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第二章 ゾディアックにまつわる面倒な連中
第九話 やつのな
しおりを挟む「……どうしてそう思うの?」
意図を測るような少しの沈黙のあと、サフィは聞いてくる。どうせ、返答はもう予想しているくせにな。
「オークが出たのが、俺のチームの模擬戦が終わった直後だったからだ。あまりにもタイミングが良すぎたからな」
「質問の答えとはズレてるわね。わたしが聞いてるのは、どうしてゾディアックに関係する人が犯人だと思うのか、よ」
「分かってんだろ」
「……」
「おまえ言ってただろ、俺もゾディアックにならないかって。もしかしなくても、ゾディアックかその関係者に俺のことを話したんじゃないか」
「……それは……」
言い淀むサフィ。やはりな。まったく、面倒なことをしてくれやがって。
「ってことは、ゾディアック連中に俺のことは知られちまったってわけだ。そいつらの中の誰かが、俺のことを密かに嗅ぎ回ろうとしたんだろ」
「……」
「だが俺の普段の素行は悪い。授業の模擬戦でも戦おうとしない。だから、緊急時にどういう反応をするか、実力はどうなのかを見るために、オーク達を差し向けたってわけだ」
「……」
サフィは否定しない。彼女もそうかもしれないと思っているってことだ。
「言え。ゾディアックとその関係者の中で、こんなクソ面倒くせえことをしそうな奴は誰だ」
「……その前に、教えて。ゾディアックに入るのが嫌なら、どうしてオークを倒したの? 倒さずに、他の子と一緒に逃げていれば良かったじゃない」
「……」
「もしかして、チームメイトを守るためだったの? その子が逃げようとしないで、戦おうとしたから、怪我をさせないために……」
サフィの言葉を遮るように口を挟む。
「ムカついたからだ」
瞳を鋭くして。
「それだけだ。いまこんな面倒な調査をしてんのも、そいつを突き止めて、これ以上の面倒なことを二度と起こさねえようにぶっ潰すためだ」
「…………」
「言え。こんなことをしそうな奴の名を」
「……」
少し見つめてきたあと、彼女は口を開いた。
「……モード=サー、さん。『牡牛座 (タウルス)』の称号を持つ二年生よ」
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