いくとしよう。
「これから先何があっても驚かないようにお願いします。」
「わかりました!」
元気だなぁモア君は。
テナンさんが観音開きのドアをゆっくりと開けていく。
重厚な扉が開くと同時に中のやりとりが耳に飛び込んできた。
「ですから、早急に冒険者を派遣しなければ新たな犠牲者が出るといっているんです。なぜ上級冒険者を派遣してはならないのですか!」
「上級冒険者には南方の集団暴走に対処してもらう予定だ、こんな素性もわからぬ事件に派遣できるわけが無いだろう!」
「中級冒険者ですら犠牲になっているんですよ?犠牲者が増えるだけです!」
「そもそもこの失踪は本当に魔物のせいなのか?犯罪に巻き込まれたという可能性は0ではないのであろう?もし魔物が相手でなければ冒険者ではなく騎士団や自警団の管轄ではないのか?」
おーおー、やってるやってる。
情報が少なすぎて議論が紛糾するって言うのはよくある話だが、ティナさんが俺を迎えに来たときからまったく話が進んでいないような感じだ。
大きなテーブルを挟んで左が冒険者ギルド関係で、右が騎士団とかそっちの集まりかな?
それでもって一番正面奥で腕を組んだまま黙り込んでいるのがププト様っと。
あれ寝てない?
起きてる?
いや、絶対寝てるでしょ。
「イナバ様、奥にいる方寝ていませんか?」
モア君も同じような意見らしい。
寝ているという事でファイナルアンサー。
「失礼します、イナバ様と御付の方をお連れしました。」
テナンさんがププト様に向かってお辞儀をするのを見て、慌てて頭を下げる。
作法とかあったら教えてほしいんですけど、テナンさん。
「イナバ?聞いたこと無いなどこの誰だ?」
「それよりも今後の対策の方が大事だ、今は失踪事件より先に南方の防衛強化について話し合う必要があるのではないか?」
「いや、今回の失踪が他国の陰謀だったらどうする。防衛が手薄になった所を強襲してくるつもりなのかもしれん、そもそも隣国の奴らはだな・・・。」
とりあえずもう顔あげていい?
おけ?
あまりにも反応が無いので顔を上げるも部屋の誰もが俺に興味無さそうだ。
ほら、俺要らない子みたいだし、帰っていい?
じゃなくて帰ろう?
「皆さん気付きませんね。」
「議論が白熱しているのはいいことですが、あまり先に進んでいる感じは無いですねぇ。」
色んな人間がいろんなところで話をしているので収拾がついていない感じだ。
普通は議長とか司会がいて議論をコントロールするんだけど、議長寝てるしなぁ。
緊張して中に入ったもののちょっと拍子抜けしてしまった。
俺の緊張を返して欲しい。
領主様の緊急招集だからって来たのにさ。
犬にまで追われてきたのにさ。
と、少しすねていたとき横に控えていたテナンさんがやっと顔を上げた。
そして、
「皆様お静かに願います!!」
鼓膜が破れるかと思うぐらいの音圧で室内の議論を中断させる。
突然の事に全員の視線がこちらに集まった。
もちろん、ププト様の視線も。
「テナンご苦労だった、下がっていいぞ。」
「突然の大声失礼致しました。」
テナンさんは恭しくお辞儀をするとそのまま部屋を出て扉を閉めた。
「それで皆のもの、結論は出たのか?」
「いえ、それは、その。」
ププト様が先ほどまで熱い議論を交わしていた冒険者ギルド側の人間に質問をするも答えることは出来なかった。
それもそうだ、そんな目でにらまれたら何も言えないよ。
今にも殺しますって感じだし。
「ふむ、これだけの人間が雁首合わせて話し合ってこの様か。貴様らは一体何をしにここに集められたのだ?」
「そ、それは失踪事件と南方の集団暴走に関して話し合うために・・・。」
「私が寝ている間話し合って答えが出ない集まりに一体何の価値があるというのだ。」
言っちゃったよ。
この人自分が寝てたって言っちゃったよ!
「恐れながらい、いくつかまとまった意見は出ております。」
「ほぉ、申してみよ。」
「今回の集団暴走と集団事件に因果関係が無いとしてひとまず南方の集団暴走に注目して対応すべきであると判断いたします。」
「それで?」
「また、集団失踪事件においては実力のある冒険者を派遣し再度調査させる予定です。」
「なるほどなるほど。」
「仮に因果関係があった場合には各種関係機関と連携し、最小の被害に抑えるべく・・・。」
「それで、その各種関係機関とはどこの話だ?」
「冒険者ギルドならびに騎士団、自警団となっております。」
ププト様の質問に間髪いれず答える騎士団関係者。
質問にしっかりと頷くププト様の反応に少々ドヤ顔のようなものも見える。
「そうか、わかった。」
「以上になります!」
自信満々に着席し、先ほどまで遣り合っていた冒険者ギルドの関係者の方をみてニヤリと笑う。
やってやったった感たっぷりだな。
腕を組みうんうんと頷くププト様。
だがその顔は笑っていない。
あー、俺この顔知ってる。
これってアレだよね、ひとまず話は聞くけど後々で完膚無きまでに叩き潰すような奴だよね。
だってさ、どうやって伸びた鼻をへし折ってやろうかって考えている顔してるもん。
「お前の言う事はわかった。」
顔をあげ得意げな関係者の方を見る。
「それで、案というのはどこにあるんだ?」
「はい・・・?」
「具体的な案というのはどこにあるのだと聞いているのだ。」
「そ、それは先ほど申し上げたような・・・。」
「それはあくまでも先ほど話し合っていた中で出た意見であって案といえるようなものではないだろう。私が聞いているのはそれを踏まえてどのように今後動いていくのかという話を聞いているのだ。お前の話はただの感想であって何の答えも出ていないではないか!」
ほら、雷が落ちた。
先ほどまでのにこやかな顔と違い、怒髪天を突く勢いで烈火の如く怒っておられる。
ようはむっちゃ怒ってるというワケだ。
オコですね。
激オコです。
ムカチャッカファイアーです。
「因果関係が無いのであれば南方に注目して対応する?だからどうやって対応するのかと聞いているのだ。」
確かにどうするかは言ってないな。
「集団失踪に関して冒険者を再度派遣する?具体的にどの実力を持った冒険者を派遣するつもりなのかまったくわからぬ。中級冒険者を派遣すれば同じような事になると先ほどギルド側が抗議していたではないか。」
うんうん、言ってた。
ベテランをよこさないと二の舞だぞっていう感じで脅してた。
「因果関係があった場合は関係機関と連携してだと?その関係機関が連携してこの様ではないのか!」
あー、うん。
そうです。
自警団がいるかはわからないけど全くまとまっておりません。
さっきまでドヤ顔をしていた関係者が顔面蒼白を通り越して真っ白になってしまっている。
もう消えてしまうんじゃないかな。
怒られるというレベルを超えてしまった。
ようはこの集まりには何の結果も出す能力がないとバッサリ切り捨てられたわけだ。
なんだ、寝てなかったんだ。
そうだよな、さすがに寝てないよな。
「それで、お前達は今後どうするつもりなのだ?」
「・・・・・・・・・。」
「どうした?先ほどまで飛び交っていた議論で答えは出たのではないか?」
「そ、それは・・・。」
「どうするのかと聞いているのだ!」
怒りMAXで全体への威圧攻撃発動しちゃってるよ。
この勢いで来たら誰もレジストできるわけないよなぁ。
シンと静まり返った室内に荒々しいププト様の息遣いだけが聞こえる。
「まったくお前達の知恵はこの程度というワケか情けない。」
誰も何も反論できない。
今反論をすれば針のむしろだ。
言いたくてもいえないのだろう。
まぁ仕方ないよな。
元の世界でもこんな無駄な会議たくさんあったし。
話し合うと答えが出たような気分になるんだよな、うん。
だから司会とかリーダーがいるって言ったんだよ。
それさえいればひとまず一つぐらいは答え出ただろうし。
まぁいまさらそれ言っても仕方ないよな。
「ここにいる無能に聞いても意味が無い、イナバ殿そなたの意見を聞かせてもらおうか。」
え、俺?
ちょ、まって、何で?
何でいきなり俺に意見聞くの?
俺まだ何も話し合ってないんだけど。
いきなりの無茶振りにどうすればいいのだろうか。
ハードルが高すぎて挫折しそうだ。
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